遊びに行く計画
「真、お弁当交換しよ?」
「じゃあ、肉巻きぽてと貰うだよ。美紀さんは何がいいだ?」
「じゃあ、煮物ちょーだい!」
仲良しだなあ、美紀さんと真くん。今週から、シフトもバラバラになったんだけど、たまたま今日、4/23は一緒だったみたい。
私と京平も一緒に食べてるけどね。
後、今日は京平の指導日でもあるから、池林くんと小森さんもいるよ。
皆でお弁当を食べていると。
「そうだ、今度皆で遊びに行きませんか?」
「うす?」
「おお、休みが合うならいいけど、どこに?」
「隣町の公園でBBQが出来るんですよ!」
「へえ、面白そうだね」
「それなら、車はおらが出すだよ」
「あとは司と、のばら先輩も呼びたいよね」
こうして、皆でBBQに行くことが決まった。メンバーは、このメンバーに加えて、信次とのばらと東条くんと友も誘うことにした。
真くんがレンタカーを借りて、皆をそれぞれ迎えに来てくれるとこまでは決まる。
後は日付どうしようか、って話になったんだけど、ちょうど26日なら皆休み、もしくは休みが取れそうってことになって、急ではあるけど、26日にBBQが決まった。
「材料はおらと兄ちゃんと美紀さんで買ってから、皆を迎えにいくだよ」
「あれ、東条くんは一緒じゃなくて?」
「なんだか知らねえけども、美紀さんがそうしたいって言っただよ」
「だって司んち遠いからさ。私なら真の家に直で行けるしね」
ほええ、美紀さん、日比野兄弟の家知ってるんだなあ。美紀さんの家は知らないけど、病院の近くなのかな?
「だったら私達は野菜を切らなきゃね。たまねぎは輪切りにして、ピーマンは半分でいいわよね? あ、あとゴミ袋も買ってきて欲しいな。とうもろこしも食べたいなあ。あ、焼きそばもいいかも!」
「うす」
そして小森さんはよく喋るなあ。確かに買い出し行かなかった組で、野菜くらいは切らなきゃね。
「てか、4/26に決まったけど、公園の予約は大丈夫なのか? GW初日だぞ?」
「実は皆でBBQしたくて、何日か私が公園予約してたんです。26日もたまたま予約してました」
「お、美紀さん流石!」
予定組む前から公園予約してたんかい! と、突っ込みたかったけど、それで助かったのはあるので、私は何も言えなかった。
そう言えばもうすぐGWかあ。旅行に行く人も多そうだよね。
私達は、26と27に連休があるくらいかな? 京平と一緒に過ごしたくて、休みを合わせたんだよね。27日には、久々にデート出来るかな?
「良いけどかなり混み合うぞ? 亜美」
「あ、それもそっかあ」
「GWは何処も混み合いますからね」
「でも、京平と遊びたいなあ」
「じゃ、どっか行こうか。良いところ探しとくよ」
「ありがとね、京平」
はっ! 病院内なのに、普通にデートしたいって考えちゃったし、見抜かれたし、オッケーしてくれたし。でも、少し大人気無かったかなあ。
ま、いっか。26と27は楽しみで仕方ないよ!
