表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

解せぬ、解せぬのだよ。

いくら嫌なことでも、決められたことはもう覆すことができない。




それは前世で嫌という程学んでいることである。

「紅カン」の主人公が王子とくっついた時も嫌だった。

何故、シャーロットと幸せな家庭を築けなかったのか・・・私にはつらかった。



だから、王子が来てしまうという運命も覆すことは出来ないのだ。多分。




「ふう、全く・・・どうしよう。」




あれから自室に戻った私は、これからどうするかを考えるべく、

部屋に飾ってあった百合の花に話しかけていた。




この世界に来て7時間あまり。

様々なことがあり、だいぶ疲れがたまってしまった。




「クララ、お茶をいれてもらえるかしら?」




そういった私は、かなり態度の悪いお嬢様だったことだろう。


疲れからか、愛想笑いさえ出来なくなってしまった。

正直、表情筋がもう動かない。

顔だけではなく、何故かすぐ疲れるのだ。この身体は。


まあ、六歳児の身体だから当然か。




「お嬢様、こちらっ・・・どうぞ!」




クララが入れたての紅茶を零しそうになりながら、私に差し出してきた。

私は少し悩んだが、そのカップを受け取った。


うむ、やはり、味は良い。

上質な茶葉を使っているのもあるが、クララの腕も良いのだろう。


かなり好みの味である。



「あの、お嬢様・・・」


「どうしたの?」


「お嬢様、・・・大丈夫ですか?」



何故、そんなことを聞くのだろうか。

少し不安げな顔で、手は震えながら私に聞いてくる。

そんなクララの挙動不審さから、お茶の味を心配しているのではないことが分かる。



「美味しいわよ、どうしたの?」



私はクララを安心させるように笑顔で答える。

表情筋がかなり痛いが仕方が無い。



「あっ!いえ、何でも無いです!」



クララは先ほどと打って変わって、少し嬉しそうな表情を見せた。


私は人の感情が結構分かる方だ。

中2の頃ハマっていた人間観察を、大人になってもずっと続けて来たお陰だ。




クララは、どうやら私のせいでこんなにも心を動かしているようだ。




こんな言い方をしてしまったら、まるでクララが私う好きみたいだが、

それは違う。なぜならクララは、ローゼが好きなのだからな!



やはり以前の私と大分違うから違和感を覚えているのだろうか?


一応、口調や呼び方は同じにしてみたがやはりそれだけでは・・・・




「ねえ、私、変わったかしら?」


「え?」


「貴女の知っている、シャーロットとはだいぶ違うわよね?」



思い切って聞いてみることにした。

クララは、かなり困惑したような表情をしている。

朝、見た表情より少し悲しみも帯びている。





「・・・いえ?」





少し詰まり気味に彼女は答えた。


朝はあんなに「様子が変」といっていたのに。

何故そんなにも悲しげに、私の言うことを否定するのだろうか。



全てが分からない。


やはり、今まで過ごしてきた経験が全てなくなってしまったのは痛い。


そうしたら、このクララの不振な様子の謎も理解できるかもしれないし、

国外追放回避にも役立つのに。




そんなどうしようもないことを考えていると急に音がした。




パリン!




何かが割れたような音。

この部屋ではない。廊下で割れてしまったのだろう。

そこまで大きい音ではなかったが、かなり不快な音のように思えた。




「お嬢様っ!大丈夫ですか!?」




クララが叫んだ。

何故クララがそこまで声をあげるのかが分からない。


部屋にいる私が怪我をするわけがないのに。




その後、クララや駆けつけたメイド達によって、介抱?され、

ふかふかベッドに寝かされた。





何故そこまで心配するのか・・・・解せぬ。

私は不満を抱きながらも、ここはおとなしく眠ることにしたのだった。


百合ん百合ん

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