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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
生理的に無理な人
233/242

どこにいくんだろう?

「京平、まだ寝ないの?」

「もうちょい調べ物したいからさ。先に寝てて」

「うん、解ったよー。おやすみ、京平」

「おやすみ、亜美」


 一緒に寝たいんだけどなあ。最近京平はこんな感じ。何を調べているんだろう? 明日はデートなのになあ。

 私は1人で寝にいくけど、やっぱり寂しくて寝付けないや。仕方ないから京平の枕を抱きしめて、自分を誤魔化してみたり。


 あ、もしや明日のデートプランを練っているのかな? だとしたら、京平もBBQで疲れているのにありがとね。

 久々のデートだから張り切っているのかな?

 明日、移動中に京平は寝ちゃうだろうから、その分私が寝とかなきゃね。そう思ったら、眠たくなってきた。

 京平、愛してるよ。おやすみ。


「食事は混むかもだけどここかな、亜美好きそうだし」


 ◇


 朝、私は京平のスマホのアラームに起こされた。私に合わせて、かなりうるさいのにしてくれたみたい。おかげでバッチリ目覚めたよ。

 ん、いつの間にか私は、京平に抱きしめられて眠ってたみたい。通りでぐっすり眠れた訳だ。

 なんだかんだ遅くなっても、抱きしめて寝てくれるんだよな。優しいよね。


「うーん、おはよ。亜美」

「おはよ、京平。まだ7時だよ? こんなに早くアラーム掛けたの?」

「ん、混む前に行きたかったからさ」

「かなり眠そうだけど大丈夫?」

「移動中に寝るさ」


 そんな訳で朝の準備を始める。

 いつも通り私の服は京平が用意してくれたんだけど、なんだか動きやすい格好みたい。山登りでもするのかな?


「そこまでは激しくねえよ」

「え。どこなの?」

「内緒。楽しみにしてな」


 そう言いながら、京平は私の頭をポンポンする。もう、敵わないなあ。

 着替えた私達は食卓に向かうと、早くも信次とのばらが起きていて、2人仲良く朝食を食べていた。


「おはよ。信次、のばら」

「信次、のばら、おはよ」

「あら、亜美とお兄様も早いですわね。おはようございますわ」

「おはよ、兄貴、亜美」

「信次達もどっか行くの?」

「うん、デパートでショッピング。下手に遊びに行くよりは空いてるだろうしね」


 確かにほとんどの人は遊びに行くだろうから、ショッピングはいいかもね。しかも涼しいし。

 のばら、新しい服が欲しいですわ! って、最近ぼやいていたし、ちょうどいいね。解ってるなあ、信次。


「兄貴達はどこいくの?」

「京平が教えてくんないの」

「ほら、びっくりさせたくてさ」

「ああ、なるほどね。あ、朝ご飯兄貴達のも作ったから、食べてってね」

「ありがとね、信次」


 私はお味噌汁を、京平はご飯をよそって、信次が作ってくれた朝ご飯をありがたくいただく。やっぱり信次のお味噌汁って、美味しいんだよなあ。出汁の配合知りたいな。


「あ、そうだ。出汁汁無くなってたから、僕が作って、ボトルに入れといたからね」

「なんと。これで私にも美味しいお味噌汁がつくれるね」

「最近は亜美が作ってたもんな、出汁。まあ、俺達は他のも足して使ってたけどな」

「もー、普通に使ってよ」


 2人ともこだわるから、私の作った出汁じゃ、満足できなかったんだろうなあ。もう、だったら教えてくれてもいいのにさ!


