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124話 天界への道

「おーなんかいかにも天界に行けそうな場所だな」


 私は石で作られた階段と、その先に立ち塞がる大きな石の扉を見ながら呟いた。

 ここは神々の山脈といわれるレイゼル霊峰。


 その山脈の奥底に、神々の住まう天界へと続く、試練の階段が続いていた。


 私たちはコロネの家でゆっくり休んだあと、こうして試練の階段に来たのだ。



「あの扉の向こう。魔物とは違う、神様の気をまとった何かがいっぱいいる。

 守護天使達とも違う気。魔物のような天使のような よくわからない気」


 リリが真剣に扉を睨みつけて言う。

 どうやらあそこの奥には天界へと昇る試練を与える天の守り人達がいるらしい。


「あそこを超えれば神々がいる神界なのですね!」

 

 目をキラキラさせて言うコロネ。

 まぁ、この世界の人間って神様大好きだしね、会えるとなればそりゃ感動するだろう。

 

 嬉しくてたまらないという表情のコロネと比べると……守護天使達は3人は微妙な表情だった。

 ちなみにザンダグロムはエルフ領の護衛に残ってもらっている。


「なんだかみんな浮かない顔だけど……何か心配でもあるのか?」


 アルファー達に聞いてみれば


「……いえ、ただ、私たちはこの世界ではどのような存在なのかな…と」


 と、アルファーがうつむきながら答える。

 確かに、ゲームでは神の使いの天使設定ではあるが……こちらの世界では守護天使などというものは存在しないらしい。

 存在しない天使が、貴方の部下です!と、いきなり来た所で、神様からしたら「あんた誰?」となる可能性を心配しているのかもしれない。


「でもさ、神々がこの世界を巻き戻してゲーム化したなら、守護天使も立派な天使扱いなんじゃないかな」


 と、私。


「そうだといいのですが……」


 まぁ、コロネの話だと、契約が切れると、異次元に帰ろうとするらしいから……その可能性は極めて低いのだろう。

 こちらの世界の天使なら、天界に帰るだろうし。

 元々アルファーの知識から得た情報なので、アルファー達も自分達がゲーム専用の存在だということは知っている。

 だからこそ、神々に会うのが怖いのだろうけれど……。


 考えても仕方ない。


 会ってみないことには答えはわからないのだから。



 △▲△▲△▲△▲△▲


 ザシュッ!!


 守り人である天使のような魔物のようなモンスターを私は一刀両断にした。

 レベル1100の守り人は悲鳴をあげる間もなく散っていく。


 うん。やべぇ弱い。


 武器が弱いはずなのに、敵が軟らかいのは私の武器の属性が天使の弱点属性だったりするからなのだろう。

 コロネとリリとは何時ものごとく見学組みとなってしまっている。

 まぁレベル100差はやっぱりきついからね。

 コロネとリリはアイテム回収係で、守護天使と私がバシバシ敵を倒している感じだ。



『それにしても、物凄い数ですね。

 ゲームでもこのような感じなのでしょうか?』


 と、コロネ。

 ここは、まだシステムが作動しているらしく、守り人からボロボロ宝箱がドロップしているのでゲーム基準なのだろう。


『うーん。ゲームならこんなに普通の道で沸いてるのは見たことないけどどうかな?

 モンスタースポットの部屋でもなさそうだし』


 と、私。

 確かに敵の湧きが酷いような気がする。もう通路を狭しとわしゃわしゃ湧いてくるのだ。

 まぁ、あっさり倒しちゃってるので、経験値&宝箱ご馳走様です!状態なのだが。


『神の領域で異界の女神が干渉してこれるとは考えたくはありませんが……。

 女神が何かしらのトラップを張っている可能性も考慮したほうがいいかもしれませんね』


 コロネが警戒したように、魔力を探りながら言う。

 

『なんだか変な魔力感じる。

 リリたち視てた 魔力と同じ』


『ってことは異界の女神!?』


 私がリリに聞くと――


『うーん。でもちょっと違う。

 もうちょっとトゲトゲしてる』


『トゲトゲ?』


『うん。優しくない』


 リリの言葉に


『引き返しますか?』


 と、アルファーが聞いてくる。


 ……うーん。どうしたものか。

 何故神々の領域に異界の女神がいるのだろう?


『………やっぱり、神々ってもう異界の女神にやられたりしてるのか?』


 私の言葉に、全員が息を飲むのがわかった。


『でも、リリ達の世界の神様の気も少しだけ感じる』


『少しだけ?』


『うん、とても弱々しく感じる。いっぱいいる優しい気』


『と、いうことは神々は捕らえられているということでしょうか?』


 レイスリーネの言葉に私はつばを呑んだ。


『ってことはこのまま神界に向かうのは自殺行為なのだが――。

 かといって神々が危険な状態なら放って置くこともできないし』


『猫様、退路が断たれたようです』


 敵を軽く葬りながらファルティナが告げる。

 確かに後ろを見やれば、なぜか先ほどまで通路のあったその場所は――壁になっていた。


 

 △▲△▲△▲△▲


 ――さて。どうしたものか。


 私は考える。退路が断たれたといっても実は念話がリュートとsionとザンダグロムに通じてある。

 彼らの視界を通して瞬間移動すればいつでもエルフの集落に帰れるのだ。

 守護天使達は硬質化して私のアイテムボックスの中に入れればいい。


 でも――なぜだかはわからないが――いま行っておかないといけない気がする。


『うし、じゃあ行ってみよう。やばそうなら守護天使達も硬質化。

 リリとコロネはリュート達の視界をジャックして瞬間移動で逃げること。

 ――OK?』


『大丈夫でしょうか?』


 と、アルファー。


『うーん、このまま放っておいたら、神様殺されて世界滅ぼされましたとかなったらやばいし。

 なんだか今行っておかないとダメな気がするんだよな。

 カンってやつ?』


『カンですか?』


 アルファーがキョトンとするが


『ネコのカンが言うならきっと間違いない!

 リリがほしょーする!』


 と、ムンフーといいそうなドや顔で言うリリちゃん。


『そうですね状況だけでも確かめておいたほうがいいかと思います。

 sion様に見せていただいた設定集によれば、神々の力で世界は空に浮いている状態のはずです。

 神々が滅べば、それこそ世界は混沌の闇に引き込まれ消滅します』


 と、コロネ。


『うっしゃ、それじゃあいっちょ行きますか』


 言って私は微笑むのだった。

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