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第8話 好き嫌いはいけません
奇跡のような確率で訪れる、ある日の昼休みのことです。
外のベンチで一心不乱にお弁当を食べている人がいました。
あまり面識はないのですが、確か鈴瀬さんという人です。なんでもよく食べる人だとか。
食べているのはあの雲のお弁当です。
私のトラウマです。
あれを食べるくらいなら、味のしなくなったガムを噛んでいたほうがマシです。
折角なのでお話をします。よく食べられますね、それ。
「私は食べられる物なら何でも食べてしまうから。」
好き嫌いが無いそうです。すごいです。尊敬します。
「私はノン気でも構わないんだ。」
言っている意味はわからなかったのですが、何故か体がビクッとしました。