閑話1:VRMMO時代 カンナちゃんとの出会い編 10
「さて、それじゃあお試しモード試してみようかな」
私はカンナちゃんがログアウトしたあと、自分も一度ゲームからログアウトした。
というのも、毎日の日課をやるためだ。
このゲーム。お試しモードというのが存在する。
どの職業が適正なのか、うまい人のプレイをそのまま体感できるというものだ。
もちろん体感するだけなので、身体は自由に動かせない。
ただ、その動きを体感するというだけである。
けど、よくイメージトレーニングは大事というじゃん?
うまい人の動きを体感していればそのうち自分に身につくかもしれない。
そう思って、私は寝る前にいつもこのモードで魔法使いと短剣使いと鎌使いの動きを体感していた。
そして今日、なんと魔法アレンジの体感できるモードも実装されたのだ。
これはもう受けてみるしかないでしょう。
どうにも魔方陣を描くのに円までは描けるのだがそれ以上の進展が見込めない。
あの複雑な陣形を描くには何かが足りていないのだ。
体感モードでうまい人の感覚をつかめば、魔方陣が描けるかもしれない。
よーしいくよー。
私はそう思い、コンピューターのボタンをぽちぽちすると、体感モードを選ぶのだった。
△▲△
「さて。体感モードで大体コツはつかんだし」
翌日。私はゲームで一人野原にいた。
今日からカンナちゃんもログインしないらしいし、魔法の練習をしまくる予定。
転売も軌道にのってきて資金も豊潤になってきたし。
あとは戦い方をなんとかマスターしないと。
そろそろ岩を落として殺すのでは難しい敵もでてくるだろうし。
昨日体感モードでなんとなくイメージの仕方とイメージするタイミングのコツはつかんだ。
あとはもう魔方陣を書き上げるだけの修練をつむだけだ。
「いっちょ、やりますか!」
私は呪文を詠唱し、アレンジを加えるべく、詠唱をとなえ――イメージした。
はっきりと記憶した魔方陣が土で盛り上がって描けるイメージを意識する。
そして。
『土霊振壁』
私の呪文とともに、土がぼこぼこ盛り上がり――そして完成した。
とっても歪な形の魔方陣が。
まるで4歳のこどもが落書きしたかのような魔方陣だ。
うん。でもすげぇ!?
円しか描けなかったのが中に文様かけたとか、物凄い進展じゃない!?
うっしゃー!!練習あるのみだー!!
私はこうして、ひたすら魔法陣の描き方の練習に励むのだった。
▲△▲
「おっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!書けたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
練習からまる7日目。ただただ、魔法陣のかきあげる練習にあけくれ、やっと麻痺のトラップの簡単な魔方陣が書き上がるようになり、私は雄叫びをあげた。
いやー、長かった。まじ長かった。
魔法使い系の体感モードやってみたり僧侶系の体感モードやってみたり、いろいろ試してやっとできるようになったよ。
まぁ、麻痺の魔法陣はめちゃ簡単なんだけどさ。
でもできるようになったって凄い進歩だと思う!
なんだかんだで、その間にちょいちょい日替わりのお使いクエスト(街の中ですむクエスト)もこなしていたのでレベルも15へとなった。
次はあれだね。
職業をもう一つ選ぶだけだ。
と、いうのも、このゲーム、キャラは1キャラしか作れないため、職業を二つ持つことができる。
普通の人ならもう一つの職は大体生産系の職業を選ぶ。なぜかというと生産と戦闘のスキルポイントは別計算だからだ。
普通に考えるなら、戦闘系+生産系というのが一番効率がいいのだが……。
私の場合、カンナちゃんと二人で行動することを考えると、やっぱり火力が足りない。
カンナちゃんがバリバリ生産系だし。
倒すのは私の役目と考えた方がいいだろう。
となると、戦闘職で。
罠師ではボス戦になるとどうしても火力不足は否めないので単体火力が強い職業がいい。
尚且つ中二病満載の強そうでカッコイイ職に限る。
と、いうわけで、私は体感モードでなりたい職業を決めていた。
その名も『執行師』鎌使いで死刑執行人という職業なのだが、ワンランクアップすると【死神】という中二病満載の職業へとチェンジする。
鎌だよ鎌!死神の鎌!
好きなアニメキャラが鎌使いだった私としては是非この職業になりたい。
実用性も大事だが、やはり一番大事なのはかっこよさだと思うの。
単体火力は仕様変更でやや強さは上下するものの常にTOP3入しているし。
リーチも長いから剣よりかはマシだろう。
何より体感モードで一番爽快感があったのがこの職業なのだ。
よーし、カンナちゃんが来る前に鎌もそこそこ使えるようになるぞー!
私はホクホクで執行師のNPCの所へ向かうのだった。
VRMMO時代のお話にお付き合いありがとうございました!
以前VRMMOで別の連載で書こうとして途中まで書いた話です。
単なるプレイ日記になってしまったので連載は中止にしました。
最後まで読んでいただきありがとございました!










