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115話 思惑誘導

「……で、何の用だったんだアルファー?」


 ロープに縛られた状態でちょこんと座っているアルファーに私は問う。


「はい……その、大体魔物を倒し終わったので、コロネ様に魔素濃度を測る器具を借りようかと……

 まさかお取り込み中とは知らず申し訳ありませんでした」


 と、今にも土下座しそうなアルファーに


「だーーかーーら違うと言ってるだろう!!

 背中の紋章を見てただけだ!!」


 私が怒鳴る。うん。いくら魂が女だっていまの肉体は男なんだからそれこそホモになってしまうわ!


「あ、ああ!!そうでした!そうですよね!

 背中に文様ができたのでしたね!

 勘違いしてました。申し訳ありません!!」


 アルファーがほっとしたような顔をして、謝る。


「猫様、私も猫様が女性ということを失念していました。

 勘違いされるような事になって申し訳ありません」


 と、シュンとするコロネ。

 

 うん、だからどうして全部自分が悪いって方向にもってくのかなこいつは。

 てか、男として扱われているというのは若干傷つくものがある。


 ……自分でもコロネにどこか行って欲しくないという気持ちが、恋なのか……仲間としてなのかよくわからない。

 でもやっぱり、近いうちあの女性の事も、イベントで見た事も話さないとなぁ……。


 目を覚ました時は混乱してて話さなかったが、そもそもあのコロネはオリジナルの方のコロネだ。

 恋人がいたとしてもいまのコロネじゃない。


「まぁ、いいや。とにかく、リリが目を覚ましたらコロネ達に見せたいものがある」


 私がぽりぽり頭をかきながら言えば、アルファーとコロネが顔を見合わせるのだった。





▲△▲



「審判の御子ですか……」


 映像を見終えた、コロネが考え込むかのようなポーズをとった。


「前行った遺跡だったね。

 あそこに昔のコロネが住んでたのかな?」


 と、リリちゃん。


「あのお姿は神々で間違いないかと。

 なぜあのような状態に………」


 それ以前の遺跡で調べた情報をまったく話していなかったためファルティナが考え込み、リリちゃんが簡単に遺跡であったときの記憶を送る。


「やはりあの遺跡は、私たちのオリジナルが神々と戦った時代のエルフの隠れ家で間違いないとは思いますが……」


 コロネがムムムと考え込む。


「何か問題があるのか?」


「はい。調べたいという気持ちとシステムが関わっている以上、触れるべきではないという気持ちとせめぎあっているといいましょうか……」


 と、コロネが深いため息をつく。

 コロネとしては調べたい所を大分我慢していたらしい。


「しかし、神々が現在私達になにも干渉してこないのは気になります。

 少なくともゲーム化以前、異界の神々の襲来をうけるまでは神々は神託という形で世界の住人とコンタクトをとっていたはずです。

 神々がこのような異界の女神の所業を何も干渉してこないのはありえません。

 確かに魔法も使えますし、技や魔法で具現化してきますが、あれは単にシステムと考えれば、神々はまだ囚われている可能性も」



 と、ファルティナ。

 因みに、アルファーとレイスリーネとリリはいい子におすわりしている。


 アルファーは脳筋宣言したからいいとして、レイスリーネも考えるの苦手なタイプらしい。


「貴方は調べるべきだと?」


「もちろん決定権は猫様にあります。

 ですが、私一個人の意見としては調べた方がよろしいかと。

 神話通りなら神々がいない状態が長く続けば世界は崩壊してしまいます。

 世界を支える神力を注ぐ神がいない状態ですから。

 それにもし神々を解放できることさえ出来れば、異界の女神も魔王の問題も解決します。



 ……それと少し気になっていたのですが」


「うん?どうしたファルティナ」


「リリ様、コロネ様の遺跡を調べた時の記憶も送ってもらってよろしいでしょうか?」


 ファルティナに問われ、リリがコロネを見やれば、コロネも無言で頷いた。


「何か気になる事でも?」


「どうも、リリ様もコロネ様も思惑誘導をかけられている形跡があります」


「……そうなのか?」


 私の問いにファルティナは頷いた。


「はい。このことについて調べようとすれば、拒否するように思惑誘導をかけられている可能性が」


「まさか。私とリリ様にですか?」


「はい。それほど強力な暗示ではないので気づかないのも無理はないかと思います」


 ファルティナの言葉に一同は顔を見合わせた。


「もし、これが神々がコロネ様達に思惑誘導をかけたのだとしたら問題はありません。

 神々が下界の者に心配をかけないように思惑誘導をかけることはよくあることだと聞き及びますので。

 ですが、異界の女神や魔族が思惑誘導をかけたのだとしたら……」


「何か大変な事が起こるということか」


 私の言葉にファルティナがうなずく。


 コロネが考え込むが、ぶんぶんと頭を振り


「ダメですね。私が考えるとどうしても調べることを拒否してしまいます。

 判断は猫様にお任せします」


 と、頭を抑えながら言うコロネ。


「リリもー」

「ですね!」

「お任せします!」


 と、他三名。

 一応話は聞いていたらしい。


 結局みんな丸なげですか。そうですか。


 私はムムムと考え込む。

 悪い予感は特にしない。

 ただ、コロネが兄の姿に重なったのがいまだに気になってはいるが、それが今回の件と関係あるとは思えないし。


「うっし。一応調べてみるか。

 もし本当に調べてダメな事なら神様ももっと強固な思惑誘導なり規制をかけてたと思うし」


 私の言葉にファルティナが頷き、コロネとリリが微妙な顔をする。

 どうやらマジもので二人とも思惑誘導をうけてるらしい。

 コロネはともかくリリちゃんなら反対する理由はないし。

 アルファーとレイスリーネは美形顔でニコニコと微笑んでいるが……あまり考えていならいらしい。

 二人とも脳筋タイプだよ!やったね!


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