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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
クリスマスの準備
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世界で一番愛しい人(京平目線)

「亜美、起きれるか?」

「んー、おはよ。京平」

「おはよ、亜美」


 亜美は起きてくれたけど、やっぱりまだ疲れてるみたいだな。

 ご飯食べさせたら、また寝かせないとだ。


「食欲はあるか?」

「あるけど、身体が怠くて動けないや」

「じゃ、持ってくるから待ってな」


 精神的なダメージを、俺が与えてしまった。

 亜美は幼い頃、母親に捨てられたトラウマがあるのを知ってたのに、何で気付けなかったんだ。

 そんな意図は無かったにしても、そう取られかねない発言をした俺自身が憎たらしい。

 ダメだ。許せねえや、俺を。

 もう一度俺は、俺自身をぶん殴った。


「亜美、お待たせ」

「ありがと、京平。お、今日はシチューか! って、京平顔が腫れてるよ? また自分を殴ったでしょ?」

「どうしても自分を許せなくて」

「自分を大切にしてよ。そんなの悲しくなるだけだよ」

「俺を気遣う暇があったら、自分を気遣えよ、亜美」


 俺は亜美にとって、自分を傷付けた憎たらしい相手のはずなのに、そんな時だって亜美は亜美だな。優しすぎる。

 罵ってくれたっていいのにな。

 そんな優しい亜美を、俺は……。


「一緒にご飯食べたいな。京平もシチュー持っておいでよ」

「そうしようかな。あ、パンとご飯どっちが良い?」

「ご飯!!」

「だよな。じゃあちょっと待ってて」


 亜美の優しさに救われてばかりだわ、俺。

 俺がやらかしても、いつも許してくれるよな。

 役に立てない自分が嫌で、不機嫌になっちまった自分が情けない。

 そういう意味でも、亜美を守る為にも、強くならなきゃ。

 役に立てない=存在してはいけない、じゃないんだから。


「はい、ご飯」

「よーし、シチューにどぼんしよ」

「シチューかけご飯すきだよな」

「シチューにはご飯でしょ!」

「シチューご飯美味いよな」

「じゃ、食べよ!!」

「「いただきます」」


 亜美、食欲はあるようで良かった。

 勢いよくシチューを掻き込む顔が、また可愛いな。

 そして、美味しい顔になる。それもまた可愛くて。

 おっと、俺も食べよ。


「うん、美味しい! とろけるシチューにご飯が混ざり合って、絶対的なハーモニーが!!」

「流石信次だな。美味い」


 美味い理由は、亜美と食べているからってのもあるかもな。

 いや、亜美と一緒でも、あの糖尿病食は不味すぎたから関係ないか。

 昨日、今日は大丈夫だったろうか。

 明日は回診担当だから、患者様に聞いてみないと。

 でも、亜美と一緒にご飯を食べられるのは嬉しいな。


「おかわり!」

「もう食べたのか? ご飯はどんくらい?」

「大盛り!」

「待ってろよ。すぐ持ってくるな」


 寧ろいつもより食欲あるな、亜美。

 シチューかけご飯好きだもんなあ。

 よっと、大盛りでシチューを掛けてっと。


「お待たせ」

「待ってました! うん、美味しい!!」

「良い顔してんな。食欲湧くよ」

「京平も沢山食べなきゃだめだよ、背高いんだし」

「はは、確かに」


 そう言えば、疲れて来たな。

 今日昼寝てないからか? やっぱり俺は睡眠が必要な体質なんだな。

 疲れを取る為に、俺も亜美と同じ大盛りでおかわりした。

 やれやれ、これじゃあカレーの時と同じだ。

 今日は走れそうにないな。


「ごちそうさまでした! ごめんね、私疲れてるから早めに寝るね」

「それがいいぞ」

