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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
違和感のある京平
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大切にするからね。

新年あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。

 ん、誰かが私の病室に入って来たみたい。

 でも、まだ眠いなあ。もう少し寝ていたいな。

 あ、氷枕変えてくれてる。この手の感触は。


「おはよ、京平」

「おはよ、亜美。起こしてすまんな」

「ううん、京平に会いたかったから起きれて良かった」


 これは本当。朝も起きれていれば、ってかなり後悔していたもん。

 しかも起きたら京平どころか、誰も居なくて、凄く寂しかったんだ。

 

「熱測っとこうか。はい、体温計」

「下がってて欲しい!」


 風邪さえ治れば退院出来るし、まずは熱を下げなきゃ。

 入院生活は寂しいし、京平を抱きしめられないし、もう限界寸前だもん。


「ふふん、亜美ちゃんやりましたぞ」

「どれどれ、36.6か。亜美の平熱は36.2くらいだからまだ熱はあるな」

「えー、京平細か過ぎる!」

「でも、この調子なら明日退院だな。血糖値も安定してるし」

「良かった……明日の夜は美味しいご飯食べれる」


 病院のご飯、本当に美味しくないんだもん。

 いつもは京平のお弁当や信次のご飯を食べて幸せを感じているのに、それがなくて幸せも無くなった感じがして。


「頑張ったな、亜美」

「京平も、いつも氷枕変えてくれてありがとね。言うのいつも忘れちゃうんだよね」

「そっか、言わないと変えてくれないのか。風邪引いてる患者様には酷なルールだな。改善して貰わないと」


 京平はこんな細かい所にも目を配っていて凄いなあ。

 私は、氷枕に関しては"氷枕変えますか?"って聞くようにしてるんだけど、風邪引いてる時は返答さえも億劫だよね。

 そりゃ熱あるんだから変えて欲しいよね。

 でも、色んな患者様がいるからなあ。氷枕要らないって言われた事もあるし。


「信次も今日はバイトだし、家帰っても1人だからしばらくここにいるよ」

「ありがと、京平。すっごく嬉しい」


 うう、ありがと京平。仕事が終わってゆっくりしたいだろうに、私に寄り添ってくれて。

 京平が傍に居ると、とても心強いよ。

 と、ちょっとした疑問があったので聞いてみる。


「そう言えば私、どうして個室なの?」

「俺が亜美に会いたかったから。変な噂になっても嫌だろ?」

「そんな理由だったんかい!」

「バカ、とっても大事だぞ!」


 なんだあ、私に会いたかったのか。

 可愛い所あるじゃん、京平ってば。

 

「今日の夜は、日比野くんと落合くんが亜美の担当みたいだな」

「友達だから気は楽でありがたや」


 京平はまたムッとしそうだけど、私にとっては友達だからね。

 寂しい思いはしなくて済みそうだ。


「亜美が居ない家は、寂しいよ」

「私も京平が居ない時は、寂しくて泣いたもん」

「それで泣いたのか。本当にごめんな」


 やっぱり泣いた事はバレてたか。

 でも、京平、その言葉は要らないよ。


「謝らないで。私からキスをした時には、風邪は決定事項だったんだし。それに私、京平の側に居たかったから側に居たんだよ」

「いつもありがとな、亜美」


 本当に優しい目をしてる。その目に、何度も助けられてるよ。

 ああ、もうダメだ。でも、誰も居ないからいいよね?

 私は京平を抱きしめた。


「亜美、ここ病室……」

「私からならいいでしょ? 患者様だもん」

「流石の俺も、そこまでされたら耐えきれないぞ」


 そう言って、京平も抱きしめ返してくれた。

 幸せだな、私。京平に包まれている時、1番感じているよ。


 そんな時、ガチャっと病室が開いた。


「あ、すみません。お邪魔でしたね。失礼いたします」

「ちょ、友くん待って!」

「あれ、お邪魔じゃないですか?」

「すまん、自制心が無さすぎた」


 あー、やっちまった。これは恥ずかしいや。

 しかも京平も巻き込んじゃったよ。


「京平、ごめんね」

「や、俺も自制効いて無かったから」


 もー、友くんも友くんだよ。

 ニマニマしながら見ないでよ!!


