どこにいくんだろう?
「京平、まだ寝ないの?」
「もうちょい調べ物したいからさ。先に寝てて」
「うん、解ったよー。おやすみ、京平」
「おやすみ、亜美」
一緒に寝たいんだけどなあ。最近京平はこんな感じ。何を調べているんだろう? 明日はデートなのになあ。
私は1人で寝にいくけど、やっぱり寂しくて寝付けないや。仕方ないから京平の枕を抱きしめて、自分を誤魔化してみたり。
あ、もしや明日のデートプランを練っているのかな? だとしたら、京平もBBQで疲れているのにありがとね。
久々のデートだから張り切っているのかな?
明日、移動中に京平は寝ちゃうだろうから、その分私が寝とかなきゃね。そう思ったら、眠たくなってきた。
京平、愛してるよ。おやすみ。
「食事は混むかもだけどここかな、亜美好きそうだし」
◇
朝、私は京平のスマホのアラームに起こされた。私に合わせて、かなりうるさいのにしてくれたみたい。おかげでバッチリ目覚めたよ。
ん、いつの間にか私は、京平に抱きしめられて眠ってたみたい。通りでぐっすり眠れた訳だ。
なんだかんだ遅くなっても、抱きしめて寝てくれるんだよな。優しいよね。
「うーん、おはよ。亜美」
「おはよ、京平。まだ7時だよ? こんなに早くアラーム掛けたの?」
「ん、混む前に行きたかったからさ」
「かなり眠そうだけど大丈夫?」
「移動中に寝るさ」
そんな訳で朝の準備を始める。
いつも通り私の服は京平が用意してくれたんだけど、なんだか動きやすい格好みたい。山登りでもするのかな?
「そこまでは激しくねえよ」
「え。どこなの?」
「内緒。楽しみにしてな」
そう言いながら、京平は私の頭をポンポンする。もう、敵わないなあ。
着替えた私達は食卓に向かうと、早くも信次とのばらが起きていて、2人仲良く朝食を食べていた。
「おはよ。信次、のばら」
「信次、のばら、おはよ」
「あら、亜美とお兄様も早いですわね。おはようございますわ」
「おはよ、兄貴、亜美」
「信次達もどっか行くの?」
「うん、デパートでショッピング。下手に遊びに行くよりは空いてるだろうしね」
確かにほとんどの人は遊びに行くだろうから、ショッピングはいいかもね。しかも涼しいし。
のばら、新しい服が欲しいですわ! って、最近ぼやいていたし、ちょうどいいね。解ってるなあ、信次。
「兄貴達はどこいくの?」
「京平が教えてくんないの」
「ほら、びっくりさせたくてさ」
「ああ、なるほどね。あ、朝ご飯兄貴達のも作ったから、食べてってね」
「ありがとね、信次」
私はお味噌汁を、京平はご飯をよそって、信次が作ってくれた朝ご飯をありがたくいただく。やっぱり信次のお味噌汁って、美味しいんだよなあ。出汁の配合知りたいな。
「あ、そうだ。出汁汁無くなってたから、僕が作って、ボトルに入れといたからね」
「なんと。これで私にも美味しいお味噌汁がつくれるね」
「最近は亜美が作ってたもんな、出汁。まあ、俺達は他のも足して使ってたけどな」
「もー、普通に使ってよ」
2人ともこだわるから、私の作った出汁じゃ、満足できなかったんだろうなあ。もう、だったら教えてくれてもいいのにさ!
