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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
クリスマスの準備
88/222

リムジンで百貨店へ

「お待たせのばら!」

「もう、深川先生変態ですわ!」

「ちょ、何があったの?」

「亜美は知っちゃダメですわ!」


 一体京平は何をしでかしたのだろう。き、気になる。

 私は信次に、こそっと聞いてみた。


「ねえ、京平何言ってたの?」

「夢の亜美を誘ってた」

「なっ?!」


 でも、夢の中にいる京平は可哀想なことに。


「そっか、そうだよな。亜美も疲れてるよな。すーすー」

「あ、断られたみたいだね」

「当然ですわ!」

「夢の私を殴りたいいい!」


 夢の私のバカ! 京平はたっぷり寝た後じゃないと誘ってくれないんだぞ。だから貴重なんだぞ!

 大体疲れてたって、京平が抱きしめてくれたら癒されるじゃんよ。空気読めないな、夢の私。

 兎に角、京平が可哀想過ぎるよ。私は京平にキスをした。


「いってきますのキスだよ」

「あ、兄貴、笑顔になった」

「だ、大胆ね。亜美ったら」

「夢の中でも、幸せで居てほしいから」


 京平が笑ってくれて良かった。良い夢みてね、京平。


「じゃあ行こっか。のばら」

「ええ、行きましょう」

「「いってきまーす」」

「いってらっしゃーい」


 友達と買い物って初めてなんだよね。

 友くんとは、看護学校の宿題が多過ぎて、遊びに行った事ないからなあ。

 社会人になってからは、蓮もそうなんだけど休みが合わなかったし、誘われないし。

 

「何処に買いに行くの?」

「折角だから都内の百貨店に行きましょう。皆とプレゼント被らなそうですし」

「じゃ、駅まで行こっか」

「その必要はありませんわ、車を呼んでありますの」


 のばらが携帯を鳴らすと、リムジンが我が家の近くに停まった。え? リムジン?!


「山田! 丸英百貨店まで」

「はい、のばらお嬢様」

「亜美も乗せるから、丁重にもてなすのよ」

「亜美様、こちらへどうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 山田さんは私の鞄を預かってくれて、リムジンに乗る時も、手を貸してくれた。

 リムジンの中には、様々なジュースやケーキが並んでおり、見てるだけで楽しい。

 そんなリムジンに、私みたいな凡人が乗って良いのだろうか?

 と、思いながら、ケーキを我慢していた。


「亜美、ケーキ食べれないものね。申し訳ないわ。山田に言っとけば良かったわ」

「いいよ、このノンカロリーのアセロラジュースも美味しいし!」

「ジュース沢山揃えて良かったわ。ケーキは片付けますわね」

「あ、じゃあお土産に貰っていい? 京平と信次にあげたいの」

「勿論ですわ。帰りに包みますわね」


 そんな会話をしながらも、リムジンはデパートへ進んでいく。

 普通の初めてじゃないけど、のばらの優しさも改めて感じられたし、もっとのばらと話したいな。


「のばらはもう何回もリムジン乗ってるよね?」

「え? 初めてですわよ?」

「え、嘘?! 何で私と買い物行くだけなのに、リムジン頼んだの?」


 お嬢様ののばらでも、リムジン初めてだったんだね。何で私との買い物だけなのに頼んだんだろう?


「だって、友達との買い物、初めてなんですもの」

「え、のばらも? 実は私もだよ」

「日比野さんや落合先生もいるのに?」

「誘われた事なくて」


 私達は顔を見合わせ、そして笑った。

 そっか、お互い初めての友達との買い物だったんだね。

 クリスマスプレゼントを買うんだし、お互い楽しめたらいいね。


 その後は何故かリムジンに積まれてたパーティーグッズで遊んだり、シャンパンを開けてみたり、もはや買い物が目的とは思えないような遊びもしてみた。

 のばらのトナカイが可愛かったから、写真も撮ったりして。あ、因みに私はサンタさんになったよ。

 ふふ、のばら、薔薇生やしてる。楽しいんだろうな。


「信次くんに送りましょ」

「結構信次とライムするの?」

「ええ、よく返してくれるし、気に掛けてくれるから嬉しいですの」

「ほええ、家族だからあんまライムしないけど、良いとこあるんだなあ、信次」

「亜美の弟さんですものね。良い子ですわ」


 のばら、最近信次と仲良いもんなあ。

 信次ものばらが来ると嬉しそうだしね。

 

「そう言えばのばら、イブは予定あるの?」

「それが何にもないんですの。寂しいですの」

「そいや信次バイト休みだし、学校も休みに入るし、遊び相手にはなるんじゃない?」

「ぼっちで閉じこもるよりは楽しそうですわ。誘ってみましょ」


 そんな事をのばらと話していると、ちょうどのばらのライムが通知を送る。

 

「あ、信次くんから返信が来ましたわ。あら、噂をしていたら、のばら、信次くんから誘われましたわ」

「お、グッドタイミングだね!」

「これで1人寂しさで泣き濡れずに済みますわ」


 のばらなら、沢山の男性からお誘いが来てるだろうに、それには乗らず、私の弟がその相手に選ばれるって、不思議な感覚だね。

 ただ、のばらは飽くまで友達として信次に接してるだろうし、のばらに惚れないといいけどね。


「あ、亜美、もう直ぐ着きますわよ」

「お、丸英百貨店初めてみたけど、おっきいなあ」

「色々揃ってますわよ」


 のばらは薔薇をしまって、ファムグレを飲む。

 わああ、何買おうかな?

 京平と信次と、後、のばらにもプレゼント買いたいな。

 あ、そう言えば、友くんもプレゼント買ってくれたって言ってたし、買っていこう。気まずさが残らなければいいけど。

 それなら蓮と朱音にも何かプレゼントしよっと。折角来てくれるんだしね。


「はい、着きましたわ。山田、後でお迎え頼むわね。と、ケーキは冷蔵庫に入れといて。亜美のお土産にするから、帰りに持って来て」

「かしこまりました。のばらお嬢様」


 のばらが山田さんに颯爽と指示をすると、山田さんはリムジンと共に去っていった。


「まずは信次くんのプレゼントを見繕いましょうか」

「信次には何がいいかなあ?

「確かバイト代が入ったら、医学書買いたいって言ってましたわね。沢山あって困るものじゃありませんし、良いんじゃないかしら?」

「じゃあ、まずは本屋さんだね!」


 えっと丸英デパートの本屋さんは、5階だね。

 私達はエスカレーターで、5階まで向かう。

 シャンパンで若干酔っていたので、のばらと手を繋いで。


「亜美、お酒に弱かったのね」

「ごめん、ちょっと飲み過ぎた」

「大丈夫ですわ、一緒にゆっくり行きましょ」


 のばら、やっぱり優しいなあ。

 愛のライバルだったけど、こんなに可愛くて優しいのばらだから、幸せになって欲しいな。

 あ、シャンパンは飲み物だから、間食にならないよね? インスリン注入は勿論したけど。


「さ、本屋さんに着きましたわよ」


 信次が持ってない医学書かあ。よく考えたら、京平からしょっちゅう借りてたよな、信次。

 もしかしたら、探すの凄く大変なのでは?

蓮「リムジンパーティーもしたのかあ、いいなあ」

のばら「亜美と楽しみまくりましたわ」

亜美「シャンパンめちゃ美味しかった」

蓮「俺も誘ってくれよ」

亜美「蓮は今日仕事でしょ?」

蓮「そうだった!」

のばら「亜美とのデートの邪魔はさせませんわ!」

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