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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
クリスマスの準備
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クリスマスは何するの?

「んん、よく寝た」


 京平、私を抱きしめて寝てくれたんだね。

 お陰で気持ちよく眠れたよ。ありがとね。


 あ、アラーム消さなきゃ。うるさいっていうのは本当だろうし。

 あれ、でも京平起きる気配ないな……。

 あ、耳栓してる。

 しょうがないなあ、時間になったら起こしてあげるね。

 ゆっくりおやすみ、京平。


 私がシャワーを浴びて着替えてるうちに、信次も起きて来た。


「信次おはよー!」

「亜美、おはよ。体調は大丈夫? 昨日兄貴から倒れたって聞いたけど」

「うん、早めに寝たし、安心出来たから大丈夫。さ! お弁当作るぞ!」

「良かった。いつもの亜美だね」


 信次にも心配かけちゃった。

 自分の反射的にダメージを受けるとこは治したいけど、もう無意識に反応しちゃうもんなあ。

 解っているのに不安になるなんて、面倒な身体だなあ。


「あ、亜美、お弁当の前にグループライム見ときな。亜美と兄貴だけだよ、返信してないの」

「マジか。急いで見なきゃ」


 なになに? 日付の候補のアンケートか。

 いまんとこ、21から23日、26日が候補日かあ。

 21日だと明日じゃん。何故候補日にしたんだ?

 皆もうプレゼント買ったのかな?

 正直私は全部早番だし、21日以外は丸つけとこ。

 

 そう言えば京平、クリスマス何か考えてくれてるのかな?

 でも、京平の身体の事もあるし、無理はして欲しくないな。

 でも、クリスマスくらいは期待しちゃう。

 これでも女だから、こんな事したいなあとか、ない訳じゃないんだぞ。

 でも、一緒にいられたらそれでいいや。


「亜美、考え事の前にお弁当作ろうね?」

「はっ、しまった! 今日は何にしようかな」

「昨日は久しぶりの、梅味と抹茶味の唐揚げ美味しかったよ。ありがとね」

「どういたしまして。今日も美味しいの作るぞ!」


 昨日は疲れのあまり、すぐ寝ちゃったからなあ。なんも下拵(したごしら)えしてないや。

 すぐ出来て美味しいもの、何かあるかな?

 

「よおし、作り始めるか!」

「今日は何かな? 楽しみにしてるね」

「今日も部屋にこもる感じ?」

「うん、ご飯食べ終わったらこもるー」


 受験生の信次に力を与えられたらいいな。

 部屋にこもるんなら、楽しみはお弁当くらいだもんね。


 今日も焼いたり、茹でたり、炒めたりっと。

 美味しくなるんだぞー!

 ふぇふぇふぇ、良い感じ良い感じ。

 美味しそうになってきたじゃん。

 信次は勉強しながら食べるだろうから、手が汚れないようにちょっと工夫して。

 京平は天然だけど、箸は使えるよね? 使えるわ! アホって言われるな。あはは。


「よし、僕は朝ご飯出来たよ。亜美は?」

「あと、もうちょい」

「じゃあ先に洗濯物干しちゃお」


 まだ京平は起こさなくても大丈夫だよね?

 時計をチラッと覗くと、5時45分。

 うん、まだ大丈夫。お弁当作りもラストスパートだ!

 ふふ、ハートを描いて完成。まだ時間あるから、トイレ掃除でもしようかな?


「干し終わったよ」

「まだ時間あるから、私トイレ掃除しとくね」

「あ、それは2か月兄貴にやらせるから、亜美はやらなくていいよ」

「にゃんで?」

「不機嫌になったのと、亜美に負担かけた罰。しっかりやらせなきゃ!」


 信次、何時の間に京平に罰を与えたんだ?

 でも、あの不機嫌ぶりに私も疲れちゃったし、しっかり反省して貰わなきゃね。

 良い歳して不機嫌を周りに振り撒いちゃダメだよね。


「じゃあ、ちょっくらのんびりしてから、京平起こそうかな」

「そうしよ。はい、亜美のコーヒー」

「ありがとね」


 ふー、朝の一杯はまた格別だね。

 信次の淹れてくれたコーヒーだからなのもある。


「さて、一息入れたとこで、京平起こしてくるね」

「兄貴が起きて来ないのめずらしいね?」

「なんか耳栓してたから、アラーム聞こえてないと思う」

「なるほど。じゃあ亜美、宜しくね」


 私が部屋に入ると、京平の携帯がけたたましくアラームを鳴らし続けていたけど、京平にその音は届いていないようだ。

 私は京平のアラームを止めて、耳栓を外して囁く。


「おはよ、京平」

「むにゃ、おはよ、亜美」

「耳栓してるんなら、アラーム掛けても意味ないのに」

「確かに。無駄に掛けてたわ」


 朝から京平の天然が炸裂したよ!

