閑話1:VRMMO時代 カンナちゃんとの出会い編 1
VRMMO時代の話です。
カンナちゃんの話が以後結構でてくるので以前VRMMO物で書こうと書いたものを挟んでみます。
VRMMO時代は興味ないという方は読み飛ばしても影響ありません。
10話あります。今日中に全部投稿しますので、興味ない方はスルーでOKです。
『グラニクルオンライン』
最近日本でサービス開始したVRMMOゲームだ。
ネットで調べてみたがVRMMOとは銘打っているが、実際にはMOとVRMMOを組み合わせたゲームらしい。
このゲームは主にサーバーが二つに分かれる。
一つはガイアサーバー。
戦闘はターン制。敵はエンカウント制。
生産は材料とスキルさえあればボタン一つで完成するというお気楽サーバー。
VRMMOでそれはどうなのかと思われるかもしれない。
だが現実問題社会人や学生でも一日2〜3時間プレイできればいいほうなので、プレイするとなると、これくらいお気軽にしないとプレイヤーが集まらないのだろう。
実際、こちらのサーバーは主婦から学生やら社会人やらで大盛況らしい。
もう一つはアテナサーバー。
こちらはVRMMOと言う名の通り、本当にリアルでモンスターと闘う必要がある。
生産ももちろん一から材料でつくらないといけないというガチサーバーだ。
こちらは……残念なことにサービスが始まって2ヶ月くらいですぐに過疎への道へとまっしぐらになったらしい。
最初は盛況していたが、皆すぐにガイアサーバーにキャラを作り替えて移住してしまったのだ。
というのも、あまりにもリアルすぎたのだとか。
モンスターを一匹倒したり生産物を一個つくるのに半日かかってしまうようほどのリアル度でそんなサーバーに人が集まるわけもない。
それこそ生活の全てを捧げられる廃人しかプレイしている時間がないのだ。
下手をすれば、生産アイテムを作ってる途中で学校や仕事に行く時間になってしまう。
ゲームをしても生産物ひとつも完成できないゲームに誰が参加したいだろうか。
そして、例え一日中できる廃人達も、やはり人がいる方のサーバーの方がいいわけで……。
結局過疎の道まっしぐらになったとか。
私は、迷った結果、アテナサーバーを選んだ。
別に戦闘に自信があるだとか、リアルに何かにチャレンジしてみたいというわけではないけど。
それなりに打算はあった。
このゲーム。プレイヤー同士の商品のやり取りは、『マルティナ商店』という商店に手数料5%を取られる事でやり取りできる。
しかしこの商店、他のネトゲでは見ることのできないガイアサーバーとアテナサーバー両方の商品が出品できやりとりできるのだ。
つまり、過疎地でプレイしたほうが、モンスターは狩り放題だし、ガイアサーバーで問題になっているボス待ちなどの時間もない。
より多くの商品が出品できるわけで、それをガイアサーバーの小金持ち達に買わせる事ができるのだ。
うまくやればガイアサーバーよりも効率よく稼げる。
それに一から手作りしなければいけないというのは、逆に言えば「一から手作りできる」ということでもある。
自由度が高いというのは心踊るものがあるし!
魔法なども、ガイアサーバーは融通がきかないが、アテナサーバーは多少アレンジもできるらしいし。
せっかくゲームを始めるなら自由度が高い方が楽しそうだというのも理由の一つ。
こうなんていうの?プレミア感だよプレミア感。
やや中二病を患っている私としては、人より違うというのはなんとなくカッコイイと思えてしまう。
どうせ引きニートだし、時間はたっぷりあるのだ。
無理そうならキャラを作り直して、ガイアサーバーでやり直せばいい話だし。
私は迷うことなく早速アテナサーバーを選ぶのだった。
△▲△
キャラメイキングかぁ。
私はキャラメイキングの画面で、考え込んだ。
正直、モデリングの経験はまったくない。
私は自分を一度スキャンしたあと、それを男性化し、微調整して美形キャラに作り直す。
どうせやるなら美形のほうがいいよね。
身長は……なんとなくリーチが長くて有利そうだし、思いっきり身長高くしちゃおうかな?
191cmくらい。
ポチポチ調整して、ほぼ一日がかりで私はキャラクターを完成させた。
うん、どうせやるなら、キャラメイクにはこだわらないと。
そして次に決めないといけないのが名前だ。
これがまた難しい。すでにこのゲームサービス開始から1年経過している。
このゲーム、名前被りは禁止なのだ。
だいたいの名前はすでに使われてしまっているだろう。
特殊な名前にするか、名前の後や前後に✝などの記号をつけるしかない。
私は昔やってたネトゲのキャラの名前やら好きなアニメのキャラの名前やらを入れてみるが……
≪すでにその名前は使われているので使えません≫
と、表示される。
くっそー、やっぱりだめかぁ。
もう適当でいいや。
私はTVで猫が餌にまっしぐらに寄ってくるCMを思い出し【猫まっしぐら】という名前にした。
そして――自分のキャラ名は無事通過する。
誰も使っていなかったらしい。うん。ありがたい。
そのあと、種族は人間に決め、とうとうゲームが始動する。
はじめてのVRMMOゲーム。少しワクワクするのが自分でもわかる。
どんな体験ができるのかな?今から楽しみで仕方ない。
こうして私の冒険ははじまりを告げるのだった。










