閑話1:VRMMO時代 カンナちゃんとの出会い編 8
さて、カンナちゃんもログアウトしたし。
私は街に戻ると、ムムムと、マルティナ商店の商品一覧を見始めた。
そう、お金もそこそこ貯まったし、そろそろ転売に手を出そうかなと思ったのだ。
まぁ、あまり褒められる事ではないのだが、やはり後発組みなうえ、金の貯まらないアテナサーバーでやるのだから、お金はなるべく稼ぎたい。
カンナちゃんの生産スキルを上げるのも何かと金がかかるし。
さて。まずお店システムを紹介したい。
このマルティナ商店、アテナサーバーとガイアサーバーの二つのサーバーで共有している。
いままでいろいろネトゲをやっていたが、サーバー間をまたいで両方で共有してるのはかなり珍しい。
どうにも、最初は別々だったらしいのだが、アテナサーバーが人が減りすぎて、商品が売れないとの苦情で、4ヶ月前あたりから実装されたらしいのだ。
ということは、わりとネトゲになじみのない、流行りでゲームに参加したライト層のガイアサーバーの住人が商品を売り出しているわけで。
値段の相場もわからない人が、わりと間違った値段をつけて出品している可能性がある。
出品される順番は同じ名前の商品なら値段の安い順となる。
初心者は同じ商品だからと、はやく売りたくて値段を安くつけてしまうのだが……
実はこのゲーム。同じ装備でも微妙に数値が違うのだ。
そして、カンストレベルの最高数値の装備は、それこそ誤差でかない微妙な数値の違いに廃人はかなりの金額をだすのだ。
私は数多く出された、カンストレベル80レベルの装備のS装備を漁り始める。
今現在実装されている武器防具は最高がSSR>SS>S>A>B>Cとなっているのだが、手に入るのはS装備まで。
いわばS装備が最高装備だ。
武器は所持金的に手出しできないので、狙うは手袋や頭装備。
そしてまかり間違っても手出ししてはいけないのは、PVP戦で不人気職とPVPで役にたたないOPの装備。
微妙な数値にこだわる層はあくまでもPVPで人気職。
というのは、このゲームPvPは相手の装備が不正していないか、PVP開始を待つロビーにて相手の防具の数値まで確認できるからだ。
このとき最高数値だぜドヤァをしたいがために、最高数値の装備には高額を出すのが廃人の礼儀なのである。
なんでそんなことを知っているかというと、もちろん私もドヤァ!したい層だからです。
痛い子です。すみません。
ということで、私は早速、最高数値で叩き売りされていた手袋装備を発見する。
恐らくよくわからないライト層が、OPの違いを知らずに、はやく売りたくて安値で出品したのだろう。
OPの悪いものが8万Gくらいで売ってるし。
魔導士用の手袋装備で防御が物理&魔法防御とも最高数値。OPもかなりいい。
売値が10万Gなので所持金でなんとか買える金額だ。
やった運がいい!
私は全財産叩いて買うと、そのまま50万Gで出品する。
だって同じOP&防御値の商品が60万Gで売ってるからね。
ちょっと強気設定いこうとおもう。
あとは野となれ山となれ。
私は商品を売ると、そのまま次は魔法の練習をはじめた。
なぜってもちろんアレンジが楽しいからだ。
やばいこれハマリそう。
アテナサーバーが人が少なくなりすぎて、起死回生を狙ったのか最近アテナのみ魔法アレンジが実装された。
そのおかげでアテナサーバーで魔法アレンジの動画が人気で、なかなか面白い事ができるのがわかったのだ。
まぁ、アレンジったって、火の弾を大きくしたりとかたかがしれてるんだけど。
……が、やはり誰でもできるというわけではなく、それなりの練習が必要になる。
まぁ、その魔法アレンジで人が増えたとしても、既にスタートダッシュを決めた層はガイアサーバーに定着してしまっているので、それほど集客効果があったのかは定かではない。
私が魔法でやってみたいこと。
それは魔方陣を土魔法で描き上げるコトだ。
というのも、罠スキルが不人気な理由は、高度な罠は必ず魔方陣を書かないといけないのだ。
今現在罠師をやっている人たちは魔方陣を描いた布を持ち歩いて使っているらしいが、それではいざというとき対応できないし。
こう土魔法で魔方陣を書いて、トラップ発動とかものすごい中二心をくすぐられる。
漫画みたいでかっこいいじゃん!中二病まっしぐらの私にとっては見かけは大事。ビジュアルは大事。大事な事なので二回いいました。
最近、落とし穴を掘りまくったおかげで、痺れ効果のある罠、シビレ罠ができるようになったし。
これが、発動させる前に魔方陣を描いて、その上にモンスターをのせる必要があるからね。
うっしゃぁぁぁ!!魔方陣を描く練習じゃぁぁぁぁぁ!!
意気込んだのもつかの間
3時間練習してその日にできるようになったのは、円を描きあげることだけだった。
やっべ、これ難しいわ……。
△▲△
そして次の日。
朝起きてログインしてみると、転売した手袋は売れていた。
やった所持金5倍!
こうして今日もまた、私は作った罠にスライムをおびき寄せ倒し、その落とし穴の隣でカンナちゃんがひたすら小物いれを作って裁縫スキルを上げているのだった。










