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第3話 双子の帰り道
学校では、彼らの不仲は有名だった。
桜は成績優秀で委員長、煉は問題児でサボりの常習犯。
教室で顔を合わせれば、冷たい視線が飛び交う。
しかし、ある事件が彼らの関係を変えるきっかけとなった。
中学2年の秋、帰り道で煉が不良グループに絡まれていた。
5対1。煉は悪魔の力の名残で常人より強いが、完全な力は発揮できず、押され気味だった。
通りかかった桜は一瞬、通り過ぎようとした。
彼がどうなろうと、自分に関係ない。
むしろ邪魔者がいなくなるだけだ。
だが、煉が殴られて倒れるのを見た時、桜の体が勝手に動いた。
「やめなさい!」
彼女の口から出た声には、思わず微かな「聖なる威光」が込められていた。
不良たちは理由もわからず背筋が凍るような感覚に襲われ、散り散りに逃げ出した。
煉は血だらけの顔で桜を見上げ、嘲るように言った。
「……余計な真似するなよ。天使様の同情か?」
「……そうよ。汚らわしい悪魔が倒れてるのを見るのは、目障りだから」
しかし、桜は煉を起こし、肩を貸して家まで連れて帰った。
煉も意外と素直に従った。