「さ、血糖値測りますよ。とは言っても、亜美さん自分で出来ますよね」

「うん。測定器も京平が持って来てくれたから、ちょっと待ってね」


 よいしょっと。確かこの棚に入ってるって言ってたよな。

 う、地味に高いなあ。苦しい。


「ほら、亜美」

「ありがと、京平」


 京平がひょいっと測定器を取ってくれた。

 地味に高い所が届かない我が身長が憎い。

 のばらみたいに、170センチは欲しかったなあ。


「亜美くらいの身長がちょうどいいぞ。こう言う時は素直に甘えなさい」

「もー、また見抜いてくるんだから」

「そうですよ。亜美さんは亜美さんだから可愛いんですよ」

「2人して内心バカにしてる気がする。血糖値は168ね」


 あ、ちょっと言いすぎたかな。2人は2人なりに慰めてくれたのかもなのに。

 

「そういう意図は無かったけど、すまんな」

「褒めたつもりだったんです。ごめんなさい」

「ごめんね。ネガティブに捉え過ぎちゃった」


 やっぱり2人とも、そんな意図は無かったんだ。申し訳ない事しちゃった。

 どうしよう、お前が泣くなよなんだけど。泣きそう。ごめんね、2人とも。


「ごめんね。うわああああああん」

「バカ亜美、お前が泣くんじゃないよ。俺も日比野くんも気にしてないから」

「そうですよ。僕は亜美さん可愛い! 抱きしめたい! としか考えてなかったです!」

「日比野くんはちょっと黙ろうか」


 京平が頭をポンポンしてくれた。

 うん、ちょっと落ち着いてきたよ。

 友くんが何か言ってたけど、聞こえなかったなあ。申し訳ない。


「友くん、今なんて?」

「あー、亜美。それは聞き直さなくていいぞ。変態発言だったから」

「酷いなあ、僕の本音ですよ! あ、ご飯の時間もすぐなので、インスリン打ちますね」

「ありがとね、友くん」


 もうすぐご飯の時間かあ。

 そう言えば京平、夜ご飯食べてないよね。

 寂しいけれど、そろそろ帰って貰った方がいいかな。


「京平、ご飯食べてないでしょ? そろそろ帰った方がいいんじゃ?」

「亜美の側にもう少し居させて」

「大丈夫? 無理しないでね」


 心配だなあ。私や信次の事になると、京平無理しちゃうからなあ。

 しかも、私の寂しいも読み取って、私が寝るまで側にいてくれたり。

 よし、ご飯食べたら寝よう。それしかない。


「じゃあ、亜美さんのご飯持って来ますね」

「ありがと、友くん」


 でも、不味いご飯なんだよね。

 何とかここまで耐えて来たけど、次も食べ切れるかなあ。


「次の入院までには、ご飯改善するよ。早速院長から改善命令が正式に来たしな」

「京平医者なのに、そこまでやるの?」

「一応俺、糖尿病療養指導士の本は暗記してるしな。亜美は看護師だし、機会があれば受けてもいいかもな」

「存在も内容も知ってるけど、京平が指導しなきゃだよ。あれ。しかも療養指導を1000時間とかも」

「療養指導やるか? 亜美。ぶっ通しで」


 ひー、笑えない。皆流石にちょっとずつやってるってば!

 因みに京平は、日本糖尿病学会専門医の資格を持っていて、何回も更新もしている。

 その資格を持った人が、糖尿病療養指導士の受験対象者を指導している事が受験条件にあるのだが、そんな資格、この病院では京平しか持ってないのだ。


「指導してる看護師さん何人かいるけどな。例えばのばらさんとか」

「え、のばら受けるつもりあったんだ。凄い」

「もう大分覚えて来てるから、病院の療養指導に入って貰おうと思ってるしな」


 うー。うかうかしてらんない! 負けてらんない!

 ますます入院なんかしてる自分が嫌になってきた。


「燃えて来たじゃん。その気があったらいつでも教えてな」

「退院したら、やる!」

「よし、バッチリ指導するからな」

「僕も指導してください。興味はありますし」

「あ、友くん。ご飯ありがとね」


 友くんがご飯を持ってやってきた。


「うー、不味いんだろうなあ」

「近い内に美味しくするから、逆に貴重かもだぞ」

「美味しい時に食べたかったよ」


 おずおずと箸を進めたんだけど、やっぱり不味い。悲しくなる。

 

「亜美、院長からふりかけなら良いって言われたけど、要るか?」

「いる!!!!」

「売店で買っといて良かった。はいよ」


 ふりかけをかける! 食べる! ふりかけ美味しい!!!

