岩肌巌雄編・あとがき
リアルでバタバタしておりまして、結局ひと月ぐらいズレ込んでしまいました。
今更言うのも何ですが、「岩肌巌雄編」を最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。
前回(といっても一年ほど前になりますか)が七式探偵七重家綱という作品の設定面を使ってお話を構成していたのとは異なり、キャラ・設定その他を活かし「自分がやりたいことを全面に出そう」というカタチになっています。
元々この小説のタイトルは「外伝・七式探偵七重家綱 FILExx:夢野三杉」であり、今回のような続編を書くつもりは全くありませんした。
制作のきっかけになったのは、「午前十時の映画祭」というイベント(家綱はおろか原作者のシクルさんも全く関係なくて恐縮なのですが)で『ダーティーハリー』やら『荒野の用心棒』といった過去の『カッコいいガンアクション映画』に感激し、そういう系統で何か話が出来ないか……という発想でした。
この話が『家綱』になり、個人的に作中で惜しいなと思った『岩肌成子さんというキャラの掘り下げ』をやろう、こうなったら『一部と二部の空白も勝手に補完してしまおう!』となったのは確か八月半ばだったように思います。ブランクが開きすぎててはっきりとはしないのですが、おそらくは……。
家綱にしろ岩肌さんにしろ、作中で未来は既に決定してしまっているので、中途半端な過去回想になるのは避けられなかったのかもしれません。岩肌巌雄というキャラクタもその辺の理由から生まれました。上記二人には過去に接点がなかったので、それを繋ぐ人がどうしても必要になったんですね。
とはいえ、それ以外は自分のやりたいことに忠実に描きました。岩肌オヤジのマカロニ・ウエスタンっぽい早撃ちとかわざと右手だけ隠してるところとか、作劇に関しても、よく見るとどこかで見たことあるような展開が並んでいるのもそのためです。
こういうことをやれる機会なんて殆どないのでかなり入れ込んだ覚えがあります。他人の創作作品でここまでやっちゃってよかったのだろうか。
一番悩んだのは『下(その一その二)』における、エージェントQ撃破までのやり取りです。
彼(?)の秘密兵器の正体が『あれ』であることは当初から想定していたのですが、それをどう破るか? 絵的に派手で、カタルシスがあって、それなりに文章量を抑えて……となると、なかなかうまくいかないものです。
当初(中を制作していたあたり)は、岩肌オヤジが外に停められていた車のエンジンを撃って爆発させ、件のターゲットサイトを全てそちらに向けさせたうえで、隙だらけとなったQを家綱が殴り倒すという展開だったのですが、上記の点を踏まえるとどうも弱いなと二転三転し、本編のあれに落ち着きました。あれはあれで説明過多になってて、「最初に想定していたものの方がよかったんじゃないか……」と思うこともありますが、成子さんも描けたし、最終的に家綱がとどめを刺したし、あれはあれで良かったと思うことにしています。それにしても長いけど。
さて。岩肌巌雄編が終わったので、そろそろ「家綱スピンオフ」プロジェクトに着手してみようかと。
自分は「アントン編」とその他二作を担当しているのですが、それらすべてを年内に完成できるかどうか……。
考えないようにしよう。