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116話 辿りつけない真実

「あの、この世界の件について、私も参加させていただきたいのですが。

 宜しいでしょうか?」


 皆で調べよう!おー!と意見がまとまった所で。

 一体いつからそこにいたのかレヴィンが話に参加してきた。


「ちょ!?レヴィンいつからそこに!?」


「はい。守護天使の皆さんにこっそりついて室内に……」


「流石レヴィン!コロネのストーカー!!」


 リリちゃんが軽くディスるが


「いえ、それほどでも」


 と、レヴィンがなぜか謙遜する。

 てか、ストーカーは否定しないらしい。

 コロネが物凄く嫌そうな顔で見てるのは気のせいではないはずだ。

 てか、マジいるの気付かなかったし。

 若干アルファーもショックを受けてる顔なのでアルファーですら気付かなかったのかもしれない。


「まぁ、その話はおいておきまして。

 私はレプリカなのではなく、歴史が巻き戻った可能性もあると思います」


 と、告げる。


「歴史が……ですか?

 ですがそれでは、身体の仕組みや世界の構造が変わった事に説明がつきませんが」


 コロネが考え込みながら言えば


「神々がこれから来るであろう、異界の神々に備えて身体を作り替えた。

 というのではどうでしょう?

 コロネ様に以前聞いた話によれば、異界の神々全員ではありませんが、二人の女神がこの世界に来てしまっていたはずです。

 このあと、滅んだ歴史通りに異界の神々が全員来るのかもしれません」


「うーん、確かにその可能性もあるのか。

 でもなんでゲーム化なんてしたんだ?」


「さぁ、難しい事はわかりかねます」


 と、にっこり微笑むレヴィン。


「えー、そこは放置か?」


「ゲームについてはよくわかりませんから。

 あくまでも個人的意見として聞いてください」


 と、レヴィンは前置きしたあと、


「以前から自分は何故か初めて会う人物に懐かしいと感じる事がありました。

 特にエルフにそういった人物が多く、以前から不思議でしたが。

 リリ様にあらましを見せていただいて、納得できました。

 前世で面識があったのだとしたら、この感情もわかるのです。

 龍族は魂に記憶を刻み、転生しても記憶を忘れないと伝説では言われていますから」


 と語る。てか、リリちゃんはレヴィンがこの部屋にいることをわかっていたらしい。


「……確かに龍種は、魂に記憶を刻み込むと聞いたことはありますが……」


 と、コロネ。


「じゃあ何か。このゲーム化は異界の神々に備えての事なのか」


「そこまでは解りかねますが。

 そうですね、では、猫様やハルトのような善良なプレイヤーに異界の神々に対抗してもらおうとゲーム化した……というのはどうでしょう?

 正直あまり自信はありませんが」


 と、レヴィンが肩をすくめた。


「うーん。でもそれじゃあ、現地人強くしたほうがよくないか?

 異界の連中なんて所詮他人事だろ。

 いま暴れまわってるプレイヤー連中なんかがいい例だ」


 私が言えばレヴィンも「ごもっとも」と肩をすくめた。


「エルフの隠れ家をダンジョン化して残しておいたのも、再び神々が襲来してくるのを知らせる警告ということでしょうか?」


 と、コロネ。

 やばい。考えれば考えるほどわからない。


「うん。でも可能性として考えなきゃだよな。

 歴史が巻き戻った可能性も。

 それにレヴィンの案の方が守護天使達がこの世界に適用されていた経緯も説明つくっちゃつくし。

 もしレヴィンの推理通りなら……再び異界の神々が攻めてきて戦争になる」


 私の言葉に、皆静まりかえる。


 そう――今まではプレイヤーを倒して、異界の女神さえ何とかすれば世界が平和になると思い込んでいたが……。

 むしろ本番はこれからかもしれないのだ。


 この世界の本来の神々を倒し、世界を乗取った神々の襲撃がある。

 あの落ちていた本から察するに、エルフの巫女達が死んだのはそう先の未来ではない。


 何より家族を殺されて怒り狂っていたグラッドさんの映像ではサラ達は丁度今くらいの年齢で殺されていたのだ。

 下手をすれば明日にでも異界の神々の襲撃があるかもしれない。


 私達が考え込んでいるとレヴィンはにっこりとコロネの方に微笑んで


「まぁ、コロネ様ならこれくらい考えにいれていたとは思いますが」


 と、言えば、コロネは顔を抑えて


「すみません。考慮にいれていませんでした」


 と、へたりこむ。


 コロネの言葉にレヴィンがふむと考え込むと


「では、どちらかというとこの案の方が真実に近いのかもしれませんね」


 レヴィンが言えば


「どういう事でしょうか?」


 とファルティナ。


「いえ、コロネ様が真実に近づかないように記憶誘導を受けているのを考えれば、コロネ様が思いつかない方が真実により近いのかと」


「ああ、なるほど」


 頷く私。


「私はどれだけ考えても真実には辿りつけないのですね……」


 と、やや落ち込むコロネ。

 まぁ、あれだけ真実を知りたいと騒いでいたのに自分では、どんなに考えてもたどり着けないと知ればそれは心中複雑だろう。

 に、してもだ。


「これは早急に、異界の神々に対抗する手段を手に入れないとやばいのかもしれないな」


 私の言葉に、その場にいた皆が頷くのだった。


 ▲△▲


「にしても、具体的には何をすればいいんだ?」


 私が小首をかしげれば


「それでは神界に行ってみてはどうでしょうか。

 神界で神々がご無事なのか確認できますし。

 猫様の武器も手に入れる事ができます」


 と、提案したのはファルティナだった。


「天界!?天界に行くことなどできるのでしょうか!?」


 ファルティナの言葉にコロネが食い気味に尋ねてきた。

 ……うん。コロネ神様大好きだもんね。神々に会えるとなれば狂喜乱舞だろう。

 先程まで思惑誘導を受けていてがっかりしていたのが嘘のように目を輝かせている。

 

「コロネ、変態モード」


 と、リリちゃん。


「変態でもコロネ様は素敵です!!」


 と、狂信者なレヴィン。


「ゲームのままなら恐らくは。

 以前sion様に見せていただいた裏設定集には、天界への行き方と天界の敵のレベルが書いてありました。

 天界はダンジョン扱いのはずです。

 適正レベルは1000〜1300だったと思います。

 sion様に本を借りて詳しく検討してみる必要があるかと」


「マジで!?ってことは武器も手に入るってことか!?」


 と、今度は私。


「変態がまた一人増えた」


 と、リリちゃん。


「猫様はそこが素晴らしいのです!」


 と、コロネ。


 うん。なんだかこの展開、さっきも見たような気がするが気にしちゃだめだ。


「異界の神々に備えてレベルも上げられて武器も揃えられるとなれば行くしかない!!」


 私がガッツポーズで言えば「流石猫様です!」と、コロネも追随する。


「sion様ならリュートの所にいるはずです!」


「よし行こうっ!!」


 私とコロネが張り切れば


「二人とも変態。もう誰も止められない……」


 リリちゃんが憂いを込めた瞳でふぅっとため息をついた。

 何故か風もないのにリリちゃんの髪がふわっとたなびく。


 ……うん。なんだか前もこんな事あったような気もするけれど、こういう大人しかいないの。

 ごめんねリリちゃん。


 ニコニコと何も考えてなさそうなアルファーとレイスリーネと、頭を抱えているファルティナを見つめ、私は心の中でリリちゃんに謝るのだった。

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