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91話 エラー

「猫様!見てください!トイレの形跡があります!」


 古代の人の住んでいた住居跡の遺跡を調べつつ、まるで子供のようにはしゃぐコロネが私に嬉しそうに報告してくる。

 男の人って、自分の興味ある分野ではとたん子供に戻るとどこかで聞いたような気がするがコロネもその部類なのかもしれない。


 見渡せば小さな村くらいの広さがあり、何人もの人々が寝泊りや食事をしていたのか、ベットのあとや食事を食べるところなどの跡がある。

 が、すでに朽ちているので推測でしかないのだが。


「ってことは、コロネの過去の記憶は正しいってことだよな」


 私がぽりぽり頭をかきながら言えば


「はい。そのようです。

 この木になっている実を見てください。

 これも私の記憶にある植物です。昔よく食べていました。

 鑑定のスキルで鑑定しましたが、毒物と認定されています。

 今の体ではこの植物は身体が処理できないのでしょう。

 やはり、過去の身体と今の生物の身体の仕組みは違うということになります。

 にしても、毒物扱いということはここの植物はもしかしたら魔力ではなく栄養素や水で育つのかもしれませんね」



「あー。昔は私の世界と同じで栄養素で育ってたんだ?」


「はい。魔力で育つようになったのはゲーム化後です」


 などと私とコロネが話していると


「ねーネコーあっちに神殿みたいな作りの建物ある。

 あれなぁに?」


 暇だったのかあっちこっちにぴょんぴょん飛び回っていたリリが私に言えば


「あー、そこも何も敵は出なかった気がするけど」


「行ってみましょう!!」


 と、コロネが全力でダッシュするのだった。



 △▲△


 そこは神殿のような場所だった。

 何か置かれていたのだろうか歪に凹んだ台座ががたくさんならび、窓からは墓が一望できる形になっている。

 奥には寝室とトイレと食事をする場所があり、書斎のような場所もある。

 が、本は一冊も置かれておらず、コロネが残念ですとため息をついていた。


「この台座には一体何が置かれていたのでしょうか」


 コロネが歪に凹んでしまっている台座をなぞりながら興味深そうに目を細めた。


「それになぜこのダンジョンだけは古代の植物や名残をそのまま残してあるのでしょう?

 昔はダンジョンなどありませんでしたから、後から作られたものだとは思いますが……。

 もしくはこの場所だけは元からあった場所をダンジョン化させたのでしょうか?」


 コロネが考え込むように言い、私も視線をさまよわせる。


「確かに、何でこの場所だけ植物も過去の物を残しているんだろうな。

 ゲーム上では神々は異界の神々に打ち勝ったが、エルフ達に多大な犠牲がでたとはなっていたけど。

 一緒に戦ったエルフ達の形跡(思い出)をここにだけでも残しておきたかった……とかかな?」


 そう、ゲーム上のシナリオではわりとエルフは高待遇だった。

 だから私の中でエルフ=いい人のイメージが強いのだが。

 考えてみれば、エルフは今の世界でも優遇されている気もしなくもない。


 神々も一緒に戦ったエルフにそれなりに思い入れがあるのだろう。


「かもしれません。

 ここを研究するのは楽しいかもしれませんね」


 今にもうふふ〜と言わんばかりの幸せそうなコロネの顔を見つめ


「それは後だろ。本来の目的を忘れてないか」


 と、私が耳を軽く引っ張ると、「い、いえ、まさか……そんな。あはは」とコロネは軽く視線を逸らす。

 

 コロネは王宮とかそういう真面目な場所から離れると途端ダメキャラ化しだすのはどうにかならないものだろうか。

 私以外でも変態化するところを見ると、実は元々こういう素養はあったのかもしれない。

 

「ま、まぁとにかく一応強い敵がいないか全て確認してみましょう」


 と、コロネが立ち上がった時、ビービービーという機械音が響く。


「え!?」


 私とコロネが慌てれば


「ごめん、リリ何か押しちゃったかも」


 と、書斎をいじっていたリリちゃんが汗を流しながら私たちに言う。


「●▲✖〜■■●▲!」


 意味のわからない発音の機械音。


「これはゲーム化する前の言語です!」


「なんて言ってるんだ!?」


「侵入者を排除と言っています!」


「ちょ!?」


 私が慌ててコロネを取っ捕まえてリリちゃんの前まで移動すれば、ドシンと空から何か降ってくる。


 そこに居たのは――何故か子供時代のコロネを彷彿させる銃を装備した少年だった。



 ▲△▲


「ちょ!?コロネこれどうなってるし!?」


「わ、私に聞かれましても!?」


「この子、心読めない……」


「レベルが高いってことか?」


 私の問いにリリはふるふると首を横にふり


「わからない」


 と答えた。


 どういうわけかこの子は鑑定をしても鑑定できない。

 機械扱いなのだろうか?


「●✖▲■」


 何か意味不明な事を言い出すショタ少年。


「侵入者、排除」


 途中から何故か普通に言葉がわかるようになる。

 どうやらコロネが精神防御を解除したらしい。

 コロネを通じて通訳されたようだ。


 ショタコロネはガチャリと銃を構えると


 ズダダダダ


 いきなり銃を乱射してくる。


「うおおおおお!?」


 リリとコロネを引っ捕まえてよけまくる私。

 バリアをはるというのも考えたのだが、もしもだよ?私たちと物理的法則が違う〜なんちゃら〜みたいな設定でバリアがきかないで貫通する可能性もなきにしもあらずだし。

 よくアニメや漫画でそういう設定あるじゃん!

 弾には当たらないほうがいい。


 そしてそのまま大地に両足をついた瞬間に、コロネにもらったブレスレッドを通じて魔方陣をかきあげる。

 やべぇこの魔道具本当に優秀だわ。


「愚者の束縛っ!!」


 ショタコロネに罠を発動させるが………黒い鎖がショタコロネに絡まり。


 ぶちりっ!!!


 と、何故かそのまま引きちぎられる。


「ええええええ!?レベル900の罠引きちぎるとかっ!?どうなってんだよこいつ!?

 てか罠って引きちぎれないだろう普通!?」


「わかりませんっ!?レベル制が適用されていないのでしょうか?」


 私とコロネが言った瞬間。


<<エラー発生。エラー発生。修復を試みます>>


<<レベル化適用・パワー不足・緊急停止機能発動・本体に供給を求めます>>


 と、頭上から声が聞こえ、ショタコロネの動きがピタリと止まる。


「な、なんだ?」


「どういうことでしょうか?」


「ネコの漫画のロボットの世界みたい!」


 と、唖然とする大人と純粋に喜ぶ子供。


<<エラー修復のため、コロネ・ファンバードを通じて、本体に接続します>>


「「「は?」」」


 機械音のメッセージに3人同時に疑問の声をあげ――それはきた。

 コロネの精神防御を解除していたせいか、コロネが何かに引っ張られる感じがまたダイレクトに伝わってくる。


 ――またこのパターンかい!???



 思ったその瞬間、頭の中に映像がいくつも入り込んでくるのだった。

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