 変なとこでやらかすよね、京平って。


「耳栓、机の上に置いとくね」

「ありがと、亜美」

「さ、朝ご飯たべよ!」


 私達は部屋を出て、リビングに向かった。


「おはよ、信次。朝ご飯と洗濯ありがとな。ふわあ」

「兄貴おはよ、どういたしまして」

「あ、お弁当は鞄に入れといたからね」

「亜美もお弁当ありがとな」

「どういたしまして。じゃ、食べよ!」

「「「いただきます」」」


 うーん! 今日の朝ご飯も美味しい!

 昨日のシチューをリゾットにアレンジしてくれてて、また更に美味しい。

 シチューかけご飯とはまた違って良いね。

 

「はい、兄貴のコーヒーね」

「ありがと、信次」

「早く朝ご飯食べなよ、京平。今日も凄く美味しいよ! んー! 最高! 美味しい!」

「お、リゾットにしたのか。どれどれ……お、これは美味いな」

「へへ、ありがとね」


 料理では信次に敵わないなあ。

 あれやこれやでアレンジも出来ちゃうし、何を作らせても私が作るのとは何か違うんだもん。

 シチューって、リゾットにしても美味しいんだなあ。


「あ、そだ、兄貴もグループライム返信してあげて。とは言っても、亜美と同じだろうけど」

「忘れてたわ。よし、完了」

「早!」

「そういやツリー出さなきゃな。すっかり忘れてたわ」

「じゃあ兄貴、部屋の掃除ついでに出しといて」

「おう、了解」


 京平、トイレ掃除だけじゃなくて、部屋の掃除もやらなきゃなんだなあ。

 私そこまで怒ってないし、信次が居ない時にこっそり手伝ってあげようかな?

 

「亜美、兄貴を手伝っちゃダメだからね」

「そうだぞ。俺の罰なんだから」

「何故見抜いてくるの?! わ、解ったよ」


 もー。信次に見抜かれるとは、どういうこっちゃ!

 最早私、どんな人にでも見抜かれる才能を、身に付けてしまったのでは?

 最近立て続けにだしなあ。もっと隠し事出来るようになりたいよ。


「ごちそうさまでした」

「今日は信次が1番か」

「そ、早く勉強しなきゃだし」

「「ごちそうさまでした」」

「って、亜美と同時か」

「仲が良いね、2人とも」

「えへへ」


 ほぼ3人同時に食べ終わったので、洗面台はごった返してしまった。

 取り敢えず歯ブラシを取って歯磨き粉を付けて、場所を確保して、と。

 あ、京平ってば、歯磨きしながら着替えてる。けど、やっぱ服に歯磨き粉がついた!

 天然なのに横着するから!

 しかも気付いてない。歯磨き終わったら教えてあげよ。


「京平、服全体に歯磨き粉付いてるよ」

「うわ、やらかした! タオルで取れるかなあ……」

「諦めて着替え直しな、兄貴」


 今日の京平はとても天然だなあ。ある意味平和って事なのかもしれないね。


「俺の服は平和じゃないぞー!」


 ◇


「「いってきまーす」」

「いってらっしゃーい!」


 普通の時間に家を出る事が出来た。

 最近、走ったりおぶられたりだったからなあ。


「クリパ、23日になりそうだな」

「そっか。てことは、火曜日か。信次、バイト休み取れるかなあ?」

「急に決まったしな。俺からも小暮さんに謝罪入れとくよ」

「ありがとね、京平。明日のばらとプレゼント買いに行くよ」

「俺も買わなきゃ。今日の帰りにデパート寄るかな」


 京平はどんなプレゼントを買うのかな?

 気になるけど、それは当日までのお楽しみだね。

 あー、私は何にしようかなあ?


「あ、てことは、帰りは別々になるね」

「だな。先にご飯食べてていいからな」

「え、ダメだよ。京平が帰ってきたら走るんだから」

「頑張るな。なるべく早めに帰るようにするよ」


 昨日走れてないから、しっかり走らなきゃね。

 ヘモグロビンA1cを意地でも下げてやるんだから!


「と、やっぱり気になるから聞いちゃうんだけど、クリスマス、何か考えてる?」

「イブはなる早で寝て、亜美とデートしたいな。とは言っても、遅くなったら済まんな」

「考えてくれててありがとね」

「当たり前じゃん、付き合って初めてのクリスマスだぞ」

「楽しみにしてる、けど無理はしないでね」

「いつも心配かけてごめんな」


 私としては、考えてくれてただけで凄く嬉しいよ。

 京平に無理がない範囲で、私達らしいクリスマスが過ごせたらいいな。


「五十嵐病院に到着! じゃあ後でな」

「うん、お互い頑張ろうね」

亜美「京平とクリスマスにデート、楽しみだなあ」

京平「付き合って初めてのクリスマスだしな」

信次「クリパの日付も決まったし、日曜は材料買いに行かなきゃ」

のばら「慌ただしいけど楽しいわよね。クリスマス」

亜美「楽しみがたくさんー!」

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