「あ、食器は漬けとくだけでいいよ! 洗わないでね!」

「俺が洗うと何故か皿が割れるもんな」

「そうそう。ねえ、子守唄歌って」

「しょうがないな。俺で良ければ」


 亜美の為だけに歌うよ。亜美の為の子守唄だよ。

 優しく、亜美の事だけを想って。

 ゆっくり眠るんだぞ、亜美。


「京平の歌、好きだなあ。ふわあ、おやすみ、京平」

「おやすみ、亜美」


 信次と話したいからまだ起きてるつもりだけど、それまでは亜美と一緒にいようかな。

 亜美を少しでも、癒せますように。

 亜美が幸せな夢を見れますように。

 そんな事を考えながら、亜美の頭をポンポンした。


 ◇


「ただいまー」

「お帰り、信次」


 俺は部屋を出て、信次を出迎える。

 

「兄貴、まだ起きてたの? 早く寝た方がいいよ」

「信次と話したくてさ。朝はごめんな」

「反省してるなら良いよ。その代わり、1か月トイレ掃除と部屋掃除だからね」

「やらせていただきます!」


 掃除で俺のやらかした事が消える訳じゃないけど、気持ちの面ではスッキリするな。

 話す事がまあまああったから、俺達はシャワーを浴びながら話す事にした。

 

「それで、何なの? 話したい事って」

「まだ何時になるか解らんけど、パーティーやるじゃん?」

「ああ、のばらさんに誘われたやつか。家でやるんでしょ?」

「そ。で、俺が料理作ってもいいかな?」


 色々と信次には事後相談になっちゃってるけど、一応聞いとかなきゃな。

 

「ああ、それなら夜だし良いよ。時間次第では僕も手伝うし」

「よし、有難うな」

「てか、料理作りたいなら、夜ご飯は兄貴に任せるよ。僕も夜は勉強したいしね」

「マジか。ありがとな!」

「日曜日からだからね」


 良かった。俺も活躍出来る機会が出来た。

 仕込んだ食材達も、無駄にならないな。


「と、お前、のばらさんには告白すんの?」

「え、とは言っても、僕なんて恋愛対象外でしょ?」

「でも、今回のクリパも、のばらさんから信次を誘おうって言って来たし、好意は少なからずあるんじゃね?」

「そう言われてみれば、確かに。イブ休みだし、ダメ元で誘ってみようかな?」

「お、のばらさんも休みだぞ。夜は家連れて来いよ。パーティーしようぜ」

「その後告白、だね。どんな反応するか、想像つかないや」


 告白すれば、結果はどうあれ、信次の気持ちもスッキリするから、受験には影響は出ないだろう。

 俺としては、そっちを心配していた。

 片思いのモヤモヤ感は、受験に良くないからな。

 信次の性格なら、フラれても引き摺ることも無いだろうし。

 俺に似ず、メンタル強いもんな。


「でも、お風呂も入らず、何してたの?」

「亜美が帰りに気を失って。それもあって、側に居たかったんだ」

「うわ、絶対兄貴のせいだね。トイレ掃除2か月にするね」

「やらせていただきます!」


 話終わった俺達は風呂から出て、寝る支度をしてそれぞれの部屋に入った。

 亜美も気持ちよさそうに寝ている。

 嫌な気持ちにさせてごめんな、些細な事で不機嫌になってごめんな、亜美。

 邪魔なんて思った事ないからな。寧ろ出来る事なら、どんな時も亜美と一緒に居たい。


 後、亜美のアラーム対策で、耳栓つけとこ。

 もし、俺が起きなかったら、起こしてくれよ。


 俺は、眠った亜美を抱きしめて、眠りに着いた。心地良いや。

 おやすみ、世界で1番愛しい亜美。


 そして、亜美の唇に俺の唇を押し当てる。

 亜美にしかしないからな、こんな事。

作者「はにゃあ、なんか変な夢みて疲れた」

亜美「すやすや」

京平「亜美がちゃんと眠れますように」

信次「僕も遂に告白、のまえに、デートしてくれるかな?」

京平「頑張れ、信次」

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