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134話 緊張感

〜魔王側視点〜


「どうするのじゃ!???

 お主が人間の国を滅ぼしたせいでプレイヤー達が攻めてきたではないか!!」


 プレイヤー達が魔王城に攻めてくる映像をみて、クリファは悲鳴をあげた。

 猫達は姉ナスターシャをも倒しているのだ。

 魔王とて、もしかしたら倒されてしまうかもしれない。


 クリファの悲鳴に魔王は鼻で笑い。


「倒せといったのはお前だろう?」


「確かに言った!!じゃが倒せる機会は何度もあったじゃろう!!

 なんでよりによってレベルが追いつかれてから倒そうとするのじゃ!!

 あやつらのレベルはもうお主と一緒なのだぞ!??」


 クリファが叫べば魔王はそのまま王座に座り


「低レベルの相手を倒した所でつまらぬ」


「何を戦闘狂みたいな事をいっておるのじゃ!!

 あっちはレベル1300が5人じゃぞ!?」


「お前は私を何だと思っている?

 レベルが同じというだけで私があのプレイヤーに敗北するとでも?」


 クリファの言葉に魔王が凄めばクリファは一瞬押し黙るが


「確かゲェームというのはボスとプレイヤーの同レベルは違うんじゃったか?

 だ、だがあやつらはボスモンスターのカエサルも倒しているのじゃぞ!!」


「心配するな。もしもの時には策がある」


「策じゃと?」


 クリファが眉根をよせれば魔王は怪しく微笑んで


「この魔王城には魂を奪う魔方陣が敷いてある。

 もしもの時は奴らの魂を奪ってしまえばいいだけだ。

 今は霊魂の魔方陣を邪魔をするうっとおしい神々も存在しない」


「な、なるほど」


 魔王の言葉にクリファは安堵のため息をもらした。

 これなら魔王もやられることもないだろう。

 魔王がやられれば確実に次は自分の番なのだ。

 自分があの猫まっしぐらとかいうプレイヤーに狙われれば、命が助かる見込みはない。


「だが、そうだな。

 念のためだ。お前は天界にでも避難しておけ。

 何があるかはわからぬ」


 行って魔王がひょいっとクリファにオーブを渡す。

 確か一瞬で別の場所へ移動できるオーブだったはずだ。


「よいのか?」


「お前がいても足でまといになるだけだ」


 クリファにオーブを渡すと魔王は視線をプレイヤーたちの映る水晶へと向けた。


 彼らは既に、空中で待機させていた魔物達をやすやすと倒し、城の一部を破壊するとそこから魔王がいる部屋へと一直線に進んでくる。

 迷うことがないことから恐らく部屋の大体の位置は把握しているのだろう。


 さて、どう楽しませてくれるのか――。


 魔王は駆け上がってくる彼らを見つめ、そのまま邪悪な笑を浮かべるのだった。



 ▲▲▲


「うっしゃぁ、多分ここが最上階!!魔王のいる部屋だ!」


 魔族をまっ二つにしたあと、私がいかにも魔王部屋です!!という扉の前で宣言すれば


「と、とうとう来ちゃったんですね」


 と、sionがガクブルしながらファルティナにしがみついている。


「皆、作戦通りに頼む。

 スピード勝負だ」


 私が言えば、7人とも大きく頷いた。

 sionのもっていた設定集にのっていた魔王城の画像で、ある程度このステージの傾向は掴んでいる。

 大体この手のゲームってボス部屋には何かしらギミックがあるが、そうそう奇抜なものがあるわけではないし。

 戦闘経験のないsionを連れ回してる事に若干後ろめたさは感じるが、正直私たちがやられれば、この世界は魔王が全部魂を吸い取って終わりだろう。

 神々という庇護のない世界では魔王の力は絶大すぎるのだろとコロネが言っていた。

 もし私たちが負ければ、この世界は魔族が支配する世界になるのかもしれない。


 ああ、魔族は負の感情が必要だから人間とかエルフは家畜化されるのかも……などと妄想があさっての方向に行きかけて、私は頭をふった。


 今はそんな事を考えてる場合じゃない。


「魔王倒して雪だるまつくる!!!」と、リリちゃん。


「私はカマクラを作ってみたいです」真顔でアルファー。


「雪合戦もやってみたいですね!」今度はレイスリーネ。


「雪はかき氷として食べられるのでしょうか」考え込みながらファルティナ。


「雪寒い。ザンダグロム 機能低下する」と、ザンダグロム。


「私はアルファーの作ったカマクラでお茶を飲んでいますね」最後にコロネ。


 リリちゃん以外誰一人魔王に触れてねぇ。


「猫さん、この人たちやる気あるんでしょうか」


 真っ青な顔で言うsionに、まぁきっとここで何かいうと魔王に聞かれてるだろうからワザとふざけているんだよ!

 と、念話でフォローしておく。


 あまりやる気の感じられぬまま、私たちは扉を開くのだった。

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