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42話 異世界薬無双


 次の日。朝起きたらばっちりと二日酔いになっていた。

 結局二人で酔いつぶれるまで飲み明かしてしまい、気が付けばものすごい頭痛だったわけで。

 リリちゃんがえらく心配してくれたが、コロネも同じ状態らしく突っ伏している。

 こんなものポーションで治してしまえ✩と思ったのだが、コロネ曰く状態異常じゃないものはポーションでは治らないとのこと。

 ちょっと意味がわからないです。

 こんなに頭痛いんだから状態異常だと思うんですけど!?

 ゲーム上で定められた状態異常にしかポーションは効果がないらしい。本気で意味がわからない。

 何だよポーション無能すぎるでしょ。

 ポーションって何でも痛いの治しちゃって、主人公様sugeeeされる万能アイテムではなかったのだろうか。

 これは早急に頭痛薬を現実世界から持ってきたいところである。

 あれだ、これはきっと日本から頭痛薬や二日酔い薬を持ってきて、日本の医薬品sugeeeeeするフラグに違いない!

 などと、私が「僕の考えた最強の異世界薬無双」に思いを巡らせてると、顔にでていたのだろう。リリが


「ネコ 幻覚見えてる お酒 怖い」


 と、かなり引いていた。

 ごめんなさい。夢の世界に旅立っておりました。

 うん。マジ飲みすぎには気をつけようと思う。


「猫様、お薬を」


 そんな私とコロネを見かねたのか侍女さんがこの世界の二日酔いに効くクスリとやらを持ってきてくれる。

 私は差し出されたそれを受け取り、次にコロネもその薬をうけとるが――


 コロネがコップを持った途端



 ボトリ



 カップを持ったコロネの右手がそのまま落ちる。



 ……は?


 一瞬の沈黙。


 ちょぉぉぉ!?

 う、腕落ちたんですけど!?


「コロネっ!!腕!!腕落ちてる!!」


 私が慌てて言えば、コロネが何事もなかったかのように腕を持ち上げて


「ああ……どうやら魔力が高くなりすぎたせいで、義手が魔力の負荷に耐えられなかったようです」


 と、腕がとれて動揺しまくってる私とは対照的にコロネは普通に落ちた右腕を拾い上げた。

 よくよくその腕を見てみれば、精巧に作られているのは手首から上だけで、あとは作り物だとわかる作りの義手だった。


「え、もしかして腕って義手だったのか?」


「はい。他の部位は猫様に頂いた指輪の力で復元していたのですが、右腕だけは戻りませんでした。

 あの紋章が何か関係してるのかもしれませんね」


 コロネの言葉に頬が引き攣る。惨殺なリンチを思い出しまた吐きそうになる。

 くそう、あのプレイヤー達絶対絶対ひどい目あわせてやる。 

 

「最高級ポーション使ってみるか?腕も戻るかもしれないぞ?」


 私の問いにコロネは首をふり


「いえ、指輪で治らなかったのならポーションでも治らないと思います。

 それに義手は義手で便利ですから」


「便利?」


「この世界の住人はプレイヤーの方のように、杖などの媒体なしで魔法を使うことはできません。

 ですから、この義手に杖のような機能もつけておりまして。

 右手なら媒体なしでも、魔法を放つ事ができるのです」


「へぇ、そうなんだ……ん、まてよ」


 ひょっとするとあれか、もしコロネに【並行思念】のスキルを覚えさせれば


 左手に氷魔法 右手に炎魔法 発動させて、「残念だったな、両方の属性に対応済みだ」ドヤァ とか。

 同じ魔法を同時に発動させてひとつにまとめて「油断したなこちらは威力が二倍だ」ドヤァ とかさせられるの!?

 やばい!中二設定じゃん!もろ燃えるじゃん!!


 私が「僕の考えた最強の設定」に一人燃えているとよほど顔に出ていたのか


「ネコ また 何か変な事考えてる」


 リリにジト目で言われる。


「強くなられる事に人一倍貪欲でいらっしゃいますから。流石猫様!」


 コロネが何を考えてるのか悟ったのか、フォローするが


「コロネが変態なのはシステムのせい。

 ネコ 変態なの システム関係ない。


 今日からキングオブ変態なのはコロネじゃなくてネコ」


 と、リリからありがたくない称号をいただいてしまう。


「ええええキングオブ変態!?

 いやいやいや、欲しくない!そんな称号ほしくない!」


「く、お譲りするのは悔しいものがありますが……

 猫様になら致し方ありません。このコロネ、その称号をお譲り致しましょう!」


 と、何故かノリノリでコロネものってくる。

 やばい確かに、コロネのおかしくなるのがシステムのせいなら変態自分だけだわ。

 反論できない。


 い、いや断じて変態じゃないけど!!

 うん……変態じゃないはずだ。



 △▲△▲△▲△▲△▲


「流石にそれは無理だと思います」


 私の考えた最強の魔法使い(キリッ)の設定を話すとコロネは手を顎にあてたポーズで否定した。


「並行思念を覚えても無理か?」


「問題が多々ありますが……一番の問題は、口は一つしかないということです。

 詠唱ができません」


 おおおおお!?そうだったーこの世界詠唱しなきゃ発動しないんだった!!

 アニメや漫画は無詠唱が主流だったからすっかり忘れてた!!


「そ、そこはガッツでコロネが腹話術を獲得するしか!」


「ふくわじゅつ……?それはどういったものでしょう?」


 無理ゲーとあっさり否定されるかと思ったが、コロネが質問してきた。

 もしかしてこっちの世界腹話術は存在しないのだろうか。


「ええっと、口じゃなくてお腹を振動させて喋る……みたいな感じの術?」


「具体的にやり方はわかるのですか?」


「……。

 まったくわからない


 あれ、そもそも腹話術って声自体は結局口から声を出すんだったっけか?

 どのみち覚えても無理かも」


「流石にそれでは……。ああ、でも面白い発想ですね。

 口以外で言葉を発するという発想はありませんでした。

 なるほど喉の振動を他の器官で行うということですね」


 コロネはふむという感じで立ち上がると、


「猫様はその【並行思念】のスキルは取得済みなのですよね?」


「ああ、持ってる」


「では、一度、魔道具を作る設備のある知り合いの家に行ってもよろしいでしょうか?

 腕も直さないといけませんし。

 猫様用の魔道具も思いつきましたので、作ってみたいとおもいます」


 と、微笑むのだった。




■あらすじ■


二日酔いをポーションで治そうとおもったら無理だった→コロネの腕落ちる→腕治すために魔道具屋いきましょう


■変更点■

とくになし

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