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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
生理的に無理な人
236/242

ご飯を食べに行くよ

「亜美、着いたぞ」

「むにゃ。あ、おはよ。京平」

「寝起きも可愛いな」


 もー、こんなん照れるなって言われる方が難しいよ。思わず私は顔を真っ赤にして、京平にしがみつく。


「ほら、降りるぞ」

「うん」


 京平はそう言いながら私の手を握って、一緒に電車を降りてくれた。本当にいつも優しいなあ。

 朝山丘駅は無人駅で、降りる人もほとんどいないみたい。乗る人も少なかったしね。

 ここに素敵な景色があることを、知らない人もいるんだろうなあ。ちょっと優越感を覚えた。


「お店はどこらへん?」

「もう着くよ。ただ、人気ある店だから混んでるだろうけど」

「え、電車で降りる人ほとんど居なかったよ?」

「電車だと不便だから、タクシーで来る人が多いんだよ」


 確かに東京駅から15駅ほど乗ったかなあ。時間的に。お世辞にも交通事情が優れてるとは言い難いよね。

 前はタクシーに乗って、あっという間に着いたしね。多分電車が朝山丘を回り道してるんだね。

 それなのに、京平が電車を選んだのは。


「そうか、私が眠そうだったから電車で来たのか」

「わかってくれて嬉しいよ、亜美」

「おかげでゆっくり眠れたよ、ありがとね」


 タクシーだとあっという間に着きすぎて、私は眠れなかっただろうしね。


「ほら、着いたぞ」

「お、お、ステーキ屋さん!!!」

「たまにはいいだろ?」


 うう、誕生日とクリスマスの時くらいしか、大好物の牛ステーキ食べられないから嬉しいよ!

 あ、それ以外にも最近蓮と一緒にステーキ食べたか。でも、あの日は色々ありすぎて、もう味覚えてないや。


 ステーキハウス朝山丘からは、何とも芳しい香りが漂い、私の鼻を唆る。

 店内へ入ると、確かに駐車場の空き具合とは裏腹に、かなり混み合っていた。皆タクシーで来たのかな?

 家族連れ、カップル、おひとり様、皆ここのステーキを求めてやって来たんだね。


「予約不可のお店だったから、暫く待つけどごめんな」

「ううん、ステーキならいくらでも待てるよ!」


 京平は待合ボードに名前を書いてくれ、そのまま2人で順番が来るのを待つ。当然混み合っているので、椅子にも座れないから立って、ね。

 でも京平ったら、手を離そうとしないんだよね。嬉しいけど、京平は恥ずかしくないのかな?


「なんなら、ずっと亜美の手、握ってたいけど?」

「そ、そうなの? ありがとね」


 私との時間を、大切にしてくれてありがとね。私、今、幸せだよ。いつも京平が幸せをくれるんだよ。


「お客様、メニューをどうぞ」

「ありがとうございます」


 店員さんが私達の近くまで来て、メニューを渡してくれた。どうやら先に注文を聞くみたいだね。

 ん、やっぱり京平は私の手を離さないね! しょうがないので、京平にメニューを持たせて、私はめくる役目をする。

 ふむふむ、メニューもなかなか豊富だなあ。見てるだけでうっとりしちゃうし、全部食べたくなるよ。


「うう、迷うなあ」

「最近デート出来てなかったし、俺の奢りだから好きなの選びな」

「何でもいい?」

「勿論」

「じゃあ、この黒毛和牛のサーロインステーキA5ランク食べたいな」


 前に蓮が連れて来てくれたステーキ屋さんも、ここまでのレベルのは無かったし、名前がそそられて仕方ないんだよね。とはいえ、流石に高いの頼んじゃったかな?

 いいや、なんならお会計の時にこっそり私が京平の分も支払えばいいや。それなら京平が苦しまなくて済むもんね。たまに缶コーヒーすら買えないって嘆いてるくらいだもん。


「何考えてんだ亜美は。筒抜けだけど。じゃあ、俺もそれにしようかな?」


 う、こっそり奢ろうとしたことバレたかな? いいもん! 京平がトイレに行ってる隙にお支払いしちゃうもんね!


「ご注文はお決まりですか?」

「はい、黒毛和牛のサーロインステーキA5ランクを2つください」


 店員さんが話しかけて来た時に、京平が華麗に注文を済ませてくれた。もう、いつだって格好良いなあ。

 私、何度も京平を愛してしまうし、どんどん愛が募っていくよ。愛しくて仕方ないよ。


 ◇


 やがて私達の順番が回って来て、私達は案内された席に着いた。カウンター席のような席が20つ程しかないみたい。そりゃ混む訳だ。

 私達の目の前には鉄板が置かれていて、どうやらここで焼いてくれるみたい。作ってる工程を見るのも楽しそうだね。

 流石に手を離さなきゃで、ちょっと寂しいな。

 

「お、結構本格的だな」

「うん、楽しみ」


 私達が席に座ってから、ステーキが焼かれ始めた。ああ、美味しそうな匂い。お肉の焼ける匂いってウットリするよね。


「ふふ、亜美が嬉しそうな顔してる」

「この匂いを嗅いだら、嬉しくなるよ!」

「連れて来て良かった。あ、ほら、焼けてきたぞ」


 お、焼けるの早いなあ。私の目の前に、香ばしく焼かれたステーキが並べられた。


「あ、あと、赤ワインひとつ下さい。亜美、呑みたいだろ?」

「え、なんで解ったの? 流石京平」

「亜美のことで解らないことなんてないよ」


 んもう、私が京平を好きだってことには、11年間気付かなかったくせに。

 ん、でもそういう類以外は、確かに全部見抜かれてるかな。最近はそれを隠す素振りもしないし。そんなに解りやすいかな?

 そして赤ワインもやってきて、私達は顔を見合わせて。


「「いただきます」」

「うーん、ステーキめちゃジューシーだよお。赤ワインとも合うし、最高過ぎる! ソースも深みがあっていいんだよね」

「うん、肉も柔らかいし、肉汁も最高だな」

「えへへ、京平と一緒だからより美味しいや」

「俺もだな。亜美と食べる飯はいつも美味しいよ」


 愛してる人と一緒に食べるご飯は美味しいよね。特に大好物ともなると、幸せ過ぎて仕方ないよ。こんな幸せがいつまでも続くといいな。


「亜美を手放す訳ねえだろ?」


 京平は人目を気にすることなく、私を抱きしめてくれた。いつもありがとね、京平。


「京平に出会えて良かった」

「俺も。いつもありがとな」


 何故か周りから拍手が起きた。愛してるよ。京平。

京平「やべえな、自制が効かないな」

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