一時限目
「よーし、今日から3年生だ。」と、意気込んだ。
「えーと…私は1組ね!知ってる人いるかなぁ…。」と、そんな不安が込み上げた。
「ちっぴぃ、何組だった?」振り返るとそこには、友人の焔亜美がいた。
「1組だよ、あみは?」
「えっ!?本当?あたしも一緒だよ!」
「やった!同じクラスだ!嬉しいなぁ。」彼女とは小学4年生から仲が良かった。
「じゃあクラスまで一緒に行こう。」
「うん!」と、言い教室へと向かった。
「ねぇねぇ、あの人かっこいいね〜。」
「本当だ〜ちょーかっこいい〜。」
教室へと移動中、何人かの女子が集まって1人の男子を見て、楽しんでいた。
「あの人、確かにかっこいいね。名前何ていうのだろう?」
うーん、確かにかっこいいけど何か違うな。
「ちっぴぃ?」と、考えていると名前を呼ばれ、現実へと戻った。
「な、何でもないよ、か、かっこいいと思うよ。」と、少し焦って言った。
「へ〜。」と、あみは少しガッカリして言った。そして、そのまま教室へと入っていった。
「最初から先生に頼まれごとされたね。」
「うん、頑張ろう。」
教室に、入ったとき2年生のときの担任に、教科書を運んでほしいと、頼まれたのだった。
「重いね〜。」
「うん、結構きついかも…。」私たちの教室は3階で、今は1階だ。これを持ってあがるのは、流石にきついな…。
「あっ!ごめん、あたし先生に呼びたしされたの忘れてた!悪いけどこれ、あたしの分もよろしくね!」じゃ!、とあみは教科書を置いて、走っていった…。1人じゃ持ちきれない…。でも持っていかなきゃ…よし、頑張ろう!そう、自分に言い聞かせた。
「せーの!」と、掛け声とともに、私は1人では持ちきれそうもない量の教科書を抱えた。
「きゃ!」こける…!……その瞬間教科書は落ちた。あれ?こけてない…妙に背中が暖かいような…?包み込まれるような安心感、ずっとこのままでいたいなと、吸い込まれていく。自然とそう、思えるくらい安心できた。
「あの…。あの、退いてもらってもいい?」
その声とともに我に戻った。
「あっ、す、すみません!」と、混乱しながらも頭を下げお礼を言っていると…
「あははっ、面白いね。」
「えっ!私ですか…?」
「うん。」
私はカアッと顔が赤くなっていくのが、わかった。こういうこと…始めて言われた…。
「俺、富村陵、今年で3年生。」と、彼は言うと、こちらをやたらと見てくる。なんか、恥ずかしいな。
「で、君は?」
「あっ、えっと、橋本千尋です。友達からはよく、,ちっぴぃ,って呼ばれます。」
「橋本さんね、教科書集めるの手伝うよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「あと敬語やめよう?」
「えーと、そうだね富村くん、手伝ってくれてありがとう。」そう言うとニコッと彼は笑顔で返事をしてくれた。