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お前らと生きていきたい。(京平目線)

「んん。よく寝た。久々にすっきりしたな」

　今何時だろう？携帯を見ると、16時。

　俺、何時間寝てんだよ。

　でも身体の疲れも眠気も取れてる。俺、沢山寝なきゃダメなタイプなんだな、やっぱり。

　ふと隣を見ると、亜美も気持ちよさそうに寝ていた。

　おいおい、俺と一緒の睡眠時間なんて、流石に寝過ぎだぞ。頭痛くなるぞ。可哀想だけど起こすか。

「亜美、起きたぞ。亜美も起きよ」

「んん、京平。おはよ」

「おはよ、亜美」

「大丈夫？たくさん眠れた？」

「もう16時だぞ。寝かせてくれてありがとな」

　起こしてくれても良かったのに、相変わらず優しいな。亜美。

「亜美は一旦起きたのか？」

「うん、朝ご飯はもう食べたよ」

「それなら大丈夫か。寝過ぎも頭痛くなるらしいからな。俺はなったことないけど」

「超ロングスリーパーだね、京平。うん、頭痛はないよ」

　それなら良かった。頭もすっきりしたし、沢山勉強みてやるからな。

「あれ、俺なんか着てる？」

「あ、それ半纏(はんてん)って言うらしいよ。信次が海里家で皆で作ったんだって」

「温かいや。信次にお礼言わなきゃ」

　途中からなんか温かくて、幸せな夢をみれたなって思ってたんだけど、これのお陰だな。

　夢の亜美のキス、なんかリアルだったんだよ。

　今日の夜、本物の亜美ともキスしたいな。

「さ、朝ご飯たべよ」

「今日は何かな？」

　俺達はリビングに向かった。

　亜美が俺の朝ご飯を温めてくれている。なんか嬉しそうだな。俺も癒されるよ。

「ほい、お待たせ。信次特製のピザトーストとたまごサラダだよ！」

「お、俺これ好きなんだよ。嬉しいな」

「めちゃ笑顔じゃん。信次すごいな」

「さては亜美、俺が落ち込んでた事、信次に言っただろ？」

「へへ。信次も心配してくれたんだね」

　信次にも心配かけちまった。

　こうして、ご飯で気遣ってくれるなんて、本当大切にされてんな、俺。

「私はお弁当ー、どんなのかなあ」

「信次、昼飯も作ってくれたんだな」

「そ！ありがたすぎる！」

　と、ここまで話していた所で。

「ただいまー」

「あ、お帰り信次」

「お疲れ、信次」

　噂をしてれば、信次が帰ってきた。

「信次、半纏(はんてん)と朝ご飯ありがとな。温かかったし、ご飯も俺の好きなもんばっかで、兄ちゃん嬉しいぞ」

「温かかったなら良かった。それ食べて元気出してね。兄貴は頑張ってるからさ」

「おう！」

　ありがとな、信次。俺、幸せ者だよ。

「「いただきまーす」」

「僕はその間、晩御飯作ろっと」

　うん、やっぱり信次のピザトースト美味いや。

　このソースが良いんだよな。

　ピーマンと玉ねぎとチーズがソースとトーストに絡み合って、マジ好きなんだよ。

　そもそも養護施設育ちだから、ピザの存在自体、信次から教わったようなもんだしな。

「あー、美味っ！！」

「京平、さっきより良い笑顔だね」

「喜んで貰えてよかった」

　たまごサラダも、スクランブルエッグと野菜とドレッシングの組み合わせが好きで、よく作ってもらうんだよ。

　信次、また腕上げたな。前食べた時より美味しい。

「前より美味いんだけど！」

「ドレッシング、もっと良い組み合わせ見つけたんだよね」

「これは元気でるわ、ありがとな」

　家族皆から元気貰ってるな。俺。

　その優しさが、いつだって俺の力になって、俺はまた頑張れるよ。

「ごちそうさま。あ、京平、まだ食べれる？」

「ん？なんかあるのか？」

「今持ってくるね！」

　亜美、俺が寝ている間に何か準備してくれたみたいだ。なんだろな？ちょっとワクワクする。

「じゃーん！レモンパイだよん」

「あれ、亜美、料理禁止令……」

「信次に交渉した！」

「兄貴を元気付けて貰いたかったしね」