「いやあ、合わせ出汁の旨さを知っちまうと、それじゃなきゃ納得出来なくてさ」
「そうそう。色々配合あるしね」
「私、基本の鰹出汁だったからなあ、作ってたの」
「信次、またお料理教えてくださいまし」
「うん、のばらにも出汁の取り方教えなきゃね」
こうして、のんびり朝ご飯を食べてるうちに。
「ふわあ、おはよ。皆」
「お父さんおはよ。お父さんにしては早いね?」
「起きたら誰も居ないってのは、寂しすぎるからな」
「僕達はショッピング行ったら、すぐ家に帰るから、一緒に昼ご飯作ろうね!」
確かに私達連日出かけてるしなあ。そりゃお父さんも寂しいよね。それがなくても、お父さんのGWのが長いんだしね。
あ、でも信次……は、祝日と土日だけだな。それでも羨ましいけど。
その分、今日のデートを楽しまなきゃね!
「久々のデートだしな」
「中々休み合わないもんね」
「亜美も看護師長に相談すればいいのですわ?」
「いやあ、なんか照れくさいし、迷惑掛けたくないな、って」
勿論のばらを否定してる訳じゃなくて、皆大体予定があって希望休や勤務形態を相談しているのに、私はただただ京平と一緒に過ごしたいってだけだもん。流石に、ちょっと、ね。
それに一緒に暮らしてるんだし、全く会えない訳じゃないんだしね。どんな勤務であっても。
「真面目だな、亜美は。と、ごちそうさま」
「あ、私もごちそうさま」
◇
準備が終わった私達は駅に向かい、今は電車の中。先に旅行会社へ新幹線のチケットを受け取る予定、だったんだけど、京平が、混み合うから後にしようぜって言い出して、デートを先に楽しむことになった。
電車を乗り継いで、東京駅で京浜東北・根岸線に乗り換えて、日暮里で、日暮里・舎人ライナーに乗り込んだ私達。
その間も、京平はかなりうつらうつらしていたから、寝かせてはいたんだけど、舎人ライナーは席が全部埋まってるなあ。席どころか、車内もパンパンだ。
流石に寝かせられないや、って思ってたんだけど。
「舎人公園駅に着いたら起こして。おやすみ」
そういうと京平は吊り輪を持ちながら立ちっぱなしで、私にもたれかかって寝始めた。ああ、相当眠たかったんだなあ。昨日も寝たの、遅かったもんね。
でも、GWとはいえこんなに早い時間なのに、やたら混み合ってるのはなんでだろう?
もしかして、皆目的地は同じなのかな? 今から向かう場所には、何が待っているんだろう。
「すー、すー」
「どんな場所か楽しみだよ、京平」
こうして私達は電車に揺られ、時折倒れそうになる京平を支えながら、目的地の舎人公園駅まで後もう少しの所に辿り着いた。私は京平を起こす。
「京平、おはよ。もうすぐ着くよ」
「むにゃ、おはよ。ありがとな、亜美」
ーー舎人公園、舎人公園。
「あ、ちょうど着いたよ」
舎人公園駅に着くと、皆一斉に降りていく。やっぱり目的地は一緒だったみたい。改札を抜けた後も、皆同じ方角に歩いていくもん。
私は京平と手を繋いで、その人の群れに着いていく。結構混み合ってるから、はぐれないようにしなきゃね。
「ふわあ、亜美が移動中寝かせてくれたから、大分楽になったよ」
「でも無理はしないでね? 辛かったらすぐ帰ろうね?」
「やだよ。久々のデート楽しみたいし」
京平はそう言うと、子供みたいに無邪気な笑顔を浮かべる。今日という日を、楽しみにしてくれていたんだね。嬉しいな。
ふと、京平が止まる。
「ほら、亜美。見てごらん」
「ん、見てごらんって……ふわあ」
私の目には、一面の青い花畑が広がっていた。
花ひとつひとつはこじんまりとしているんだけど、それが数万と集まって、壮大な世界観を演出している。まるで海みたい。海の真ん中に立っている感覚になるや。
この花、初めてみたけどなんて花なんだろう。すごく綺麗。
「ネモフィラの花畑だよ。今日はゆっくり過ごそう」
京平が、優しく笑った。
亜美「楽しみだなあ」
京平「のんびり過ごそうな」




