28話 ホットケーキ
「さて、今日の夕飯はどうしようかな?」
私は台所の前で考え込んだ。
パターンは二通りある。
1・料理スキル熟練度100のカンナちゃんからもらった料理をアイテムボックスからだす
2・私が作る
の二通りだ。
ただ、1の場合、料理スキルを上げるためにつくった料理を沢山貰ったとはいえ、どうしても数に限りがある。
料理スキルが高い人の作った料理には魔法効果がつくので、出来ればいざという時の為にとっておきたい。
今日は時間もあるし、私が作るかな。
なんたってキッチンはそのまま日本と同じなのだ。
リリとコロネを含め三人分の料理くらいなら私でもできるだろう。
あまり手の込んだものは作るの面倒だから、カレーでも作ろうかな?
普通にカレールーのストックあるし。
このテントの中の物は腐らないはずなので大丈夫だろう。
「ネコ、何してるの?」
ゲームをしていたリリが後ろからひょこっと顔をだした。
どうやらゲームに飽きたらしい。
「うーん。夕飯何にしようか迷っててな。
リリ何食べたい?」
「えーと、リリ前からこれ気になってた」
言って、キッチンの棚の上にあったホットケーキミックスの箱を取り出す。
ああ、カンナちゃんが料理スキルを上げるときに使っていたものだろう。
まだ残りはかなりある。この棚にしまっておいたものは腐らないのでまだ十分使えるはず。
「よし、じゃあリリはホットケーキ作ってやるよ」
言ってわしゃわしゃ頭を撫でてやれば嬉しそうにうんうんと頷くリリ。
そういえばコロネの家ではいつもデザートはフルーツで、お菓子とか出てきたことなかったわ。
どうせならドーナツとかも作ってあげようか。
ミックスあるから簡単だし。
こうして私はカレーとホットケーキとドーナツを作りはじめるのだった。
△▲△
「ネコー!!ポツポツした!!ポツポツした!!」
ホットプレートでホットケーキを焼きながら、ホットケーキの表面がポツポツ泡がでだしたら教えてくれとリリに頼めば、ずっと真剣にその様子を見守っていた。
やっとホットケーキの表面からポツポツと泡が出てきたらしく、リリが嬉しそうに報告してくる。
「あーじゃあひっくり返そうか」
と、リリの目の前でフライ返しでぽんっとホットケーキをひっくり返すと
「おおーー!!」
と、目を輝かせる。
「リリもやりたい!リリもやりたい!!」
もう一枚のホットケーキを指差しリリちゃんが嬉しそうにホットケーキを指さした。
うん本当こういう所は子供である。
「火傷しないように気をつけろよ。鉄板部分には絶対触れないように」
私は言いつつ、念のため、火傷しないようにリリに簡単なバリアを纏わせる。
「だいじょうぶ!リリ大人!」
ふんむーとフライ返しを両手にもって、ホットケーキと対峙する。
うん。はりきり具合がマジ可愛い。
大人と自分で言う子ほど子供という法則はここでも有効らしい。
早速、ぐいっとフライ返しで勢いよくツッコミ……そのままよくありがちな失敗でホットケーキを半分に割ってしまう。
「……あ」
リリが情けない声をあげるのだった。
△▲△
「これはまた、沢山作りましたね」
コロネがホットケーキの山を見て感想を呟いた。
「見て!コロネ!リリ作った!!」
言ってきれいにまん丸にできたホットケーキをコロネに差し出す。
最初は失敗続きだったが、何枚か作るうちに綺麗な円でほぼ同じ大きさのホットケーキが大分上手にできるようになっていた。
ゲームといい、料理といいこの子は本当器用だわ。
「うん。上手になったぞ。えらいえらい」
と、私がリリの頭をナデナデすればえへへーとにっこり微笑むリリ。
「しかしこれほどの量のパンケーキを食べきれるでしょうか」
真剣な顔で言うコロネ。
うん、確かに作りすぎた。
「ラップに包んで冷凍しておけばへーきへーき」
言って、ラップを取り出せば
「それは……なんでしょう?」
とコロネが首をかしげる。
うん。そうか。まずはラップから説明しなきゃいけないのか。
こうして、私の台所説明講座がはじまるのだった。
「レンジにIHキッチンに冷蔵庫ですか。これはまた面白いですね。
火を使わなくていいというのは確かに安心かもしれません。
電化製品というのはすごいですね」
コロネがまじまじと冷蔵庫の中身を見ながら呟く。
「あ、コロネあまり長時間開けておくと冷気が逃げるから注意な」
と、私が言えば
「ああ、なるほど。そういう仕組みですか」
と、ぱたんと冷蔵庫をしめた。
「でもさ。こっちの世界って魔道具すごいじゃんか。
ほら、風呂入らなくても魔道具の上に乗れば服も体も綺麗にしてくれるってやつ。
コロネの家とか城とかにあったよな。
ぶっちゃけ日本の電化製品より魔道具の方がすごくないか?