「いやあ、合わせ出汁の旨さを知っちまうと、それじゃなきゃ納得出来なくてさ」

「そうそう。色々配合あるしね」

「私、基本の鰹出汁だったからなあ、作ってたの」

「信次、またお料理教えてくださいまし」

「うん、のばらにも出汁の取り方教えなきゃね」


 こうして、のんびり朝ご飯を食べてるうちに。


「ふわあ、おはよ。皆」

「お父さんおはよ。お父さんにしては早いね?」

「起きたら誰も居ないってのは、寂しすぎるからな」

「僕達はショッピング行ったら、すぐ家に帰るから、一緒に昼ご飯作ろうね!」


 確かに私達連日出かけてるしなあ。そりゃお父さんも寂しいよね。それがなくても、お父さんのGWのが長いんだしね。

 あ、でも信次……は、祝日と土日だけだな。それでも羨ましいけど。

 その分、今日のデートを楽しまなきゃね!


「久々のデートだしな」

「中々休み合わないもんね」

「亜美も看護師長に相談すればいいのですわ?」

「いやあ、なんか照れくさいし、迷惑掛けたくないな、って」


 勿論のばらを否定してる訳じゃなくて、皆大体予定があって希望休や勤務形態を相談しているのに、私はただただ京平と一緒に過ごしたいってだけだもん。流石に、ちょっと、ね。

 それに一緒に暮らしてるんだし、全く会えない訳じゃないんだしね。どんな勤務であっても。


「真面目だな、亜美は。と、ごちそうさま」

「あ、私もごちそうさま」


 ◇


 準備が終わった私達は駅に向かい、今は電車の中。先に旅行会社へ新幹線のチケットを受け取る予定、だったんだけど、京平が、混み合うから後にしようぜって言い出して、デートを先に楽しむことになった。

 電車を乗り継いで、東京駅で京浜東北・根岸線に乗り換えて、日暮里で、日暮里・舎人ライナーに乗り込んだ私達。

 その間も、京平はかなりうつらうつらしていたから、寝かせてはいたんだけど、舎人ライナーは席が全部埋まってるなあ。席どころか、車内もパンパンだ。

 流石に寝かせられないや、って思ってたんだけど。


「舎人公園駅に着いたら起こして。おやすみ」


 そういうと京平は吊り輪を持ちながら立ちっぱなしで、私にもたれかかって寝始めた。ああ、相当眠たかったんだなあ。昨日も寝たの、遅かったもんね。

 でも、GWとはいえこんなに早い時間なのに、やたら混み合ってるのはなんでだろう?

 もしかして、皆目的地は同じなのかな? 今から向かう場所には、何が待っているんだろう。


「すー、すー」

「どんな場所か楽しみだよ、京平」


 こうして私達は電車に揺られ、時折倒れそうになる京平を支えながら、目的地の舎人公園駅まで後もう少しの所に辿り着いた。私は京平を起こす。


「京平、おはよ。もうすぐ着くよ」

「むにゃ、おはよ。ありがとな、亜美」


ーー舎人公園、舎人公園。


「あ、ちょうど着いたよ」


 舎人公園駅に着くと、皆一斉に降りていく。やっぱり目的地は一緒だったみたい。改札を抜けた後も、皆同じ方角に歩いていくもん。

 私は京平と手を繋いで、その人の群れに着いていく。結構混み合ってるから、はぐれないようにしなきゃね。


「ふわあ、亜美が移動中寝かせてくれたから、大分楽になったよ」

「でも無理はしないでね? 辛かったらすぐ帰ろうね?」

「やだよ。久々のデート楽しみたいし」


 京平はそう言うと、子供みたいに無邪気な笑顔を浮かべる。今日という日を、楽しみにしてくれていたんだね。嬉しいな。

 ふと、京平が止まる。


「ほら、亜美。見てごらん」

「ん、見てごらんって……ふわあ」


 私の目には、一面の青い花畑が広がっていた。

 花ひとつひとつはこじんまりとしているんだけど、それが数万と集まって、壮大な世界観を演出している。まるで海みたい。海の真ん中に立っている感覚になるや。

 この花、初めてみたけどなんて花なんだろう。すごく綺麗。


「ネモフィラの花畑だよ。今日はゆっくり過ごそう」


 京平が、優しく笑った。

亜美「楽しみだなあ」

京平「のんびり過ごそうな」

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