「ふわあ、少し仮眠室で寝てくるよ」
「あ、私も行く!」
「皆と話してても良いんだぞ?」
「私が京平の傍に居たいの!」
「じゃ、お願いしようかな」
京平、かなり眠たそうだったもんね。京平がゆっくり眠れますように。
私達が仮眠室に入ると、麻生先生がかなり疲れ切った顔をして、ベッドに横たわっていた。
盛大な寝息が、麻生先生の疲労度を表しているようだね。
「爆睡していらっしゃるね」
「夜通しで、さっきまで手術だったからな、麻生」
因みに外科医は、個人毎に専用のベッドが用意されており、布団も疲れが取りやすいように、少し豪華な仕様みたい。
加えて、寝やすいようにカーテンの仕切りも外科医のベッドにはあるんだけど、麻生先生は疲れすぎて、カーテンを閉める余裕も無かったみたいだね。
改めて、外科医って大変なんだなあ。
「麻生先生は、次の勤務いつからなの?」
「夜勤に変更になった、って言ってたけど、多分このまま寝続けるんじゃないかな? 愛さんも診察終了後、付き添うみたいだし」
「ゆっくり眠れるといいね」
私達はそんな麻生先生を横切って、空いているベッドに向かう。
京平はベッドに潜り込むと、すぐに目をトロンとさせる。お疲れ様、京平。
私はベッド横の椅子に座って、京平をポンポンする。
「やっぱ亜美と居ると落ち着くよ。おやすみ、亜美」
「おやすみ、京平」
京平の穏やかな寝顔を見てると、安心するよ。私。
◇
それからは京平の寝顔を見ながらポンポンし続けていたんだけど、京平のスマホのアラームが、けたたましく鳴き始める。
「うーん、よく寝た。ありがとな、亜美」
「よく眠れたなら良かった」
「午後からも指導頑張るよ」
「私も仕事頑張るぞ!」
私達はグータッチを交わし、それぞれの仕事に戻っていく。こんな何気ない時間も大好きだよ。
ふう、京平と離れるとやっぱり寂しいな。でも、仕事頑張らなきゃだね。
今日の仕事は巡回業務。皆元気に退院出来るよう、サポートしていかなきゃね。
「片桐さん、ご飯食べられましたか?」
「ああ、時任さん。完食しましたよ」
「それなら良かったです。血糖値測りますね」
「あ、自分でやらせてください。覚えたいんです」
片桐さんは20代前半の成人男性の方で、最近1型糖尿病が発覚し、数値が落ち着くまで入院ということになっている。
治療にしっかり取り組んでくれているから、入院された当初よりも、数値も大分落ち着いてきたよ。
うん、血糖値も170。もうすぐ退院出来そうだね。
「注射も慣れてきたんですよ」
「覚えが早いですねえ」
「だって生きるためですから」
そうだね、生きる為に注射も血糖測定も、覚えて行かなきゃだもんね。
「解らないことがあったら、気軽に聞いてくださいね。私も、1型糖尿病なんです」
「へえ、時任さんもかあ」
「今はインスリンポンプなんですけど、2年前までは私も注射でしたしね」
「私も負けてられませんね」
「一緒に生きましょうね!」
何気なく、そして違和感なく、私達は握手を交わすのであった。
◇
「んー、今日も頑張ったぞ。久々に残業だったけども」
春先ということもあり、入院患者様の数も増え、巡回業務も時間掛かっちゃったよ。
でも、皆少しずつ良くなってるから良かった。
とは言え、もう21時かあ。遅くなる旨は家族には伝えてあるから、もう皆ご飯食べてるかな。ちょっと寂しいけど、ね。
私が着替えていると、同じく残業だった美紀さんが、話しかけてくる。
「時任先輩、お疲れ様です。疲れましたねえ」
「昨日沢山の患者様が入院されたしね」
「深川先生も、時任先輩のことが心配だったのか、ちらちら見に来てましたよ。気付いてました?」
「え、嘘! 声掛けてくれればいいのに!」
京平の意地悪! 私、京平に会えたら、元気貰えるのにさ! ぶー!
「仕方ないですよ。研修医を引き連れての、病棟見学でしたからね」
「ああ、そうだったんだね」
「挨拶があったんですけど、時任先輩はその時、患者様とお話中でしたしね」
そっか。忙しなく動いていたし、きっと心配させちゃったね。帰ったら大丈夫だよって、京平を抱きしめたいな。
「じゃあ、お疲れ様」
「お疲れ様です! 時任先輩」
私が更衣室から出ると。
「亜美、迎えに来たよ」
「京平! もう21時なのに?」
「だからこそ。夜道だしさ」
そう言うと京平は、私をお姫様抱っこする。ちょ。また何故急に。
「疲れた顔してるからさ。素直に抱かれときな」
「ありがとね、京平」
京平の暖かい腕に抱かれた私は、気付いたらウトウトし出す。あ、これ寝ちゃうや。家まで5分なのにさ。
まあいいや。今日は甘えちゃお。
おやすみ、京平。
「寝てもいいけど、オムライスは食べて欲しいな」
「え、オムライス?! よっしゃあ! すやすや」
「なんだ、寝言かよ。可愛すぎるだろ」
京平「迎えに来てよかった」
亜美「すやすや、オムライスう」




