プロローグ 差し出された『光《きぼう》』
更新は不定期です。それでも良ければ読んでください。
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――――少年は生まれ落ちた瞬間から、闇の中で生き続けてきた。
他人と異なる『力』を持って生まれた、ただそれだけで少年の存在は人として扱われなかった。
ただ、その力を使い、他者を欺き、騙し、出し抜き――――そして、殺すだけ。そこに『一人の少年』としての価値はなく、あるのは1つ、『人殺しの道具』としての利用価値だけだった。
だから、少年は闇の世界を歩む他なかった。そうしない限り、存在さえも認めてもらえないから。たとえ自分自身を認めてもらえなくても、何か1つ、それが間違ったことでも誰かに認めてもらえるのなら――――
そうやって自分の手を汚していく中で、少年はいつも願っていた。いつか、この『汚れた手』ではなく、『自分そのもの』を望んでくれる誰かの存在を。
しかし、そんな人は現れない。巡り会うのは皆、少年を都合の良い『道具』と考える者ばかりだった。
自分とは異なる他人を蹴落とし、自分の立場を少しでも良くしたい、そんな歪んだ思考ばかりが、少年に手を汚させた。そして――――
――――道具が夢を語るな、道具は道具らしく使われておけばいい。出会う誰もが、両親さえもそう口にした。
もう誰も信じない。誰の手も借りない。でも――――誰かを信じたい。誰かに認めてもらいたい。自分自身が誰かの役にたってほしい。そんな矛盾する思いが、いつしか少年の心を支配した。
しかし、同時にそんな人は誰もいない、誰も自分に『人』としての価値を見出だしてはくれないと、理解もしていた。
叶わぬ願いと真実の檻に閉ざされ、何もできない心。きっとこのまま朽ち果ててしまうのを待つだけなのだろう。そう思っていた。
しかし――――
――――あの日、一人の少女に手を差しのべられた。