 ふりかけ1つで幸せになれるんだね。素敵。


「うう。ふりかけ美味しいよお」

「笑ってくれて良かった。後、お味噌汁に一味を入れても美味しいぞ」

「あ、確かに美味しそう!」

「ほい、一味」


 京平ってば、不味いご飯対策を色々考えてくれたんだね。

 でも、京平の白衣って色々入るんだなあ。相変わらず。


「んー。普通のお味噌汁も美味しくなった!」

「我が家だと元が美味いから、あまり使わないからな。一味」

「ありがとね、京平」


 こんなちょっとした気遣いが嬉しいな。

 本当に私は幸せ者だね。


「ごちそうさまでした」

「偉いですよ亜美さん、また完食出来ましたね」

「ふりかけと一味、ここに置いとくから、明日も使えよ」

「お、ありがと。京平」


 やったね。これで明日の朝も乗り切れるよ。

 さて、京平の為にも、今からもう寝るか。

 薬を飲んでっと。


「ごくごく、まだ少し眠いから、早めに寝ようかな」

「あ、亜美。何が、とは言わないけど、19時半までは起きてた方が良いぞ」

「え、なんかあるの?」

「そこは楽しみにして欲しいから言えないけど」


 なんなの? 京平の意地悪! 教えてくれてもいいじゃん。

 そう言われると、起きてたくなるよね。

 でも、そうしたら京平がああああ。


「俺、信次と一緒に帰るつもりだったから、気にすんなよ」

「じゃあ、ご飯買っといでよ!」

「やー、信次が晩御飯作ってくれてたら、申し訳ないかなあって」

「一旦ご飯食べてから、また来ればいいんじゃないでしょうか?」


 あ、確かに。それなら私も安心出来るかも。

 ナイス友くん!!


「深川先生が戻るまで、僕が話し相手になりますね」

「日比野くんは巡回しなさい。じゃあ、飯だけ食べに家帰るか」

「じゃあ亜美さん、抱きしめてもいいですか?」

「だから黙ろうな、日比野くん」


 京平は友くんの襟をぐいっと引っ張って、2人で病室を後にした。

 友くん、中々な変態発言してたな。

 好きだって伝えたから、もう隠すつもりないんだろうな。


 ふー、一気に寂しくなったなあ。

 のばらにライムでもしようかな。

 『やっと熱下がってきたよー』って、送った。

 寂しいは内緒にしなきゃね。


 と、思っていたら。


「亜美、寂しかったんでしょ。素直にそう言いなさいよ。おバカ」

「のばら?! まだ勤務中なのに来てくれたの?」

「亜美のライム読んで、落合先生に事付けして、すっ飛んで来ましたわ!」

「何で、寂しいって解ったの?」

「亜美は寂しい時くらいしか、ライム送りませんもん!」


 のばらはギュッと抱きしめてくれた。

 寂しい時に駆けつけてくれてありがとね、のばら。

 本当に私、周りに恵まれてるなあ。


「亜美の顔みたら、安心しましたわ。もう早退しますわ。耐えきれませんわ」

「ちょ。嬉しいけどいいの?!」

「落合先生だけで頑張れですわ」


 流石はのばらクオリティ。蓮、頑張れよ。

 のばらは、サラッと携帯で早退を伝えていた。

 もしかしてなんだけど……。


「京平から19時半までは起きとけよって言われたけど、もしかしてのばら、元々お見舞いに来てくれるつもりだったの?」

「当たり前ですわ! 心配してましたの」


 またのばらがムギューとしてくれた。

 のばらのお陰で、寂しさも吹き飛んでったよ。


「深川先生はいらっしゃらないのね」

「うん、一旦ご飯食べてから戻るって」

「準備が悪いのですわ。あ、亜美。パン食べても良いかしら?」

「のばら、夜ご飯持って来たんだね。どうぞ」

 

 のばらは、長居する気満々だったのね。

 優しいな、のばら。


「あれ、のばらさんもう来てたの?」

「あら、準備不足の深川先生。早退しましたわ」

「亜美の為にありがとな」

「当然ですわ!」


 京平早! どんだけ早くご飯食べたんだろ?

 と、びっくりしていると。


「亜美、体調大丈夫? 休憩時間早めてお見舞いに来たよ」

「信次、来てくれたの? ありがとね」


 信次も来てくれた。もー、皆優し過ぎるよ。

 私、泣いちゃうよ。嬉しすぎて。


「みんなありがとね。うわあああん」

「亜美、また泣いてるんじゃないよ」

「兄貴、亜美を抱きしめてあげて」

「そうよ、それが1番ですわ」

「しょうがないなあ」


 皆、本当にありがとね。

 皆に大切にして貰えて、私幸せだよ。

 いつもいつも、大切にするからね。

亜美「新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくね」

京平「新年早々、亜美が入院してるけど、もうすぐ退院するので!」

作者「新年だから、あみたんが寂しくないようにしたよ」

亜美「お見舞いがこんないっぱい嬉しいよお。うわああん」

京平「おー、よしよし、落ち着いて」


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