あれだけのことが出来るならこれくらい魔道具で作れたりするだろ?」
言って、リリちゃんがもぐもぐと「美味しい!」とホットケーキとドーナツを食べてる横で、余ったホットケーキをラップしつつ聞けば
「ああ、そうですね。
確かに作ろうと思えば作れます」
と、あっさり肯定するコロネ。
くっ!?こういうとき漫画やアニメなら、日本の電化製品超スゲェェェェが出来るはずなのにこっちの魔道具が優秀すぎて凄さがあまり伝わらない。
いや、日本の電化製品がすごくったって私の手柄じゃないんだけどさ。
コロネはまじまじと電化製品を見つめ
「ですが、あの身体を洗浄する魔道具もですが、作れる技術をもつのは私ともう一人、私の知り合いくらいでしょう。
作り方は公開しているのですが……技術的に作れるものが現在私ともう一人しかいません。
おそらく、この電化製品と同じものを作ろうとしても、やはり私ともう一人の魔道具職人しか作れません。
売りに出そうとすれば、かなり金銭的に余裕のある貴族でなければ手がだせない金額になるかと。
料理などは専属の者に任せている貴族がわざわざこのような物を買うとは思えません。
売れるとすればかろうじて冷蔵庫の方でしょうか?」
「え?あれ作ったのコロネなのか?」
「はい。研究中、風呂に入る時間が惜しくて開発しました。
あれでも私以外の作れない部分を除いては外注しているのですが。
それでも重要なパーツを作れるのが私のみです。
私もあの魔道具のパーツ作りばかりをやっているわけにもいきませんので、どうしても作れる数に限りがあります。
いま品薄状態で予約待ち状態と聞いております」
うん。やべぇ。転移の魔方陣を無効化したとき薄々感じてたけどコロネマジ優秀じゃないか?
なんだよ単なる変態じゃなかったのか。
「猫様の世界のすごい所は、このような電化製品を量産でき、それが貴族でもない身分の者にまで行き渡っていることです。
やはりこちらの世界とは比べ物にならないくらい進んでいると思われます」
言ってキラキラした目で興味深そうに冷蔵庫の説明書を読み漁っている。
何だかんだ言って、作る気は満々らしい。
「へぇ。そういうものかな。
あ、コロネ。カレーも出来たみたいだからご飯にしようか」
言って私が炊飯器を開ければ
「これはなんでしょうか?」
と真剣な表情で聞いてくるのだった。
うん、そういえば説明してなかったかもしれない。
△▲△
「猫様の手料理が食べれるとはこのコロネ・ファンバードっ感激の極みですっ!!」
スプーンを天に掲げ何やら演説を始めそうなコロネに
「はい。そのモード自粛しろ」
と、私が言えば、コロネはハッとして
「はい。すみません。テンションが上がるとつい」
と、大人しく席に座る。
テーブルには私とコロネ分のカレーと、リリ用にちょっと甘めにしたカレーが用意してある。
あれから炊飯器を説明し、そのままご飯を食べ始めたのだ。
「まったく、コロネはそれさえなければマトモなのに」
と、私が言えば
「ネコ、人の事 言えない。 装備の話になればネコも変態。
ネコもコロネも五十歩百歩」
と、リリがジト目で私を見る。
うん。ごめんなさい。確かに人の事を言えなかったかもしれない。
こう、レア装備の事を考えるとテンション上がるというか何というか。
あれ、やばい。確かにコロネの言い訳と言ってる事一緒だわ。
「にしても、リリよく、五十歩百歩なんて難しい言葉しってるな」
「リリ、ボスモンスターの時 プレイヤー達の会話 聞いてた。
だから 難しい言葉 たくさん知ってる!」
リリちゃんがエッヘンと胸をはるのだった。








