司の気持ち(真目線)
「司くん、ここに居ただか」
「真……こっちくんなよ」
司くん、泣いてるだか? 目が真っ赤っかだよ。司くんは、公園のすぐ近くにある自販機の前で蹲っていたのを見つけたんだけども、何に対して泣いてんだべか?
「泣いてる司くんを、放って置けないだよ」
「取り敢えず移動しようか。俺も不甲斐無いよな、家まで耐えきれなくて」
そんな訳で公園近くの森で、2人で座りながら話しただよ。
「俺さ、美紀のことがずっと好きでさ。俺達、小学校からの腐れ縁で」
「そ、そうだっただか?!」
「1ヶ月だけ付き合うっての、美紀の提案だろ? 真はそもそも恋愛知らなそうだし」
「お、おっしゃる通りだよ」
そうだっただか。だとしたら、おらが司くんを傷付けたようなもんだな。おらが自制して、付き合わないって選択をしていれば、こうはなっていなかっただよ。
そもそもおらは、美紀さんに恋をしてる訳じゃ……ないんだけども、断るってなったとき、少し心がズキズキしてきてな、断りきれんかっただよ。それで提案に乗っちまっただよ。
ん、でもあのズキズキは、なんだべか?
「美紀が真のこと好きなの、解ってたのにな」
「知ってただか?」
「そりゃ、美紀のこと、ずっと見てたから」
「そうだべか。辛かったなあ」
おらは、司くんを抱きしめただよ。2人きりなら恥ずかしく無いだ、思い切り泣くだよ。
「でも俺だって、まだ諦めた訳じゃねえからな。まだ真が、美紀の魅力に気付いていない今ならチャンスはあるし」
「美紀さんはよく笑うところと、少し気は強いけど、優しいところが素敵だと思うだよ」
「ちっ、そこには気付いてたか」
「まだ、あまり美紀さんのことは知れてないだよ。彼氏なのに情けねえだよ」
おらの気持ち次第で、1ヶ月でお付き合いは終わるかもしんねえけど、その間は大切にしたいだよ。我儘かもだけどもよ。
その間、美紀さんのことをもっと知っていって、恋愛感情がなんなのかを知ることが出来たらいいなと思うだよ。
その相手が美紀さんならいいな、とは、少し思っていて、だな。
ん、この気持ちはなんだべか? 少し心がキュンとするというか、ドキドキするというか。不思議だよ。
「まあ、真が気付く前に、美紀には気持ちを伝えたいな」
「そっか、伝える気はあっただな?」
「何も言わずに逃げるのは、違うよなって」
「正直、おらはおらの気持ちがよくわかんねえから、立場もわかんねえけども、気をしっかり持つだよ」
「そっか。ありがとな」
「じゃあ、皆のところに帰るだよ」
司くんは、「今更戻っても誰もいねえよ」って言ったけんども、皆優しい人達だから、そんなことしねえのは解っていたもんだから、強引に司くんの手を引っ張って、皆のとこに戻ることにしただよ。
「やめろ、気まずいだろ!」とか言ってたけんども、そんなの知らねえだよ。
そして、皆のとこに戻ると、皆優しくおら達を出迎えてくれただよ。
「司、何があったの?」
「ごめん美紀、ちょっと俺がどうかしてたわ」
「出来れば私、司とまだ、BBQ楽しみたいんだけど?」
「うん、いいよ」
「じゃ、もっかい火を起こすぞ!」
「やっきそば! やっきそば!」
おらと深川先生は、急ピッチで火おこしをして、BBQは無事再開されただよ。
締めの焼きそばを楽しまないことには、BBQは終われないだよ。
深川先生が焼きそばを作ってる間、兄ちゃんがおらに話しかけてきただよ。
「真、お付き合いって本当ですか?」
「本当だよ。兄ちゃんみたいに、好きとかそういうのは解らねえから、美紀さんを困らせねえよう大切にするだよ」
「好きじゃない相手と付き合うのはお勧めしませんが、相手を傷付ける真似だけはしないで欲しいです」
「解ってるだよ。絶対守るだよ」
あ、美紀さん真っ赤だ。おら、そんな変なこと言っただか?
解らないなりに、美紀さんを大切にするだよ、おら。
「ほら、焼きそば出来たぞ。皆で食べよ」
「わーい! 沢山盛っちゃお!」
「ああん、のばらも沢山欲しいですわ!」
「うすっ!」
「ありゃ、焼きそば足りるかなあ?」
◇
焼きそばは、ものの5分で空っぽになっただよ。流石深川先生だよ。もっと買っとけば良かっただな。
美紀さんも美味しそうな笑顔を浮かべてるから、良かっただよ。
残りの食材をその後焼いたんだけんども、それもあっという間に無くなっただよ。
食材が無くなったことで、そろそろBBQはお開きって感じだよ。
「お腹いっぱいですわ」
「うん。僕も」
「帰りはどうします? 前半組と後半組に分かれて送りましょうか?」
「あ、大丈夫。僕、のばらを抱えて家まで帰るからさ」
「え、重くねえだか?!」
何言ってんだ、信次くん。のばらさんを抱えていくだなんて、いくらなんでも距離がありすぎるだよ。そもそものばらさんだって、歩けると思うだよ。
「あ、そっか、僕の異能教えてませんでしたよね。それじゃ、お先に」
「バイバイですわー」
信次くんとのばらさんはフワッと浮いたかと思えば、そのまま優雅に空を飛んでいっただよ。
異能の人、あんま見たことなかったけんども、異能って空を飛べるものもあるだべな。
正直、ちょっと羨ましいだよ。
「帰りは僕が運転しますね。真は帰ったら、お風呂入って寝てくださいね」
「おら元気だよ?」
「疲れた顔してますよ。後ろの席で休んでてください」
「ありがとだよ、兄ちゃん」
兄ちゃんには隠し事出来ねえだな、今日は色々あったもんで、疲れが溜まっていただよ。
「私、膝枕してあげるね」
「それ、眠れるだか?」
「真次第、かな?」
「羨ましいな、ちくしょう」
そんな訳で帰りの車では、膝枕なるものを体験したんだけども、不思議と寝心地が良くて、おらはすごく安心しただよ。
気付いたら、美紀さんの膝の上で、寝入ってただよ。こんなに幸せに眠れたのは初めてだっただよ。おやすみ、美紀さん。
「すー、すー」
「ゆっくり眠ってね、真」
作者「真は普通に美紀さんのことすきなんだけど、全くそれに気付いてないってやつですな。徐々に解っていくと思うので、暖かく見守っててくだされ」




