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星天師〜星空の湊〜  作者: 下村美世
第1章 宇宙へやってきた
17/34

試練!神々の集い④

ゼウス登場です!

更新遅れて本当にすみません。

それではお楽しみください♪

あ、ダメだわこれ。


体がこれ以上になく痙攣していた。

意識がフッと消えかけてしまう。

強力な風に煽られ、私の理性のろうそくが吹き消されてしまうかのように。


「おや、その子かね。人間の小娘で今度天王星の星天師になるとかいうのは」


その声が頭に響く。よく通る低い男の声だった。そして、圧倒的な重さのある声だった。

ずっと聞いてると肩こりしてしまうような感じ。


目の前に立っている長身(とても大きい。2メートルくらいはありそう)で長い髭を生やした男は、白髪まみれのボサボサ金髪を鬱陶しそうに払った。他の神様より強い癖っ毛で、天然パーマといったところだ。その長い天パを腰あたりまで伸ばしていて、頭には黄金に輝く冠があった。彼が動くとその冠が反射してキラキラと眩しい。

立派なお召しの彼に対し、私の勝負ドレスはもう粉塵に塗れてヨレヨレのグッチャグチャだ。ビビットパープルのサテン生地だが、今は白粉のせいでパステルパープルになってて笑う。


でも、そんなこと言ってられない。


この神が喋るたびに、目眩が起きそうだった。比喩ではなく、本当に目がグラグラと揺れるのだ。


さっきこの神以外の神が総集合していてもここまでの目眩なんか起きなかった。



…間違いない、この男…ゼウスだ。

木星神でー…全ての頂点に当たる男神。

この神しか、出せるわけがない。


登場しただけで人を凌駕し、ひれ伏せされるような圧倒的な存在感を。


彼はくすんだ緑の瞳を私に向けた。

くすんでいるのに。気力がないのに。めちゃくちゃ綺麗でもないのに。


その瞳に、私は目が奪われてしまう。彼の眼光には、これまた私の本能を惹きつける力があるのだ。


これが絶対神というものなのか。


怖くて怖くて…怖いのに、なのに目が離せない。

誰からでも、特別と認識される存在。



「おや、かわいそうなことをしたね。せっかくのドレスがね」


彼は悠々とした態度で私のドレスをジッと見る。


「…え、あ、…あ」


私はなんとか返事をしようとした。


しかし。



…えっ、嘘でしょ?


口がうまく開かないんですけど…!


というよりも、縫われたかのように唇が張り付いてしまっているのだ。

私の体はきっと極限状況なのだろう。


心はなんとかゼウスのオーラに耐えているけれど、体は押しつぶされそうに軋んでいるのだ。


私の全身から汗が噴き出す。内臓がぞわぞわしていて、体温も急激に低下していて。


カタカタと青ざめて震えだした私を、ゼウスはジッと見つめて思い出したかのように頷いた。


「あ、そっか。この子まだ仮契約なんだね。てか私の赦しがないと星天師なれないんだっけ。てか、このままだと死ぬか」


何やら怖いことをサラッと言うと、ゼウスは両手を広げた。


大きな大きな手。そして、皺だらけの手。


働いてきた、手。


ゼウスは息を軽く吸うと、一息で言った。


「我ゼウスは汝に一時猶予を与える。試練を乗り越えた時、汝は星天師となる」


は?何言ってー…。


その瞬間、緑色の光の粒がゼウスの手のひらから大量に放たれた。


な、なにこれ!?


緑色の粒はフラフワと私のところまで飛んでくると、頭部、顔、胴、足の周りに浮いたまま常駐した。最後の一粒が私の足のつま先にぴったり着くと、それは一斉に私を包み込んだ。


