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星天師〜星空の湊〜  作者: 下村美世
第1章 宇宙へやってきた
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太陽の星天師現る③

余暉と千鶴のまったりお茶タイム


コポコポと優しい音を立てて急須からお茶が注がれる。

き、急須ですか。ティーポットではなくて。

余暉よきさん中国人だから紅茶派ではないのかね?


などと思っていたけれど出されたお茶は紅茶だった。



「飲んデ!いい葉っぱを貰ったノ!」


このフレーズだけ聞くとまるで麻薬密売人のようだなと思いつつ、いただくことにする。



フワ…としたいい匂いが鼻腔をつく。


「ん…美味しいです」


こんなに美味しいお茶は飲んだことがない。

いや、別に今までもペットボトルのお茶しか飲んでなかったけども。

急須のお茶は初めてだが、一口でペットボトル茶との格差を思い知った。

私の兄さんがお茶マニアでわざわざ自分でお茶セットを買っていた。あの時はバカなことにお金使うな〜と思っていたけれど、今は兄さんの気持ちがわかる。


「デショ!?マーキュリー様がくれたんだヨ!」


まるで自分が褒められたかのように目をキラッキラさせて私を見つめる余暉さん。

マーキュリーって確か水星の神様だよね。

そんで商売の神様だとか。

なるほどね。商売の神様ならいい茶葉も持っているはずだもの。


グイーッとお茶を飲み干して、私は余暉さんに向かった。


「お茶、ごちそうさまでした。早速質問してもよろしいでしょうか?一問に留めますので」


「うん!いいヨ!どんとこい!」

「余暉さん、好きな食べ物は?」


「…へ?」


間の抜けたような顔をする彼。

思わずその顔に笑いそうになりながら、質問を反復してやる。


「だから、好きな食べ物を聞いています」


「あ、ああ…好きな食べ物はえっと、何でも好きダケド…炒飯が特に好きカナ」


「なるほど」


頭のファイルに情報を保存しておこう。


「こ、こんな質問でいいの?」

「はい」


ああ、いいよ。いいんだわ、これで。

勿論これは余暉さんのことが知りたいとかそういう目的もあるけれど、まずはこの人を味方につけないと。

何せ強大な権力者なのだから。


そのためにはくだんの試練までで構わないから私はなるべくこの人と仲良くしたい。


「もっと余暉さんのこと、知りたいですね」


「て、照れるってバ!俺、特に趣味とか何もないし!」


顔を真っ赤にしてジタバタと手足を動かす余暉さん。

せっかくのイケメンが台無しだった。


「もっと質問してもいいです?」


「うん!いいヨ」


トントンと、私は自分の口を指差す。


「マスク。何でつけてるんですか?」


気になっていた。彼のその大きな黒いタートルネックのようなマスク。

最初見た時、口に何らかの疾患があるのかと思っていたがそうではなかったし。


「あっ、こ、コレ?」


ちょっと彼は気まずそうにしている。


「あ、別に答えなくても」


「大丈夫ヨ!これはネ、あんまり喋るの得意じゃないカラ。だカラむやみに喋らないようにオマジナイ!」


「十分喋れてますけど」


「今はネ!でも、星天師なりたての時ハもう全然ダメ!今でもまだ変な発音だし!昔から付けてるノ」


ギュッと愛おしそうにマスクを掴む余暉さん。

彼にとって、とても大切なものなのだな。


「なるほど」


「あ、そうダ!」


余暉さんは何か思い出したようにゴソゴソと手帳を取り出す。

な、なに?唸ってるけど。


「うーん。…やっぱり開けようかな」


な、何を?


「…でもこの日もお客サン来るよネ。…こっちに移動すればいいカ…」


非常に小さな声だけど耳のいい私にはハッキリと聞こえる。

いきなり仕事モードに入ってしまって、何していいかわからず。


3分くらい後にパタンと手帳を閉じ、満面の笑みで余暉さんは言った。


「チヅル!明日、俺偶然休みだヨ!」

「えっ」

「神様の集会、一緒に行こ?」


そ、そりゃあ凄い助かるけど!

無理して予定空けた感が半端ない。


「いいんですか?」

「うん!本当たまたまさっき空いたんだよ!それに、せっかくの門出なんだカラ!いっぱいサポートさせてネ!」


ニコニコ笑っているけれど、目の下のクマや若干の疲労がうかがえた。

何となく罪悪感を覚えながらも、彼の申し出をありがたく受け取った。



「じゃあおやすみチヅル!明日、メイドさんが起こしに来てメイクアップするカラね!」


「はい。…本当にありがとうございます」


「明日、頑張ろうネ!」



私は、余暉さんに対してかなり好印象を抱いていた。

お人好しでたまにイラっとすることもあるけれど、本当に良い人なのだ。

きっと皆に愛されてる恵まれた人なんだ。私とは大違い。


そんな風に思っていた。

知らなかったのだ。


彼にかかっているプレッシャーの重さを。彼の苦労を。出自を。


ロクに彼のことを知らないくせに、ただの“良い人”で済ますのは悪かったと思う。


こんなもんじゃない。彼の魅力は別のところにあるんだと。


この時のわたしは知らなかったのだ。




【キャラクター紹介】

李余暉リ ヨキ

身長186cm、O型。

誰にでも優しく、どんな人でも受け入れる懐の広さを持った生粋のリーダー体質。

幼い頃に教育を受けなかったため、読み書きはギリギリできるというレベル。

茶髪の少し癖毛な髪と、大きな一重の目が特徴的なアジア系イケメン。中国人。

星天師年齢(後に登場する用語)は19歳。


【用語紹介】

・星天師年齢

星天師になった時の年齢を指す。

別名、肉体年齢とも呼ばれる。また後々登場する用語であるのでここで抑えなくても大丈夫。






お読みくださりありがとうございます。

次回・千鶴ちゃんドレスアップ!

そして集会へとレッツゴー!です。

お楽しみに!

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