表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
違和感のある京平
53/240

京平らしくない。

 私がそんな事を考えてると、蓮が私達の近くまでやって来た。


「よ、亜美。と、深川先生」

「あ、蓮。おつかれ」

「落合くん、お疲れ様」


 蓮は私の隣に座ると、なんかニマニマし出した。

 お弁当、頑張って作ったし、楽しんで貰えたらいいな。


「あ、はい、お弁当ね。お弁当箱大きいね」

「お、サンキュ。こんくらい食べんと腹減るからな」

「へぇ、確かに大きいな」

「早速食べよっと。いただきます!」


 蓮は一目散にお弁当箱を開け始めた。


「「いただきます」」


 私達も、いつも通りのいただきますから、お弁当を食べ始めた。

 京平が作ってくれたのは、オムライスとミートボールとポテトとにんじんしりしり。

 オムライスとミートボールのハートが嬉しいなあ。愛されてるなあ。


「あ、オムライスだ! テンションあがる」

「亜美のもすごいなあ、何から食べるか迷うな」

「亜美の弁当美味いぜ。もしゃもしゃ」


 私が作ったのは、ピーマンの肉詰めとうずらの卵を色付けしたのとだし巻き卵とタコさんウインナーと唐揚げとブロッコリーのおかか和え。

 京平のはハートウインナーを加えたのと、ピーマンの肉詰めにハートを描いた。


「お、今日のも美味しい。ありがとな、亜美」

「どういたしまして。京平のお弁当も美味しい!」

「ハートもいっぱいだしな。にひひ」


 蓮が京平のお弁当を横目から眺めて来たけど、あれ? 見た瞬間、なんか拗ねてる?

 ソーセージの数は寧ろ蓮のが多いくらいなのに、なんでだろ?


「蓮、なんか拗ねてない? お弁当不味かった?」

「す、拗ねてねーよ。あと、弁当はまじ美味かった」

「それなら良かった」


 やっぱりいつもの京平らしくない。こういうやり取りしただけで、いつもならムスっとするのに。

 普通にお弁当食べてるもんなあ。

 京平がそこら辺大人に……なる訳ないし。


「本当ありがとな、元気貰えたわ。亜美、料理上手だったんだ」

「京平や信次ほどじゃないけど、ちゃんと出来てたでしょ?」

「うん、流石亜美。良い子良い子」


 蓮が、私の頭をポンポンする。

 京平と付き合ってるから、こういうの出来れば控えて貰いたいんだけど、そういう意図はないだろうし言いづらい。

 と、思ったら、京平が口を開いた。


「落合くん、亜美に触れるの止めてくんない?」

「深い意味はないんで、良くないすか? 友達なんだし」

「俺が嫌なの」


 あ、京平キレてるわ。これ。

 ネガティブが増長してるのを自覚してるから、無理矢理冷静になっていたけど、耐えきれなくなったやつだな。

 いつもならムスっとして、私を抱きしめて誤魔化すのに。


「京平、落ち着いて。それに蓮も、過度なスキンシップは控えてね。私だって京平に蓮の事誤解されたくないし」

「解ったよ。すんません、深川先生。ちょっとタバコ吸ってくるわ」


 蓮はちょっと不機嫌そうに、休憩室を後にした。

 あれ、私、普通の事言ったよね? なんか地雷踏んじゃったかな?


「あー、やっぱ俺らしくねえ。冷静になれ、俺」

「無理に冷静になる必要はないけど、もしかして本当は最初から嫉妬してたの?」

「当たり前じゃん」

「私は京平の物だよ。よしよし」


 抱きしめる勇気も今はないのかな。

 だったら、私が抱きしめるから安心してね。

 愛してるよ。京平。


「ありがとな、亜美」

「当たり前だからお礼は要らないよ」


 やばい、抱きしめてたらキスしたくなって来た。

 でも、ここは休憩室。我慢我慢。

 我慢出来なくなったのは、私だけじゃなかったようで。


「亜美、中庭行こうか。あそこなら人居ないし」

「うん。いいよ」

「寒いからコート着てこいよ」


 私達はコートを着込んで、中庭に移動した。

 天気も良くて、なんか気持ち良いなあ。

 

「ちょっと寒いけど、太陽出てるとこは暖かいね」

「風も収まってるし、良かったな」

「さ、京平、おいで」


 私は座って、京平を太陽の出ている草むらに誘う。

 少しでも暖かいところのが良いもんね。


「良い所見つけたな、亜美。よいしょっと」

「うお、京平ってば」


 京平は私の膝に、ごろんと寝そべる。

 心に余裕がないから、甘えたかったのかな?

 いいよ。京平なら。沢山甘えてね。


「へへ。ずっと亜美にこうして貰いたかったんだ」

「甘えんぼだね。可愛いね」

「めっちゃ気持ち良いや。ねぇ亜美、キ……」


 京平が言い終わる前に、私はキスをした。

 単純に私が我慢しきれなかったんだけどね。

 京平の唇と、私の唇が重なり合って、溶け合っていく。

 舌と舌を絡め合って、私達はより繋がった。


「亜美もキス、上手になったな」

「京平の真似しただけだよ」

「じゃあ、そろそろ寝ようかな。おやすみ、亜美」

「おやすみ、京平」


 京平は疲れていたのか、すぐに寝息を立てて眠り始めた。

 そして、京平にしては珍しく、いびきもかいている。

 元気、って言ってた割に、寝不足だったのかな?

 なんにせよ疲れていたのなら、寝かせる事が出来て良かった。

 私は膝掛けを京平に掛けて、京平の頭をポンポンしながら陽だまりの中で過ごす。穏やかな気持ちになりながら。


 これからは中庭でお昼ってのもいいかもな?

 と、ちょっと過ぎったけど、友達とも話したいしなあ。

 のばらと友くんと蓮と朱音。

 皆、京平と仲良くしてくれたらいいのにな。

 ずっと友達が居なかった私にとって、友達も大切にしたい。傷付けたくないから。

 

 でも私、ちょっと蓮にキツいこと言っちゃったかも。

 過度なスキンシップだったとはいえ、悪気は無かっただろうに。

 巡回中会えたら直接、会えなかったらライムで謝らなきゃ。


 ふわあ。私もちょっとだけ眠たくなってきた。

 少しだけ寝ようかな。アラーム掛けて、と。おやすみ、京平。

京平「落合くんを叱ってしまった。俺らしくないな」

亜美「気になってなら仕方ないよ。でも、私も言い過ぎちゃったな」

作者「寝言で会話しとるよ、こいつら」

蓮「あー、ヤニ吹かさないとやってらんねえ」

作者「亜美たんは鈍いからな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