面会…拒絶!?《上》
今回も主人公が名前しか出ない…
しゅ、主人公は男の子です!青年くんです!
女の子ではありません!お了承ください…
『せっかくの申し出ではありますが………どうぞお引き取り願えますよう』
ニッコリと友好的な笑みを浮かべながらも否定的な回答を吐いた、見た目が気だるげな青年を前に、リーシェは唯単に唖然としており、そんな回答を半ば予想していたアームドはその様子を見てニコニコと笑みを深めていた。
―――――――――…
《魔物の森》
セシリー王国の西の端、広大な範囲に広がっているその森には古くから魔物が住んでいると伝えられてきた。
で、今の状況はと言うと
目の前には相変わらずの木、木、木、木、木。
リーシェ自身、もうウンザリとしていた。
確かに《魔物の森》と言うだけはあり魔物はいる、それも複数であり凶悪で強暴な種類ばかりだ。
それらがいるにはいるが………隣の同僚を見ると興味を失ったかのようにして去っていくのだ。
キチンとリーシェには威嚇をするのを忘れないが…
それよりも目下の問題は違うことだ。
「ね、ねぇ…いつま、で、登らせんのよ…」
「ん~さぁ…いつまででしょうね?」
「………ふざけるんじゃ、ないのよ……」
アームド・ルレイシュターは汗一つかかず、飄々(ひょうひょう)としながらいつもの笑みを絶やさずに問いに答えていく。
しかも答えられた事に対して苛立ちを増していくのを疲労した身体とおぼろげな思考の中で感じた。
登り始めたのがまだ日が昇り始めたころであり、今は日が沈もうとしている。
まぁ丸一日、登っているわけだ。
これで目的の人物が見つからないとなれば…まぁ、こう言いたくもなる。
「おかしいな~面白がってすぐ出てくるかと思ったんですが」
「ど、どんなとも、友達、なのよ…」
手渡された水筒の中身をガブ飲みする。自身のではないが背に腹は代えられない。自分の分は既にカラだ。
間接キス?気にしない。
そんなことを言っているようでは騎士団では到底やっていられない。
良くも悪くも普通でいられないところ、それが騎士団だ。来たときからあまりかわらないアームドが異常なのだ。
息を整えながら、アームドを膝をついている状態から仰ぎ見ると、目を細めて大きく深呼吸していた。
その眼の奥には懐かしいという感情が見え隠れしている。その友達のことを考えているのだろう。
「彼の性格ですか?……んと、怠け者?ですかね」
「あと、強いです」と言いながらまたまた笑う。
そういえばこいつが笑った顔以外は見たことがないな…と不意にリーシェは思った。
いつでもどこでも笑っている。
まるで仮面を被っているみたいだと、昔は思った。
今では何とも思わなくなっていることが多い。なれとは恐ろしい。
「あ、いた~アーだー!」
と、甲高い声がしたかと思うと赤い色をした何かがアームドの首へとガバッと勢いよく抱きついた。
そしてそれを認識したリーシェは目を見開いた。
それは小さいながらも見るからに頑強な体躯を持ち、鋭い爪と尖った牙を有し嬉々とした表情で首に抱きついているドラゴンである。
………は!?ドラゴン(・・・・)!!!???
「お~ファン(・・)じゃん、お迎えご苦労さん」
「イーがまってるの~なんでいなかったの~?」
「ん?探したけどいなかったじゃん」
……な、なななななな
「何をやってんのあんたわぁぁ!!」
呆然としていた意識を取り戻すや否やリーシェは一人と一匹からすぐさま距離をとって、腰に下げていた愛剣を抜き放ちながら思わずといったふうにして叫んだ。
ドラゴンとは凶悪な存在であり、魔物の代表とも言うべき存在である。
種によっては火を噴くもの
地割れを起こすもの
人肉を喰らうもの
それが目の前にいるというのに…!!
「あ、大丈夫ですよ噛みませんし…多分」
「多分じゃないわよあんた!」
「わかってんの!ドラゴンよドラゴン!!」といえば「え、でもこの子は草食ですし…」と、いつも道理ニコニコと笑っている。
………ドラゴンの方はリーシェに興味がなさそうにアームドにじゃれている。
一見は子供のようだが、危険な存在には違いない。とリーシェは少し緩みかけた気持ちを引き締めてドラゴンとアームドを睨みつけた。
「怖い顔しないでくださいよ、この子はファンっていう、リトルドラゴンの子供です」
「殺傷能力はほぼ皆無ですし、先ほど言ったとおり草食ですし」という彼の言葉どうりそのドラゴンからは敵意すら感じられなかった。
「それもこの子は使者ですよ」
と言って「なぁ?」とドラゴンに肯定を求めるように問うと「うん!」と元気な返事が返ってきた。
「イーがまってるの~」
「イルは怒ってるか?俺らが来たこと」
「むむ~?そんなことなかったとおもうよ~」
「でもはやくはやく~」と言いながらアームドの袖をひっぱる。
「ま、行きましょうよ。今からのとこが本題ですよ」
そう言ってアームドは笑った。
イルは楽しんでいる。
イルには分かっている。
これからどうなるのか、どうするのか。
アームドは親友の遊びに付き合っているにすぎない。
イルはいつでも楽しませてくれる。
俺はイルに遊びを提供しているんだ。
ファンを肩にのせながら、アームドは親友のもとへと歩いていた。
最後のつぶやきはアームドのものです、ハイ…。
………アームドが予想外に腹黒い人に……
どうしてこんなことになったんでしょう??不思議です!敬語キャラにしようとしたのに…
かってに動かないでくださいそこ!!
次こそは主人公だします!絶対!!