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力とは

初めに申し上げます。

あくまで一個人の意見ですので、商業化作品に物申したり他者様の物語に難癖をつけようとは考えていません。

 いわゆる異世界モノの中でこんなセリフを目にした。

「ステータスオープン!」


 主人公がこのセリフを口にすると何もない空間に突如文字列が現れ、主人公のステータスを表記するといったものだ。


 力であったり攻撃力であったり腕力であったりと作者様によって表現は様々であったが、どうやら主人公の能力をステータスとして数値化する世界観らしいのだ。


 中にはステータスオープンのセリフがないものもあったり明確な数字を述べない作品もあった。


 これらの作品は、おそらくだが作者様の中では俗にいうRPGゲームの世界観を下敷きにして創作しているのだろうと思われる。


 私としても登場キャラクターのことを知るツールとしてレベルやステータスは非常に便利で分かりやすいと感じている。


 しかし、作品の理解のしやすさや魅力を増してくれるとともに、矛盾を生んでしまっている場合もある。


 例えばこんな場合。


 初期の主人公(ありがちな普通の主人公のイメージ)の力の数値が10としてムキムキのマッチョマンの力が50であるとする。

 この場合、マッチョマンの力は主人公の5倍となる。

 ここまではまだいい。


 次に、主人公がレベルアップしていき力の数値が50になったとしよう。

 数値上はこれで先ほどのマッチョマンと同じ力があることになる。

 はいおかしい。


 なぜレベルが上がると強くなれるのか、とか。そもそもなんでレベルなんてものがあるのか、といいたいわけではない。

 普通の体格のままレベルアップした主人公が、数値では同じとはいえマッチョマンと同等の筋力になっているということがおかしいと思うのだ。


 たまに、学園ファンタジー系で魔力によって筋力が上がっているという設定を見るがこちらはゲーム風の異世界である。魔力とはこちらでいえばMPのことであり筋力とは別項目ではなかったのか。ならば、単なるレベルアップだけでどうしてムキムキマッチョマンを超えられよう。ここでまず一つの矛盾が発生した。


 しかし、それすらもどうにか許容したとしよう。世界の理がどうたら、といくらでも言い訳は効く。

 本当の問題は次のことである。


 作者様、読者様の中には常人の域を超越した存在『チート主人公』なる者を好む方がいらっしゃる。レベルやステータスでいえば十倍も百倍もなんでもあり。そんなチーターキャラに苦言を呈したい。


 力が常人の百倍あったとしてそのキャラクターはガラスで作られたコップを掴むことができるのか。答えは否である。

 掴むというより握りつぶすようにコップを割ってしまうに違いない。


 なにを言っているんだこの人は。と首を傾げる人もいることだろう。

 なのでまた一つ、例を挙げてみよう。


 私たちはリンゴを手で握りつぶすことが出来るだろうか。

 出来る人と出来ない人がいると思われるが双方の違いはなんだろうか。

 それは単なる握力の差というやつである。


 一定上の握力がないとリンゴはつぶせない。ちなみに私はつぶせない方の人である。全力を尽くしても歯をくいしばっても出来ない芸当である。

 しかし、出来る人には出来る。少しずつ力を加えていけばあるところでリンゴがつぶれるだろうし、やろうと思えば半壊であったり凹んだ程度で止めることも可能なはずだ。


 これをチーターキャラは出来るだろうか。

 多分だが出来ない。そのはずだ。

 なぜなら、力が百倍ということはコントロールの難しさも百倍になるからだということ。


 またまたおかしなことを言ってる。と思うかもしれない。意識すれば日常生活を送れるはずだろうと。


 なら熊はどうだろうか。

 熊同士でじゃれつく時のように人間の体を触るとどうなるか。

 まず、爪で引き裂いてしまうことになるだろう。

 そうでなくても、何倍もの力で抵抗すら許さず押し倒すことになる。

 彼らにとっては遊びでもこちらにとっては生死に関わることになる。それが力の違いということ。


 なら、チーターキャラはどうか。そんじょそこらのモンスターより強靭な身体を持つ彼らならどうなるか。

 力の数値が10の人が何気なく掴むコップを、百倍意識しながらそーっと掴まなければならない。

 こんな調子でどうやって楽しい食事をするというのだろう。毎食、食器を割ってしまわないかヒヤヒヤしながら食べるのだろうか。


 力が百倍あると色んなところで影響してくる。

 例えば地面なら、靴を通して百倍の重さが伝わることだろう。もし、このキャラが怒って地団駄を踏んだらと想像すると恐くて仕方がない。


 他人に触るのも億劫なのではないか。

 軽くデコピンをしてみたつもりが脳天を貫いてあわや大惨事なんてことになるかもしれない。なんてことはない、普通に殺人鬼である。


 まだまだ例を挙げていくとキリがないがここらあたりでよしておく。

 どれだけ物理法則を持ち出しても、「異世界だから」「ファンタジーだから」「創作物の世界だから」で済まされることだろうし、本当に上手い人なら作中で気を付けて書いていることだろう。


 ただ、「力を百倍にしてあげる」と言われても私は絶対にNOと断る。

 明らかにメリットよりデメリットが目立ち過ぎるからである。

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