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119話 黄昏と封印の紋章

「悪しき神々がこの地に舞い降りようとしています。

 それに呼応して――異界の神より生まれた魔獣達が目覚めはじめています。


 ですが――私たちは、魔獣と闘うことはできません。

 その力ゆえに――我らが手を出せば、世界をも巻き込み滅ぼすことになりましょう。

 かつて魔獣との戦いで世界が一度死を迎えたように」


 光り輝く空間のようなその場所で、漆黒の鎧を身にまとった黒髪の女神アルテナが世界が滅ぶさまを写した水晶片手にそう告げた。

 水晶には、まるで神殿を思わせるような、建物が立ち並び――そして破壊されている。


「愛しき子らよ――。

 私たちは君たちに僅かな力を与える事しかできない――。

 乗り越えるか……それとも破れるかは……君たちの意志次第」


  金髪長髪の金色の瞳の美形男子、光の神セシウスが杖が光り、静かに告げた。


「さぁ、聖なる封印の紋章を与えられし猛き種よ。

 貴方に力を授けましょう。


 再び目覚める魔獣に対抗するその力を」


 女神アルテナがコロネの頭にそっと手を伸ばし、宮廷魔術師姿のちゃらちゃらした格好のコロネがその前にひざまずく。


「そして、世界を蘇らせる希望の力を」


 光の神セシウスがそう告げ杖を振り上げると、その杖に光が凝縮されていき、その光が冒険者であるプレイヤーsion達を包む。


「――そして、冒険者達よ。貴方たちに祝福を」


「世界をまた、混沌に落とさぬように」


「光り続けるその未来のために」


 と、女神アルテナが告げ


『黄昏と封印の紋章を与えられし猛き者を守りたまえ――』


 そこでイベントムービーが終わる。



 ▲△▲△▲△


「へぇ、もろガッツリ神様に会えるんだ。

 私も受けたかったなイベント」


 ゲーム機で映像を見るのを終えて、私は感想をもらす。


「ですねー。わりと素材とかアイテム貰えておいしいイベントでしたね」


「へー。何貰えたんだ?」


「課金のアイテムも結構もらえましたよ。経験値のオーブとか、性転換の薬とか転移の宝珠(2ヶ月分)とか」


「え、持ってるのか?性転換の薬」


「はい。ありますよ。

 あーー猫さんリアル女ですものね。欲しいならあげましょうか?」


「え、いいのか?」


「自分女になる気なんてありませんから。

 必要ならあげますよ。あの根性悪プレイヤーから解放してくれたのは猫さんですし。

 こうして生活できるのも猫さんあってですからねー」


 sionマジ天使。やだこの子超いい子。


「じゃあ欲しいかな。男だとお風呂入るのも恥ずかしくて入れないし!」


「どうぞどうぞ。いま使います?」


 sionが薬を差し出したのを私はお礼を言いながら受け取った。


「うーん。流石に今は……全部片付いてからかな。身長違うと戦うときの感覚が全然違うし」


 うん。自分より格上相手にする場合も多いのだから一瞬でも迷えばそれは速攻死につながる。

 戦いの感覚が狂うのは正直避けたい。


「了解っす!」


「あ、それとsion、原初の巨人と審判の御子って何の事かわかるか?」


 うん。これだけ裏設定にも詳しければsionなら何か知ってるかもしれない。


「審判の御子?はじめて聞くなぁ。でも原初の巨人はあれですよ。

 最初何もなかったところに、原初の巨人がいっぱい生まれて、それぞれ原初の巨人を元にして世界を作っていったっていう設定だったはず。

 わりとありがち設定ですけど。


 その世界の一つがこのグラニクルです。」


「えー、そんな設定あったか?

 神話はまず光の神セシウスの父親と母親が世界を作ったところからゲームじゃ始まってた気がするんだが」


「あー、そうか。これ何かのイベントで発表された情報だったかも。

 わりと考察スレじゃ当然のように話になってたから、普通にみんな知ってるものだと思ってました」


「本当に好きなんだなsionは。神様設定」


「え、こういうのって心トキメキません?

 他のゲームでも神話とかあるものはまず神話をまっ先に調べますよ」


 ふふ。他のネトゲでも最強装備の武器防具しか調べてないYO!

 効率厨ですごめんなさい。



 ▲△▲△▲△


「猫様、少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」


 sionとポーションを作り終え、コロネを迎えに行こうと部屋をでたその時、レイスリーネに話しかけられる。


「うん?どうした?」


「はい。猫様はどうしてセファロウスの攻撃をあれほど華麗に避ける事ができたのでしょうか?」


 あー。一人だけセファロウス戦で足引っ張ったの気にしてたのか。

 レイスリーネももうちょっと精神面でフォローしてあげるべきだったのかもしれない。


「うーん。どうして……と言われてもカンで避けたとしか」


「カン……ですか。

 流石猫様です。……私には到底できる事ではないようです」


 苦笑気味にレイスリーネが肩を落とす。

 うーん。自分で言うのもなんだけど、はっきり言って私とアルファーが規格外なだけで決してレイスリーネが弱いってわけじゃないんだよね。

 普通無理だよ。レベル100近く差があるボスの攻撃避けるとか。

 でもなー下手に慰めると余計傷つけることになるし。


 うーーーん。


「あ、そうだ!

 前コロネの記憶で見た、身体の周囲に纏った魔力の動きで相手がくる方向を予測とかやってみたらどうだろう?

 かなり広範囲に魔力をまとわせていればよけれるかも?」


「魔力の動きで…ですか?」


 うん。コロネが昔あの鬼畜プレイヤー達と戦った時、高レベの剣士の動きを見切るのに使ってた技だ。

 リリに記憶を見せてもらった時カッコイイから絶対マネしようと思っていたのに忘れてた。


「言うより、見せてもらったほうがはやいかな。

 ってかリリはいないし……コロネも本に熱中してそうだしな……試しに私とやってみるか」


 コロネの記憶で魔力を纏わせる方法もわかってるし、私もちょい試してみたい。


「は、はい!是非宜しくお願いします!」


 こうして私とレイスリーネは神殿の近くの庭で特訓を開始するのだった。

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