126話 VS神龍
「おっしゃぁぁぁぁ!!全員のセット装備ゲットぉぉぉぉ!!」
私は声高々にガッツポーズを決めた。
すでに試練の道もかなり終盤まできているはずだ。
なぜってセット装備が揃ったからね!
大体全部の武器・防具が出揃った所で最後に、デデデン!と一番強いモンスターが控えているのは、この手のゲームの主流なのだ。
ちなみに。リリもコロネもレベルが1100になったので1200の武器・防具を装備している。
まぁ、流石に私の装備もセット効果があるものはSS装備だ。SSR全部揃えるとか無理ゲー。
「ね、ねこ様……一度是非休憩を……」
ゼェゼェ肩で息をしながらアルファーが呟く。
敵のヘイト(敵の攻撃ターゲット)を集める仕事のアルファーが一番疲労が濃いらしい。
「よし!アルファー!疲労回復のポーションを飲んでおこう!
あと他のみんなもちゃんと飲むんだぞ!」
私が言うと、何故か全員に「こいつ鬼だ!?」みたいな目で見られたが、気にしないことにする。
ダンジョン攻略とは常に非情なのだよ。
ゲーム中ではわりと、日常的な事だったし。
よく一緒に狩りしてた、仲良かった別ギルドの友達にも鬼畜とか鬼とか言われたしね!
なんだかVRMMO時代の事を思い出し、少し懐かしくなる。
みんな元気にしているだろうか?
まぁ、神様の件が気になるからあまりノンビリできないというのもあるけれど。
「そろそろ次は神龍あたりかな」
恐らく神龍はレベル1300武器を持っているのだろう。
レベルも1300と考えたほうがいいだろう。
私のレベルがもう1287なので倒せる範囲内だ。
と、遠くを見つめ私がぼやく。
そう、この試練の道、神界の手前はレベル1300の神龍がラスボスのはずなのである。
以前、リリがカエサルに殺されそうになったとき、リリが召喚しようとしたドラゴンだ。
「ねね、ネコ」
その言葉にリリがひょいひょいと私のマントを引っ張った。
「うん?どうしたリリ?」
「えと リリ その戦いはちょっと…… オメメつぶっててもいい?」
申し訳なさそうに聞いてくる。
ホワイトドラゴンにとって神龍は私たちでいう神様のような存在なのだろう。
いくらシステムで縛られているとはいえ、倒されるところは見たくないとみえる。
「ああ、わかったじゃあコロネの隣にちゃんといるんだぞ?」
「うん!」
リリは嬉しそうに微笑むのだった。
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『よく来た 冒険者達よ ここまで来たことを誇りに思うがいい
我も全力をもって其方たちと相見えよう――。
其方たちが、真に神々に会うにふさわしいか――試してみせようぞ!!』
黄金色に輝く神秘的な龍が咆哮をあげる。
それが――戦いの合図だった。
……が、わりとその戦いはあっさり終わる。
私達の圧勝で。
うん、別に神龍さんが弱かったわけではない。
ここはフォローさせてもらおう。
自分で言うのもなんだが、私たちが強すぎたのだ。
もう私も適正レベルの1287だし。守護天使たちも私と同レベルなので1287だ。
しかも全員硬質化を覚えてるし、並行思念まで覚えてるときてる。
そこにきて、コロネの魔法やポーションアイテムの力アップやら素早さアップやらの補助効果つきだ。
神龍さんはシステムに縛られているせいで、わりとゲームのパターンが通用したため、動きが読みやすく楽勝だったのだ。
「神龍さま……よわい……」
リリが倒された神龍を複雑な表情で視ている。
ご、ごめんよ神龍様!威厳のために演技でももうちょっと苦戦してあげるべきだったかもしれない。
ちなみに、神龍さんからドロップしたのはSSRの剣士装備一式だった。
うん。誰も剣装備できないから、いらんがな。
守護天使もドロップ品は装備できないし。
にしても、まてよ……ひょっとして神龍ドロップは全部SSRか!?
「よし!!みんなもうひと頑張りするぞー!!!」
私のガッツポーズに、アルファーがそのまま地につっ伏すのだった。
何故だ失礼な。
結局、そのまま第二回、みんなの武器装備を揃えよう会が始まるのだった。
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「猫様……流石に無理です。一度休憩を……」
数え切れないほどの数神龍を倒せば。ぜぇぜぇ息を切らせながらいうアルファー。
うん、ごめん。バシバシレベルが上がるのが楽しすぎて頑張りすぎた。
神龍さんを何ども撲殺して、私のレベルはもうすでに1300になっている。
武器・防具も全員SSR武器・防具だ。
因みにレベルも私が1304 リリ 1207 コロネ 1204 となった。
神龍さんがボーナスかってくらい経験値が多いのが大きい。
「ああ、わかった。じゃあ今日はここで休憩しようか」
「目の前に異界の神がいるのに休憩とは……流石猫様といいましょうかなんといいましょうか」
と、コロネ。
「だって攻撃してくる気ならとっくに攻撃してきてるだろ。
神龍とかと戦ってる時の方が倒しやすかっただろうし。
こっちがバシバシレベルが上がってるのに手出ししてこないってこないのは手出しできない理由があるってことで」
私の一言に
「流石猫様です!」
と、レイスリーネちゃん。
最近よく褒めてくれるからちょっと照れる。
しかしややハーレム要員的になっているような気もしなくもない。
あんまりそういうの好きじゃないんだけどな。
レイスリーネは前のマスターの命令で褒め癖がついてるのかもしれない。
「しかし、天界には待ち構えるだけの罠があるということですが、それでも本当に行きますか?」
コロネに問われ私は頷く。
なんだかよくわからないが、ここで行っておかないといけない気がするのだ。
私は自分のカンを信じたいと思う。
信じないで後悔だけはしたくないから。
こうして、私たちはセーフポイントに戻り、テントを広げて休むのだった。
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そして次の日。
さっくり神龍を倒し、天界へと続く扉を開ければ、私たちは一瞬でワープした。
水晶のように光り輝くなにかで作られたものすごく天井の高い神殿へと。
神々の装飾だろうか、天使や女性や子供の石像が所狭しと装飾された壁がまるで天をつくかの勢いで上に伸びている。
そしてその天井は……あまりにも高すぎて私の視力では見ることができない。
また円上に一面に広がる水晶でできた神殿のような部屋の上空には……かつて過去のコロネの部屋でみたような水晶に閉じ込められた状態で、眠る神々の姿があった。
つい先日、sionが見せてくれた映像にいた、光の神と闇の女神の姿もそこにある。
そして……過去のコロネのイベントムービーで見た、金髪美女の水晶もそこにはあるのだ。
まるで漂うかのように空中にプカプカと神々が眠る水晶が浮いていた。
「まさか……本当に神々が捕らえられていたとは」
コロネが呟いたその瞬間。
ぞわりとした何かを感じ振り返る。
そこには何故か――いつのまにか最大火力の大技を私に放とうとするレイスリーネの姿があるのだった。










