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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
悪化する病状
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幸せを絵にしたら

「は、私寝てた?!」


 しまった。京平と信次に内緒で勉強してたら寝ちゃってた。

 良かった、まだ24時。今から寝直せば大丈夫だね。


 今日は早く帰れたから勉強用具を買い直して、蜂蜜レモンを作ったりしてた。

 やっぱり京平の為に、何かしてあげたいもんね。

 蜂蜜レモンは信次より美味しく出来るもん。


「京平も休憩時間かな。眠れてるといいけど」


 明日、私は早番。今から寝れば、京平が帰ってくる頃に起きれるよね。

 京平、明日は中番だから休憩時間合わないし、やっぱりちょっとでも会いたい。

 お疲れ様って言ったりしたいもん。でも。


「1人の布団って、こんなに寂しいんだなあ」


 今まで慣れっこだったのに、本当私甘えんぼになってる。

 京平がいつも足りない。もっともっと欲しくなる。

 もう、ダメだぞ亜美。強く生きていかなきゃ。

 寂しいけど、ちゃんと寝て、京平にお帰りって言うんだから。


 おやすみ、京平。


 ◇


ーー想像を創造で越えろー♫


「よし、起きれた! 亜美頑張ったよ!」


 私が知ってる1番煩い名曲を、目覚めの一曲にして本当に良かった。

 よしよし、今は5時。お風呂の準備もしといてあげよう。


 と、思ったんだけど。


「あれ?! 信次もう起きてるの? おはよ」

「おはよ、亜美。って、ええええ、亜美が、亜美が起きてる?! 眠れなかったの?」

「普通に寝て起きたよ!」

「マジか。今日は雪降るかもね」

「おい!」


 どうやら信次は、京平がかなり疲れてる様子だったからお風呂だけでも作ろうって起きたみたい。


「お風呂は無事出来たからね」

「じゃ、早起きしたし、私が朝食作ろっかな?」

「亜美の朝食久々だね。じゃあ任せちゃおっかな?」

「任せたまえ!」


 よーし、腕が鳴っちゃうね。とびきり美味しい朝ご飯作るぞ!


「じゃあ僕は洗濯機回しといて、もうちょい寝よ。おやすみー」

「おやすみ、信次」


 そんなやり取りをしている内に、聞きたかった声が聞こえてきた。


「ただいまー」

「あ、京平、お疲れさま」


 私が京平に声を掛けると、京平はかなりびっくりした顔をしていた。

 普段起きない私がこの時間に起きてるんだもんなあ。


「ただいま。おはよ、亜美。大丈夫か? 眠れたのか?」

「おかえり。ちゃんと寝たから安心して」

「こんな早くに起きて、どうしたんだ?」

「べ、別に。ちょっとでも京平に会いたくて」

「全く亜美は……可愛すぎるぞ」


 京平は、私をギュッと抱きしめた。ちょ、今、料理中だってばあ。

 でも嬉しいから、やっぱり抱きしめ返しちゃう。


「晩御飯あっためるから、まずはお風呂入っといで」

「お、ありがとな」


 私は京平分の晩御飯をレンジにかけた。後は蜂蜜レモンもあるから、お湯も沸かしておこう。

 

 朝ご飯、何にしようかなあ。冷蔵庫見てみよ。


 んーそうだなあ、この材料ならサラダと目玉焼きとお味噌汁にしよっかな。

 因みに皆は目玉焼きに何掛ける?

 私は醤油一択なんだけど、京平はマヨネーズ掛けるんだよ。変わってるよね。


 朝ご飯を作り終えた頃、京平がお風呂から上がってきた。


「ふー、のぼせてなくて良かった」

「そう何度ものぼせねーよ」

「さ、晩御飯食べちゃって」

「ありがとな、亜美。今日眠すぎて弁当も食えなかったからな」

「で、今からお弁当も食べると」

「おう。あー、腹減った」


 京平はそう言うと、美味しそうに晩御飯とお弁当を食べ始めた。

 そりゃ、京平にとっての昼ご飯食べてなかったら、お腹すいちゃうよね。

 私もちょっと早いけど、朝ご飯食べよっと。


「「いただきます」」

「今日は亜美が朝ご飯作ったのか」

「うん、折角早起きしたしね」

「それは楽しみだな」


 京平が優しく微笑む。もう朝からドキドキしちゃう。


「あ、蜂蜜レモン、亜美が作ったんだな」

「解った? 昨日は私のが帰り早かったからね」

「亜美のが美味しいもんな。ありがと」


 京平は違いが解る男だから良いねえ。作った甲斐があったよ。

 亜美ちゃん特製の蜂蜜レモンは、一味違うのだよ。


「ごちそうさまでした」

「京平、食べるの早っ」

「今からやる事があるからな」

「ん?」


 京平はお風呂も行ったし、ご飯も食べたのに、やる事とは?

