試練!神々の集い①
千鶴のドレスアップです!
「千鶴様。お目覚めになって」
「んぅ…?」
だ、誰やねんワレ。
金髪の髪を後ろで縛って、黒いフレアワンピースに白いエプロンなんかつけちゃって。
まるでメイドみたい。
「申し遅れました。私、太陽王宮に勤めておりますメイドのマリーです」
あ、メイドでした。
ここは太陽王宮の地下だから朝が来ても日光が差し込むことはない。
地球にいた時のようなメカニズムで起床することは不可能そうだ。
「もう、朝?」
「え?朝とは?」
あ、そっか。このメイドさんは太陽人だから朝夕の概念が無いんだ。
常に昼みたいなものよね、太陽王宮に住んでいるのなら。
「いえ、なんでもないです」
「そうですか?…それより千鶴様!早く御仕度ください!」
冷静そうなメイドさんが突如鼻息を荒げて興奮しだした。
えっ、なっ、なんすか?
「え?集会はもっと遅くからでしょ?」
「そうなんですけど、初めて神々にお会いするのですから!とびっきり着飾っていただきます!」
ま、まあ流石に制服で行くべきかは迷ったけどさあ。
私は壁に掛けてある制服をちらっと見た。
昨夜部屋のタンスの中にネグリジェ(死語)が入っていたので着替えたのだ。
スカートなんて(ネグリジェだからワンピースか?)いつぶりだろう。
あ、制服のスカートとかは除いて。
私服なんてほとんどショートパンツなのに、着飾るとか恥ずかしいわ。
それに、そんなに気合い入れられたらこっちが緊張してくるんですけど。
「ではまずお洋服を脱いでください。採寸するので」
「あ、ああ…ハイ。」
やっぱりドレスとかだよね、知ってた。
できれば地味で長い丈のものを願いながら採寸にあたる。
「んー、ちょっと袖が足りないかな?もう1つ大きいのあったっけ?」
なんだかされるがままになっているが、メイドさんの顔があまりに真剣だから何も言わないで従っていた。
私が集会で無礼なことしたらこのメイドさんのクビも飛ぶのかな?
それはちょっとかわいそうかも。
無関係な人間にはなるべく害は与えたくない。これ、私の信条だから。
メイドさんはもう既に何着かドレスの候補を立てているみたいで、その中から私にぴったりの物を選ぶようだ。
着せ替え人形のように様々な物を着るけれどなんとなくフィットしない。私は普通の女より長身で痩せ気味だから、そのせいだろうか。
最後の一着。長袖のドレス。
紫色のツルツルした布(私は洋服についての知識は皆無なので、以下、アバウトな言葉でお送りいたします)を主な布として(何言ってるのか自分でもわからない。想像してください)袖のところは紫のレースだ。あまり飾り気はないけど、前の部分が観音開きみたいにヒラヒラしていて、前から足が見える仕様となっている。袖がスっとなっていて、なんていうのかな、マーメイドドレスっていうの?間違ってたらごめんなさい。
とにかく今までの候補のドレスの中では1番地味で好みだ。紫色好きだし。
「千鶴様。これをお召しになってください」
「はーい」
もう慣れたもんで器用に脱ぎ着する。
「ん。ジャストフィット」
「まあ、ぴったりですわね。それによくお似合いですわ!」
やっぱりこういう濃い色の方が自分には合ってるし好きだ。
淡い色は見ていて不安になる。
消えてしまいそうな、そんな儚いものは嫌いだ。
「ではこれにしましょうか。でも少し飾り気がないでしょうか?」
メイドさんがコサージュを漁っているのを必死に止めた。
「いや、これでいい。これがいい」
飾りなんて邪魔だ。
試練が体を使うようなものならなおさら。
かくして、私はこの勝負ドレス(と命名する)とともに出陣することとなった。
…………
「アレ?千鶴!凄い綺麗ネ!」
約束の時間、余暉さんはドアの前で待っていてくれた。
彼はチャイナ服ではなく黒いスーツを着ていた。
余暉さんが正装してるのを見ると、途端に緊張してくる。
やっぱり正式な場なんだなぁ。
「あ、ありがとうございます」
我ながら声が震えてしまう。
「緊張しないデ。大丈夫、凄い綺麗ダカラ!これで神様メロメロダヨ!」
余暉さんが真剣に私を綺麗綺麗いいながら励まそうとしてくれた。
この人、天然タラシなんじゃ…。
でも私より余暉さんの方が真剣で、思わず
笑ってしまった。
「えっ」
「ごめんなさい。…うん、大丈夫です」
私は上を向く。
待っててね、由梨。
これは、星天師になるための試練。
そして、貴女と再会するための試練。
乗り越えてやる。どんなことをしてでも。
私は余暉さんとともに、太陽王宮を出た。
次話御注意!
神様たちゾロゾロ出てきます




