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閑話1:VRMMO時代 カンナちゃんとの出会い編 6


「はい。ナパムの葉、全部売れて売上は6650Gになりました。

 二人でわけると3325Gですね」


 マルティナ商店で商品を出品し、それから5分後。

 他に出品してあったナパムの葉より少しだけ安く売ったおかげで、たった5分で完売した。

 手数料でマルティナ商店に売上の5%とられるが、それでもホクホクの儲けだ。

 

 まぁ、今、ゲーム内イベントで「錬金術師のスキル熟練度をあげると課金アイテムがもらえるよ!」キャンペーンをしているのも影響し、バカ売れ状態なのも功を奏した。


「3325Gですか……」


 私からお金を受け取るとカンナちゃんがしばらくポカーンとして


「ねねねね、猫さん!

 私一ヶ月ゲームやっていましたけど、こんな大金もったことないです!

 お金もってて最高でも800Gでした!」


 もらってから気づいたのか、カンナちゃんが狼狽しまくる。

 まぁ、確かに話を聞いた限り、カンナちゃんはこの二ヶ月、ひたすら釣りと料理と裁縫スキルをあげていただけらしい。

 そりゃ、お金なんて貯まらないはずだ。



 ちなみにこのゲーム、プレイを始める前に、開始できる街が選べるのだが……。

 このモルテルンの街は、一番人が集まる帝都からも遠く、目星い狩場もあるわけでもないので、不人気だったりする。

 ただでさえ、人気のないサーバーの過疎街で始めたのだから人に出会わないのも納得といえば納得である。


「売れてよかったですね。

 とりあえずあの場所は5日間はナパムの葉が生えると思いますから、これから毎日通いましょう」


「5日ですか?」


「はい。このゲーム生息地が一定周期で変更になりますから。確か植物の生息地は5日周期で変わるはず。

 その間、儲けられるだけ儲けないと。

 私がウサギ狩りをした日は生えてなかったから、生息地になったのは今日だと思うので。

 今日から5日は生え続けるとおもいます。

 二時間毎に生えてくるはずですから、また二時間後行きましょう」


「二時間後また生えるんですか!?」



「ええ、二時間後また同じ場所に生えてくるはずです

 攻略サイトで見たから間違いないかと」


「ええっと、ということは二時間後また3325Gで売れるってことでしょうか?」


「うーん。そこは人間相手なので何とも。

 その時の相場もありますし。

 こういう素材系はあまり値段変わりませんが、時間帯によってはもっと高く売れるかもしれないし、もっと安いかもしれないし。

 その時の売り手の人数とか買い手の人数も関係しますからね。。

 とりあえずすぐ売れるを重視して、安め設定で売ったから、もうちょっと時間をかければ高く売れるかもしれないけど……


 でも出品できる商品数に限度があるので、やはり安め設定ではやめに売ってしまったほうがいいですね」


 私の説明にカンナちゃんがぽかーんとしたあと


「猫さんって凄いですね!」


 と、ほぅっとため息をついた。


「私もスキルとか勉強したつもりだったけど、全然ですね。

 そういうの全然わかりません……もっと勉強しないとですね……」


 ちょっとしょげたように言う。

 

「MMOなんてやってるうちに知識が身についてくるものですから、気にしなくていいですよ。

 それに生息地を見つけたのはカンナさんなんだから、手柄はカンナさんですよ?」


 私がそう言って微笑むと、


「いえ、やっぱりすごいのは猫さんだと思います!!」


 と、カンナちゃんは嬉しそうに微笑んだ。


 うん。やっぱりカンナちゃんマジ天使。

 リアルが例え男だとしても、ゲームで天使なら問題ない。


 ……だよね?


△▲△


「さて、カンナちゃんもログアウトしたし…そろそろ魔法の練習しようかな」


 結局あのあと。私とカンナちゃんはひたすらモウモウ狩りとナパムの葉とりに明け暮れた。

 カンナちゃんも夜の10時まで頑張ってログインしていいたのだが、そろそろ落ちないと親に怒られるとのことでログアウトしていった。

 ひょっとして学生さんか何かなのだろうか?


 まぁ、リアルは詮索しない主義なので聞かないけど。

 お金もあれからナパムの葉を売りまくったおかげで2万Gまで貯まった。

 私はもう少しログインしているからまだまだ貯めるんですけどね。

 2万Gというと初心者の私たちには大金だが、すでにlevel80までカンストしている人たちにはそれほど大金ってほどでもないし。

 それに、カンナちゃんがいたからできなかったけど、動画で見た、土魔法の応用とやらを練習する必要がある。

 動画でみた魔法訓練所の教官の言葉を私は思い出す。


 詠唱魔法中に詠唱を一文加えることによってアレンジができるようになるとか。

 ちなみにこれもアテナサーバーだけの特権だ。

 元々はこんな機能はなかったのだが、あまりにもアテナサーバーに人が集まらないので後になって追加された仕様らしい。

 というのもアテナサーバーは呪文を丸暗記しなければいけないが、ガイアサーバーは呪文の名前を言えば勝手に魔法を詠唱してくれる。

 いちいち魔法丸暗記などしたい人はあまりいないわけで。

 もうガイアサーバーはいたれり尽くせりだよね。

 そりゃもうみんなガイアサーバーいくはずだ。


 でも応用できるって楽しそうじゃない?


 自分だけの魔法っぽくて。私は詠唱に一文加えると、土壁のイメージではなく、土がえぐれ、大きい穴ができるようイメージして呪文を詠唱した。


 とたん


 ぼこっ!!


 ほんのちょっとだけ。

 本当にちょっとだけだが、呪文で土がえぐれたのだ。


 ……うん。初めてにしてはきっと上出来だ。いや、よくわからんけど。


 私はNPCから買ってきたナパムの葉より回復料のずっとすくないMP回復のセーヌの葉をもしゃもしゃ食べてMPを回復する。

 一個5GPだし。いっぱい儲けたからこれくらいの贅沢は許されるはずだ。

 カンナちゃんが来るまで落とし穴位は作れるようになっておきたい。

 カッコイイ所を見せたいという乙女心(?)というやつだ。

 私はこうして再び魔法の練習にとりかかるのだった。


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