　付き合う前から約束してたレモンパイだ。

　これも俺、大好物なんだよ。

「亜美、ありがとな。むちゃテンションあがるわ」

「あ、僕も食べていい？」

「おう、一緒に食おうな」

「じゃあ、切り分けるね」

　亜美がレモンパイを切り分けてくれてる間に、信次のやつ、コーヒー淹れてくれてるよ。

　もうその優しさで、俺はかなり元気になった。

　明日からも、お前らの為に頑張るからな。

　おっと、その前に亜美の勉強見てやらないと。

「はい、京平」

「ありがと、亜美」

「コーヒー淹れたから、持ってくね」

「ありがと、信次」

「はい、信次も」

「ありがと。亜美のレモンパイ好きなんだよね。僕」

「「いただきます」」

　うん。美味い！亜美のレモンパイ、本当好きなんだよなあ。

　ずっと待ってたけど遂にって感じで、より感慨深いな。

「亜美、ありがとな。マジ美味い」

「ね、今日のも美味しいよ、亜美」

「喜んで貰えてよかった」

　亜美が笑ってる。また癒されちまうな、俺。

「亜美、信次、ありがとな。元気付けてくれて」

「当たり前でしょ。京平だもん」

「そうだよ、兄貴だもん」

　その言葉も嬉しくて、俺は亜美と信次を抱きしめた。

　お前らが居るから、俺、笑って生きていけてるよ。

　ずっとずっと、一緒に生きていこうな。

　亜美、信次、愛してるぞ。

　◇

「いってきまーす」

「「いってらっしゃーい」」

　信次はバイトに行った。さーて、今から亜美の勉強を見ようかな？

「さ、亜美、勉強やろっか」

「待ってました！！」

「と、その前に、没収した勉強道具返すな」

　これが無いと勉強できないしな。まあ、亜美の事だから、別の勉強道具買ってそうだけど。

「あ、京平、ノートに細かく赤ペン入れてくれてるね」

「おう、より勉強するんだぞ」

　実は没収した序でに、亜美の勉強ノートを見させて貰って、これも覚えた方が、って箇所に赤ペンを入れといた。

　亜美も頑張ってるからな。応援の意味も込めて。

「じゃあ、この参考書の38ページからやってくね」

「解らない箇所があったら聞けよ。俺もアドバイス入れてくから」

　亜美、勉強なのに嬉しそうだな。

　俺が1人での勉強禁止令を出したから、中々出来なかっただろうし。

　亜美の事だからこっそりやるかな？とも思ってたけど、ちゃんと言いつけを守ってたようだな。

「京平、ここなんだけど、検査法は唾液検査でいいかな？」

「そうだな、鼻腔ぬぐい液と鼻咽頭ぬぐい液って検査法もあるから、それも覚えておくといいぞ」

「最近はあまり居ないもんね。COVID-19」

「2046年の今は大分減ったけど、27年前はかなり流行ったからな」

　通称コロナは、昔はかなり流行っていたからな。

　俺はコロナ禍を幼いながらに経験しているけど、亜美は経験がないもんな。

　今も患者様はいらっしゃるから、しっかり覚えるんだぞ、亜美。

「今は安全な予防接種も出来て良かったね」

「毎年打ってるもんな。昔のは熱も出て大変だったんだぞ」

「京平も熱出たの？」

「や、俺は何故か出なかったんだよなあ」

「COVID-19に強かったんだね」

「無症状なだけで罹ってたかもだけどな」

　亜美には毎年予防接種受けさせているから、大丈夫だといいな。

　亜美は糖尿病だし、悪化しやすいから心配だ。

「で、次はこれなんだけど」

「どれどれ」

◇

「ふー、久々に勉強できたあ」

「参考書半分までいったしな。頑張ったな」

「ちょっと休憩したら、走りにいこうね」

「お、やる気あるじゃん」

「絶対ヘモグロビンA1c下げたいもん！」

　亜美は本当に頑張り屋さんだな。

　こりゃ、俺も負けてらんないわ。

　でも、亜美、無理はすんなよ。

信次「兄貴、笑ってくれて良かった」

亜美「お互い、作った甲斐があったね」

京平「いつもありがとな」

亜美「これからも笑わせるからね」