 なんなら、寝るだけなんじゃあ?


「早起きしたから教えてあげる。実は俺が弁当作ってるんだ」

「え、マジで?!」

「気付いてなかったのか。信次の味と違っただろ?」


 ダメだ私、違いの解らない女過ぎる。

 確かに信次のいつもの味とは違うなあ、と思いながらも私好みの味だったから、信次が成長したものだとばっかり。


「私を愛してる京平が作ったから、私好みの味だったのか」

「ご名答。さ、中身は秘密だから歯磨きしてくるんだ」

「えー、京平の作ってるとこ見たいのに?」

「うん、秘密。楽しみにしてな」


 中身は頑なに秘密にされてしまった。

 どうせなら、一緒に作ったりとかもしたかったんだけどなあ。

 もー、本当に意地悪なんだから。

 でも、今更になるけど、いつもありがとね。京平。


 でも、あのうさちゃん剥いたの京平かあ。

 なんか、ちょっと可愛くて笑えるね。


 私は速攻出かける準備をして、キッチンに行こうとしたけれど、やっぱり京平に止められてしまった。

 そして、私の口に……。


「はひふふほ?!」

「タコさんあげるから、キッチンには入るなよ」


 もぐもぐ。タコさんウインナー美味しい。

 じゃなくて、上手く交わされたなあ。

 こうなると、どんなお弁当か凄く気になるじゃん。

 普段、ただただ楽しみなだけだったのに。

 恐るべし、京平マジック。


ーーピー。


 と、お弁当を気にしまくってると、洗濯機が終わりの合図を告げた。

 それと同時に。


「兄貴、亜美、おはよー」

「お、信次おはよ。さっき洗濯機終わったとこだからちょうどいい目覚めだな」

「まあね。兄貴、亜美に遂に話したんだね」

「だって亜美起きてるし、隠しようがないだろ?」

「そりゃそっか」


 む、信次は京平がお弁当作ってた事、知ってたみたい。

 そりゃ朝ご飯は普段信次が作ってるのだし、知らないはずはないのだけど。

 全ては私が朝に弱過ぎる事がいけないのだけど、この仲間外れにされてた感が切ない。

 

「ぶー」

「何鳴いてるんだ? 亜美」

「仲間外れ感が切ないだけ」


 そう言うと、2人揃って……。


「「起きない亜美が悪い」」

「うー、確かにそうなんだけどさ」

「これからはちゃんと早起きするんだな」


 京平の言う通りだなあ。

 早起き出来ないが為に、2人にばっか朝の家事やらせちゃってる。

 

「本当今更過ぎるけど、毎朝家事やらせてごめんね。2人とも」

「変な言い方してごめんな。それに、俺達がやりたくてやってるから気にすんな」

「亜美は起きてくれるだけでいいよ。起こすのが1番めんどくさいし」


 京平に会いたいという個人的願望で早起きしたけど、これからはそんな理由じゃなくて、普通に起きなきゃだなあ。

 改めて、私この家で、ほとんど何も出来てないや。


「亜美、そんなに落ち込まないで。亜美はお礼言ってくれてるし、美味しそうに食べてくれるから、僕は救われてるんだよ」

「うん、俺もだな。亜美の食べてる顔みたくて、作ってるまであるし」

「寧ろありがとね、亜美」

「俺も、ありがとな」


 本当に私の家族優し過ぎるよ。

 何も出来てない私を責めるどころか、お礼を言ってくれるだなんて。

 ダメだ、これは泣いちゃう。


「うわああああん。2人ともありがとおおお」


 私は2人を抱きしめた。いつもいつも、本当にありがとね。

 お陰でいつも幸せを貰ってるよ。いつも楽しいよ。

 いつも頑張れてるよ。


「亜美は寧ろ無理すんなよ」


 京平も、私を抱きしめてくれた。


「早起きもたまにでいいからね。身体のが大事だし」


 信次も、ちょい照れながら抱きしめてくれた。


「これからは頑張るもん!」


 幸せを絵に描いたら、多分私達になるんじゃないかな?

 何となくだけど、そんな気がした。

亜美「うわあああああん」

のばら「亜美が泣いてますわ! 深川先生、許しませんわよ!」

亜美「違うの、京平は悪くないの。私が悪いの!」

京平「だから、気にすんなよ、亜美。いつもありがとな」

亜美「ぐすん、京平のスーツ姿、見たかったなあ」

京平「先週見せただろ」


作者「仲良きことは美しいな」

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