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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
京平の決意
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眠り続ける内科医

「んー、よく寝た。今6時か。信次起きてるかな?」


 京平を抱きしめて寝たのもあって、私はすぐに眠れたし、早起きも苦じゃなくなってきた。

 早めに起きたのは、信次にちょっと交渉したいことがあったから。


 リビングに向かうと、信次はもう起きていて、朝ごはんを作ってくれてる。

 洗濯機もウゴウゴ音を鳴らしてた。


「おはよ、信次」

「あれ、亜美早いね。おはよ」

「家事やろうと思ったんだけど、もう大分進んでるね」


 交渉の成功率を上げる為にも手伝いたかったんだけど、現時点では何もなさそうだ。

 もー、信次のしっかり者め!


「今日は早く起きれたからね。亜美は寝といでよ。疲れてるだろうし」

「いや、ちょっと信次に交渉したくて」

「ん? 交渉って何?」

「レモンパイ、作ってもいい?」


 私の料理禁止令は今日まで。だけど、今日レモンパイ作りたいの。

 昨日、京平、落ち込んでたから。


「本当は明日からなんだけど、亜美元気そうだし良いよ。兄貴を元気付けてあげてね」

「ありがと、信次。じゃあ、私洗濯物干すね」

「寝てていいのに、ありがとね」


 ちょうど洗濯機が、終わりだよって鳴いたしね。

 あ、京平が昨日着てた割烹着もあるや。割烹着姿の京平も、あれはあれでドキドキしたな。

 京平お母さんって言ったら、ちょっと拗ねてたけど。

 私は洗濯物を纏めて、洗濯物を干しにいく。


 京平の割烹着、私の服、京平の服、信次の服、っと。

 なんとなく、京平の服と私の服を、隣同士にしたくなっちゃう。

 京平の靴下、私の靴下、京平のパンツ、私のパンツ、私のブラジャー、信次の靴下、信次のパンツ。

 ふ、下着まで隣同士にしちゃった!

 我ながら変態な発想だなあ。

 友くんのこと、変態って言えないな、これじゃあ。


「よーし、干せたよ!」

「ありがとね。もう少し寝とく?」

「そうだね、もうちょっと寝てから朝ご飯食べる。ありがとね」

「じゃあ、冷蔵庫に入れとくね。おやすみ、亜美」

「おやすみ、信次」


 折角の休みだし、沢山寝とかなきゃね。

 アラームは10時くらいにセットしとこ。

 京平が起きなきゃいいけども。

 たっぷり寝かせてあげたいもん。


 今は幸せそうな顔して寝てるや。可愛いな。

 私は京平をポンポンして、布団に潜り込む。

 潜り込んだ刹那、京平が抱きしめて来た。


「亜美、側にいろよ。ぐおー」


 もう、甘えん坊さんなんだから。可愛すぎるぞ。

 私も京平を抱きしめて、眠りについた。

 おやすみ、京平。たっぷり寝るんだよ。


「よし、朝ご飯完成。弁当は僕の分だけだし、購買にしようかな。いや、亜美達の分も作るか。すぐ食べれるもんね」


 ◇


「んんー、大分疲れも取れたな」


 10時。風邪引いた後でいつもより体力を使った感覚があったけど、眠れたお陰で回復出来た。

 京平はアラームが鳴っても、まだ眠り続けてる。

 精神的にも体力的にも、疲れてたんだろうな。

 たっぷり寝るんだよ、京平。


 それにしても、綺麗な寝顔だなあ。

 見ているだけでうっとりしちゃうよ。


 よーし、朝ご飯たーべよ!

 私は部屋を出て、冷蔵庫を覗くと、朝ご飯の他にお弁当もあるみたい。

 信次、お昼ご飯まで作ってくれたんだね。

 本当に我が弟ながら、優秀が過ぎるよ。


 今日の朝ご飯は、ピザトーストとたまごサラダ。京平の大好物じゃん。

 信次も、京平の事を気遣ってくれてるね。

 

「いただきます!」


 んー。チーズのとろける感じと野菜との相性が本当に最高だなあ。

 ピザソースも朝から手作りしてくれたんだな。一味も二味も違うよ。美味しい!

 たまごサラダも、信次特製のドレッシングがまたいい味出してて、たまごとの相性も抜群!

 これなら京平もめちゃめちゃ喜びそうだね。

 

 うー、レモンパイ、ますます失敗出来ないぞ。

 私も美味しいの作るから、待っててね。京平。


「ごちそうさまでした」

 

 私は歯磨きをした後、手を洗って、エプロンと三角巾を身に纏った。

 今からレモンパイを作るのだ!

 よし、まずは冷蔵庫から材料を取り出そう。

 材料は「亜美は買い過ぎるから!」って理由で、信次が土曜日に買って来てくれたのがある。

 本当は日曜日に作る予定だったのに! 風邪め。


 えっと、オーブンを180℃に予熱しながら冷凍パイシートを解凍して、型に伸ばして敷いて、フォークで穴を開けてっと。

 次にアルミホイルを被せて重石……グラタン皿でも乗せとくか。小さいし。

 オーブンの予熱も終わったね。じゃあパイシートを15分焼いて。

 その間に、卵を溶きほぐして、こしておこう。

 

 よし、卵はオッケ!

 パイシートが焼けるまでの間、暇だなあ。

 京平の写真でも見とくか。相変わらずイケメンだなあ。

 一緒に写ってる私は、大体あほ面だなあ。悲しいね!

 信次も大きくなったよなあ。もう私より背高いし。

 お父さん、今はどんな姿なんだろう。会いたいなあ。


 って、しまった! 無茶苦茶脱線した!

 手を洗って、と。パイシートの焼け具合はどうかな?

 良かった、まだ大丈夫だね。後数分って所だね。


 よしよし、パイシートも無事焼けたから、キッチンに置いて冷ましておこう。

 おっと、グラタン皿は外さなきゃ。

 次はレモンパイに必要なレモンカードを作らなきゃ。

 さっきの卵と材料をお鍋に入れ、弱めの中火で煮詰めて。トロッとするまでだね。

 いい感じにトロッとしてきたね。粗熱が取れたら、型に入れたパイシートに注いで。

 これを冷蔵庫に冷やしとこ。


 と、卵白を泡立てなきゃ。

 泡立て器、久々に使うなあ。私、メレンゲ作るの好きなんだよね。

 あ、蓮みたいなツノが立って来た。

 蓮を、じゃなかった。メレンゲを絞り袋にいれて、冷蔵庫に冷やしたパイシートをとりだして、可愛くメレンゲを絞って。


 最後に200℃のオーブンで、5分焼いて完成!

 

「よおし。出来たぞお。美味しそうに焼き上がったね」


 京平はまだ寝てるみたいだね。

 多分今日も15時くらいまで寝てるだろうな。

 いつも以上に疲れてたから、なんならもっとかな?

 レモンパイは冷蔵庫に冷やしておこう。


 ふー、久々のお菓子作りだからかな? ちょっと疲れたなあ。

 京平が起きるまで勉強も出来ないし、私も軽く寝ようかな。

 風邪明けで無理も良くないしね。

 私は布団に潜り込んで、ちょっとニヤける。


 起きたら楽しみにしとけよ、京平!

亜美「京平がぐっすり眠れてるようで良かった」

作者「半纏(はんてん)効果もあったかもね。昨日買ったんだけど、まじ温かい。はにゃあ」

信次「兄貴が眠れる要素になれたら、作って良かった。ピザトーストも喜んでくれるといいな」

亜美「私のレモンパイも美味しいって言われたいな」

作者「京平、愛されてんなあ」

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