145話 レベルの効果
神々の復活。
それにはまだあとほんの少しだけ神力が足りないらしいのだ。
神様一人に集中して力を注いで一人だけでも復活させれば!?と魔王に提案してみたが、この世界の柱になってしまっているので既に全員一体化してて個別扱いするのは無理だということを物凄く小難しい説明をされた。
やはりエルフの大神殿の魔獣をシステムから開放して倒すのが一番てっとり早いだろう。
魔獣はゼビウスの化身なので神力もってるし。
今コロネとリリが、存在を確認している神力持ちのプレイヤーの力を吸い取ったあと、エルフの国王に承諾を貰いに行く手はずになっている。
私もついて行ってもよかったのだが、クリファが魔王を狙ってこないとも限らないので魔王護衛についている状態だ。
……というか、コロネに告白してしまった手前、コロネと一緒にいるのが恥ずかしいというか。
いや、いくらコロネが覚えてないとはいえだよ!?
コロネからも好きだと言われたわけで。
いや、でもあれシステムが言わせたって事もあるしな……。
システムで私好き状態のコロネに付き合ってというのは物凄く卑怯な気がするのだ。
だから魔王が通常状態に戻ってシステムを外してもらわないとな。
私が一人ため息をついていると――
『ネコ!!大変!!』
かなり慌ててた感じで念話で、リリが話しかけてくる。
『どうしたの?』
『ネコの友達カンナ!!この世界に来てるかも!!女神に追われている!!』
『はぁ!?』
『レヴィンからの報告です。
旧セルレーン王国領でカンナ様が女神に追われているとの報告がっ!!
カンナ様の名の刻まれた彫刻をもった、男が、ミカエルに猫様に伝えるように伝言を預かったと尋ねてきたそうです。
それと、どうやら大神殿の魔獣が消えたとの報告も』
『はぁ!?なにそれ!?』
『女神の仕業かと思われます。
いま、リリ様と私でセルレーン領に向かっています。瞬間移動は私達の方が早いはず。
ネコ様は呼んだらいつでも瞬間移動で飛べる準備をしていてください』
そこで、リリとコロネは移動に集中しているのか会話が途切れる。
「どうかしました?」
sionが問う、異変を察知したのか、上空で見張りをしていた守護天使達も私の元に降りてきた。
しかし私は無視して魔王に詰め寄ると
「ちょ!?なんでカンナちゃんがこっちに召喚されてるんだ!?
いますぐ自分をカンナちゃんの場所にワープさせてくれ!!」
魔王に問えば、魔王は視線だけをこちらに動かして
「私にそれだけの力は残っていない。
カンナも確かに神の力を宿していた転生者だ。だがこのタイミングで転移してきたとなると、クリファが何かしたのかもしれぬ。
気をつけろ。もう、私はシステムの全てを維持できる力は残っていない。
どこまでシステムが維持できてるのかも……私自身わからぬ。
ギルドチャットや誰も利用していなかった機能などには大分前から力を注ぐのをやめていた
だからカンナと連絡がとれなかったのかもしれぬ。すまなかった」
「力を注ぐのをやめていた?」
「そうだ。私が神力を注いでいなければシステムは作動しない。既に私は世界を維持するだけで手一杯だ。
大分前からお前とお前のギルド員だけにシステム維持の力を注いでいる状態だったが……。
だが、もうそれも限界に近い」
「それは、つまり……」
「ああ、確認してはいないがパーティーを組んでいる味方同士でもダメージを与える事になるかもしれない。
魔法や、技、スキル、アイテムも正常に作動するかもわからぬ。
レベルももう、信用するな。あれを維持できるだけの力が私にあるかも怪しい。
クリファが神の力をつかってくれば、お前たちでも勝てるかわからない」
「レベルがないだけでそんなに違うのか?」
「違う。
そもそもレベルはシステムを無理やり適合することで神々の力を抑え込むのが一番の目的だった。
押さえ込まねば、下級の神のクリファですら、一瞬でこの世界など滅ぼしてしまうほど強大なのだ。
だからこそ、こちらの世界の神々は争う事をためらった。
戦いが生じた時点で、世界は滅亡したも同じなのだから」
言って苦しそうな表情になり眉をひそめる。
その顔は真っ青でいまにも死んでしまいそうだ。
どうやら本当に魔王はやばい状態らしい。
「どうやら……自分が思っていたより時間がないようだ……」
魔王の口から血が溢れ出る。呪文で完全回復させたはずなのにである。
「くっ!!待ってろ、すぐクリファを倒して、神々を復活させてやる!」
私の言葉に魔王は視線だけ向けて目を細め力なく笑うだけだった。
うん。コロネの顔でその表情はキツイ。
まるでコロネが死んでしまうのではないかと錯覚を覚える。
「sionは傷薬を!ファルティナは魔王に回復魔法をかけ続けてやってくれ!
レイスリーネとアルファーとザンダグロムは硬質化して私のアイテムボックスの中に!
リリたちから連絡があり次第カンナちゃん救出に向かう」
私の指示に皆頷き、各々行動にうつる。
もうこうなったらリリとコロネがはやくセルレーン領についてくれることを祈るしかない。
どうか――無事で――。










