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138話 ダンジョンボスの気持ち

「お前が愚神の子らか、妹サシャをよくも殺して……」


『魂奪冥霊斬!!』


 何度目かになる異界の神の襲撃に、私は迷うことなく鎌でその身体を切り刻み。


『冥帝破線光!!』


 コロネの魔法が襲い


「必殺✩ワンダーアクションプリズムアタック!!」


 リリが勝手に名付け編み出した鍵爪の技がその身体を引き裂いた。


「そんな……馬鹿な……」


 もう何度目になるかわからないセリフを吐きながら、名もない異界の神が滅んでいく。


 ……いや、たぶん名前はあったんだろうけどさ。

 流石に異界の神様襲撃10回目とかになると名前とか聞くのめんどい。

 


 結局。最終決戦だ!世界やばい!

 と天界に乗り込んでみたのだが、何故か襲撃してくる神々はレベルがとても低かった。


 あの赤髪の女神も、結局あれから復活することなくそのまま倒せてしまい、こちらが拍子抜けしてしまったくらいだ。


 襲ってくる神々のレベルは800〜1000。

 一般人からみれば神様だし決して低くはないんだけどさ。

 1306レベルの私たちからすれば雑魚でしかないわけで。


 天界のゲートを伝ってやってくる神々を来るたびに撃破しているのである。


 しかし、いつも思うのだが、異界の神とやらは、私たちより明らかにレベルが低いのに何故か得意満々で一人で挑んでくるのだ。

 

 それはギャグでやってるのか!?


 と真剣に突っ込んでみたが、異界の神は激怒しただけだった。どうやらマジでやってるらしい。

 どうもクリファが呼ぶときにシステムについて詳しく説明していなかったっぽい。

 私たちも最初は真面目に相手をしていたのだが、流石に10人目となると異界の神々への扱いが雑になっている。


「あー、コロネの背中また光だした」


 と、異界の神を倒したあと、リリがのんきにコロネの背中を視て言う。


「ああ、本当ですね。

 大体異界の神を3人倒すと一度光るくらいの割合でしょうか?」


 と、コロネが肩越しに背中を見ていった。


「これやっぱり黄昏の紋章なんですかね?」


 とsionもコロネの背中を見つめた。

 コロネの背中の光はある程度時間がたつと、眩い光を放ち、空に向かって飛んで行き、神々の水晶を輝かせた。


 リリが言うには、この光を浴びるたびに、神々の気が強くなっているらしい。

 どうやらこれが神様復活の鍵となりそうなのだ。


 なので、私たちはダンジョンのラスボスよろしく、何故か一人で戦いを挑みにくる勇者……ではなく異界の神を待ち構えてここで待っている状態なのだが。


「なんだかダンジョンのラスボスってこんな感じで冒険者待ってるのかな?」


 リリとレイスリーネとアルファーと4人で連携の練習をしながら呟く。

 ちなにみコロネとsionも魔法の修業中だ。

 sionも自分の身くらい守れるようになってもらわないと。


 なんとかスパーリングフィールドも張れたので、守護天使達が操られることもないだろう。


 ファルティナは異界の神々がこちらに向かっていないか異界へと続く門を見張っている。


「リリ ボスダンジョンのとき 意志なくてよかった!

 いまは猫達いるけど 一人だったら暇すぎて耐えられない!」


 と、リリ。


「あー、確かに私も無理だ」


 私が言うとアルファーがボソリと


「猫様は冒険者から装備を奪っていそうなイメージがあります」


 と、わりと酷い事をいう。

 うん、ちょっと最近コキ使いすぎたしね。

 少し拗ねてしまったらしい。


「猫様はどちらかというと、自分よりレベル上のダンジョンボスに挑んで倒して装備を奪っていそうなイメージです」


 ニコニコしながらレイスリーネ。

 好感度高いはずのレイスリーネちゃんにまで酷い言われようである。


 結局あれだよ。私は人から装備をぶんどるイメージしかないってことだね!

 うん。なにげにひでぇ。

 流石に日頃の行いが悪すぎたようだ。


「あ、そろそろ時間!リリ、リュートからご飯もらってくる!」


「あー、もうお昼の時間かぁ。じゃあ気を付けてなリリ」


「はぁい!」


 こうして私たちは訓練を一時中断するのだった。


 △▲△▲△▲△▲△▲


「……にしても、何でこんなアホな異界の神々に世界を(ゆず)ったんですかね神様達」


 もぐもぐとサンドイッチを食べながらsionが呟いた。


「確かに……あんなアホなら倒せそうだよな」


 私も同意し、水晶漬けにされている神様達を見回す。

 表情は一切変わっていないはずなのに、なんだか神様達からごめんなさいオーラが見えるのは気のせいだろうか。


「あの神々が支配した時代に生きた方々には同情を禁じ得ません」


 と、コロネ。

 ……確かに、そりゃ審判の御子も怒って世界滅ぼそうとするはずだわ。


「でも、あと異界の神 何匹だっけ?

 神様達なかなか水晶からでてこないねー。

 全部倒さないと無理なのかな?」


 と、リリ。匹って……仮にも神様よ。

 ……や、全然尊敬できない神様達だけど。


「でも散りぢりになった神が全員がここに来てくれるとは限りませんしねぇ。

 いつまでここで待ってればいいんっすかね」


「でも下手にエルフの集落とかに移動して、エルフの集落が神々に襲撃受けても嫌だしなぁ」


 私も卵入りサンドイッチを食べながら答える。


「結局ここにいるしかないんっすねぇ」


 sionがやれやれといった感じでため息をつく。


「でもここでレベル上げて、sionもどうせなら神龍テイムしちゃおう!

 神龍テイマーとか超最強じゃん!カッコイイじゃん!!」


 私が目を輝かせながら言うが


「ボスイベントの神龍がテイムできるとはおもえないんっすけど」


 と、sion。


「sionにペットにされてる神龍様……ちょっとヤダ」


 と、リリ。


 くっ、私の考えた「最強テイマー」設定はボツ扱いになったようだ。

 かっこいいのになぁ……。

 みんなロマンがたりないよロマンが。


 私がそんな事を考えていると、


「何かが来ます!

 いままでより強い神かもしれません!!」


 ファルティナが叫んだ。次の瞬間。


 ザシュ!!


「――遅い」


 その一言とともに。

 ファルティナの身体がまっぷたつに割れる。

 胴体と下半身を切り離されたのだ。


「なっ!!」


 驚きの表情で振り向くファルティナ。

 そこにはいかにもギリシャ神話風な神様の格好をした、ヒゲを蓄えた白髪イケメンジジィが剣を片手ににんまりと微笑んでいるのだった。

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