そこは緑の空間。

暖かい、気持ちいい緑色の暖かな光が優しく優しく私を出迎えてくれる。



強張った足から、手から、どんどん力が抜けていく。

この暖かさが心地よすぎて、私はガラにもなくウットリとしていた。まさに私は恍惚としていた。


光がスッとすぼまっていき、弾けて消えた。


ちえ、もう終わりか。

受験期にひどい腰痛になってマッサージしてもらったことがあったけど、その時なんかより全然気持ちいい。こんな快楽初めて味わった。



そして楽になった私の体は、私の意思で動くようになった。

右手よーし左手よーし。膝は?うん、動くみたい。口も足も動く。


ドレスの粉塵を叩きながら、立ち上がった。

まだ少し膝が震えるけど、問題ない。


「お主、名は?」


ゼウスは私が復活したのを見てニヤリと笑うと問うた。


口をパクパクと開けてみる。

大丈夫、言える。

いつもの私だ。堂々と名乗れ。


「…かざ、ま…風間、千鶴です」


ゼウスは満足そうに微笑む。


「まあもう理解しているだろうが私はゼウスだ。今、お主の体に細工を施した」


「細工?」


「時限付きの加護だ。私の力を持ってすれば、私以外の太陽系神の分までまとめて加護ができる」


ゼウスはジロッと後方の神々をにらんだ。


「どうせお前たち、千鶴に加護を与えていないんだろ?じゃなきゃこんな風にカチコチになったりしないさ」


すごい眼力だったので思わず私は怯んだが、神々はそうでもなさそうだ。


キツイ口調でアレスはゼウスにヤジを飛ばす。


「それは、親父が来るのが遅かったからだろ」


「ゼウスは遅刻常習犯だしねえ。あと、どうせゼウスが暫定加護を与えたら、私たち分まで補っちゃうしね?」


アフロディーテが艶かしい口調で言うが、先ほどの首絞めの跡がくっきり残っている。


真っ白な陶器みたいな肌には、その赤い腫れは目立つ。痛々しくて、思わず顔をそらした。


「どうした?その傷。アフロディーテ」


ゼウスが眉をハの字にしてアフロディーテに問い詰めた。その様子は娘を心配する父親そのもので。


「んー?ま、なんでもないわよ」


アフロディーテが話を逸らそうとする姿勢に驚いた。

先ほどのサターンのことは言わないつもりか?何故?仲が悪そうに見えたけど。


「…まあ良い。治してやる」


ゼウスがアフロディーテの元へ寄っていくと、彼女の首にソッと触れた。


そしてまた緑色の光が現れた。

これ、ゼウスのシンボルカラーなのかね?

瞳の色と連動しているとか?


でもさっきより、濃い緑色だ。用途によって、ゼウスの光の濃さは変わるらしい。


さっきの私にくれた光は契約の光、そしてアフロディーテに与えているのは治癒の光といったところか。…全然違ったらお恥ずかしいが。


アフロディーテの傷ついた部分にも光が被さり、数秒後に光が弾けた時には、もう赤い腫れはなかった。


ゼウスは全知全能の神というだけあって、やはりなんでもできるようだ。


…すごいなぁ。

この神を味方にすれば、由梨と再会できる日も遠くはないかも。



「あら。ありがとう父様」


アフロディーテは嬉しそうに笑って手を叩いた。そうしていれば可憐な美少女なのに、艶のある美女の顔も持っていて、彼女の素顔を掴むことは難しそうだ。


「なぁに。可愛い娘のため…。…うっ、うううっ」


なんかいきなりうめき始めたゼウス。

え?なに?さっきと全然雰囲気違うんですけど。


「アフロディーテちゃあん!」



うわぁっ!?

ゼウスがアフロディーテを締め上げそうなくらい抱きしめている。

その抱きしめる速度はゼロコンマ1秒。誇張ではなく、本当にそれくらいの猛スピードで抱きしめていた。



「ちょ、父様、苦し…」


「会いたかったよぉおおお!はー!可愛い可愛い!!だーいすき!」


私は引いていた。

ドン引きしていた。



さっきまでの威厳は消え失せ、そこにあったのはただの親バカ。


その抱きしめという名の締め上げが、先ほどのサターンにやられた傷より断然痛そうで。


10秒もしないうちに顔を真っ赤にしたアフロディーテがゼウスの肩をバンバンバンと叩く。



「父様っ!ぎ、ギブですわ!おやめください!」


アフロディーテに突き飛ばされ、口を尖らせる。


「なーんだよ、ケチ。パパ久しぶりのオフなのに」


いや、ケチじゃねーわよ。てかオフなのに遅刻してきたんかい!

あんなこと自分の実父にやられたら私なら死ぬわ、精神的に。

アフロディーテに心底同情した。


ゼウスを目で追っていたら、千鶴千鶴と微かに声が聞こえた。

声の主を辿るとマーキュリーのようだ。こちらにおいでと微笑んで手招きしている。


この人は比較的私に好意的だし、信用できるだろうか。あまり軽々しく信じない方がいいとは分かっているけれど。


「なんです?」


ススッとマーキュリーの元へ行くと、彼(彼女?)に合わせて私も小声で返す。


「あのねぇ、ゼウスはものすごく女好きなのよぉ。だから、千鶴も気をつけなさいよ?あんた可愛いんだから、狙われちゃうわよ?」



あー聞いたことがある。

有名どころだけど、ゼウスは大変な女好きの浮気性で、奥さんのヘラを怒らせるのはもはや定石で。


でね!ヘラがゼウスの愛人へ復讐するんだけどそれが物凄くて!


ゼウスって凄い神なのは分かるけど、困った一面も多いんだなぁ。









ありがとうございました!

神々の試練!というサブタイなのにまだ試練が出てこない…笑

次回も是非ご閲覧をよろしくお願いします!

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