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閑話1:VRMMO時代 カンナちゃんとの出会い編 2


 草の臭い。そして風のそよぎが肌を伝い気持ちいい。

 ゲームの中にログインした途端感じた感覚に私は感嘆のため息をもらした。

 はじめてVRゲームをプレイしたけどすごいな。

 こんな感覚まで感じることができるのか。


 スタート地点のモルテルンの街にたどり着いた私は感動で辺を見回した。


 そこには棒立ちしているNPC達の姿と、西洋風の街並みが広がってはいるが、プレイヤーらしき人物はいない。

 流石2ヶ月で過疎ったアテナサーバーなだけはある。

 このゲーム1キャラしか作れないため、みなガイアサーバーに移住してしまったのだろう。


 ちなみにグラニクルオンラインはNPCが人間のように意思をもってペラペラ喋り出したりはしないらしい。

 話しかければ普通のRPGゲームのNPCのように決まった言葉を返してくるだけみたいだ。

 イベントNPCに至っても、勝手にプレイヤー無視で寸劇のようにお芝居をはじめるだけであって、こちらの意見など聞きはしない。

 VRMMOと銘打つならNPCとも喋れるくらい夢見たのだが流石にそこまで技術は進んでいないらしい。

 まぁ、そんな思考をもつNPCができるなら、とっくに世界中アンドロイドだらけになってるよな。うん。


 まぁしかし、あまり人と関わりたくない私にとってはちょうどいい。

 いちいち会話とか面倒だし。


 よし!攻略サイトではウサギ狩りが初心者にはお薦めと書いてあったから早速ウサギでも狩ってみるか!


 私はウキウキで近場の草原に走っていくのだった。



 ▲△▲



 ウサギ狩りに向かったけれど……、結果は見事に惨敗だった。

 リアルなウサギすぎて、可哀想で倒せなかったのだ。

 え?だってウサギだよウサギ。

 可愛いすぎるっ!?あれは愛でるものであって殺すものじゃない。

 あんな愛くるしい動物殺したらリアル夢でうなされてしまう。

 

 はぁ……。リアルすぎるのも考えようによっては問題だよなぁ。

 

 などとトボトボ草原を歩いていると……。


「んもぉぉぉぉぉ!!」


 雄叫びをあげて物凄い勢いで、牛の大群がこちらに向かって猛ダッシュしてくる。


「はぁっ!?」


 私は思わずすっ飛んきょんな声をあげた。

 牛の向かってくる方向がモロに私のほうだったからだ。

 あれはモンスターのモウモウだ。

 プレイヤーをみると突進してくる習性があるらしい。


 うおぉぉぉぉぉ!?


 全力で走り、近くにあった岩の影にダッシュで隠れれば


 どすん!!どすん!!


 物凄い音をたて、モウモウが岩に激突し……PON!という音をたて宝箱を残し消えていった。

 モウモウは馬鹿なのか、後続の牛達も次々と岩に体当たりしてはそのまま死んでいく。


<<猫まっしぐらは経験値5を手に入れました>>

<<猫まっしぐらは経験値5を手に入れました>>

<<猫まっしぐらはレベルが2になりました>>


 というシステムメッセージが流れ……モウモウの大群がすべて全滅する頃にはなぜかレベル4まであがっていた。

 うん。なんだよこれ?なにかのボーナスステージだったのか?


 こうして私の狩りデビューはわけのわからないボーナスステージとなったのだった。


▲△▲


 パチパチパチ


 自滅牛からドロップした牛の肉を焚き火で焼きながら、私はぼんやりと考え事をしていた。

 ちなみにこのゲーム、全ての敵が倒すと死体は消え宝箱を落とし、宝箱の中から肉、皮、アイテム、お金を落とす。

 流石に、死体をナイフで解体しろ!というほどリアルさはなかったらしい。

 カッさばいて、死体解体しないとアイテムが手に入らないとかだったら、鬼ゲーすぎて流石に私には無理だったが。


 そう、私は考えていた。

 今回は運良く、勝手に牛達が自滅してくれたからよかったものの……。


 戦うことになったら、私はあれを殴れるのか?

 うん。無理だ。よく考えなくても無理だ。

 リアルで闘牛に挑めといわれてるようなものだし。

 怖すぎて無理ゲー。


 そりゃ、みんなガイアサーバーいくよな。



 職を選ぶならやっぱり遠距離攻撃系の職業にしなければ無理だろうな……。


 そんなことを考えながら、私は肉にかぶりつく。

 

 うん。どうやら味はあるらしい。これはすごい。

 味は普通の牛肉だけど。


 ってことはあれか、夢の漫画肉とかドラゴン肉とかも食べれるわけだよね。

 やばい、どんな味だろう。ちょっと考えるだけでワクワクする。


 さーって、これからどうしようかな。

 とりあえず、もう少しリアルで情報集めてから活動したほうがいいらしい。


 久しぶりだな。こういうネトゲで情報を集めるワクワク感。

 私は学生時代以来の胸の高鳴りに心躍らせるのだった。

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