お花見楽しいな!
「亜美は唐揚げよろしくな!」
「おっけ、任せといて」
「のばらは信次と卵焼き作りますわ」
今日は4/6。皆でお花見にいくよ。今年は桜も遅咲きで今日がちょうどよさそう。
それで毎年のことなんだけど、皆でお弁当作ってるんだ。今年はのばらとお父さんもいるし、より楽しくなりそうだね。
「おにぎりは父さんが作るぞ」
「のばら、卵巻くタイミング今だよ!」
うちのお花見は、お花見行く前から楽しいんだよね。こうやってわちゃわちゃお弁当作るの、本当に大好き。
無事晴れてくれたし、お花見自体も楽しみで仕方ないよ。
私達は人混みを避ける目的で、いつも近くの公園で花見を楽しんでいる。
当然屋台とかはないんだけど、いつも綺麗な桜が見れるから私は大好きな場所なんだ。
そんな桜を見ながら、皆でお弁当を突く時間が本当に愛しいんだ。
「よーし、唐揚げ3種類揚げたよ」
「お、美味そうじゃん。俺も肉巻き野菜完成」
「卵焼きも焼けましたわ」
「おにぎりも沢山出来たぞ」
「あと、焼きそばも作ろうかな?」
「私もポテト揚げよっと!」
「なかなか高カロリーな弁当だな」
お弁当作りももうすぐ終わりそう。皆で作ったから、美味しいのは間違い無いしね。
◇
お弁当を作り終えた私達は、簡単に着替えて近くの公園までやってきた。
同じようにお花見してる人が沢山いるけど、幸い場所取りに困るほどではないみたい。本当に穴場だなあ、ここ。
私達はちょうど、桜の下の場所を見つけて、そこで朝ご飯兼昼ご飯のお弁当を食べることにした。
「今年の桜も綺麗だな」
「本当だね、綺麗だなあ」
大好きな家族と、京平と、桜を見ながら過ごせるって幸せだなあ。肉巻き野菜とおにぎりと焼きそばと卵焼きも美味しいし。
「亜美、一気に食い過ぎ」
「はっへ、ほひひひんはもん」
「食べながら喋らないの」
だって、美味しいんだもん。仕方ないよね?
しばらくそうやってお弁当を突きながら、桜を楽しんでいたんだけど……。
「亜美、ちょっと公園回ろうか」
「え、良いけどなんで?」
すると京平は耳元で囁くように。
「亜美と2人きりになりたいの」
「えへへ、ありがとね」
そんな訳で、2人で手を繋いで公園をぶらぶら歩き始めた。うわあ、他の桜も綺麗だなあ。桜の下も時々空いてたから、下を通り抜けて桜のトンネルを楽しんだり、ね。
「やっぱり、亜美と一緒が1番楽しいや」
「楽しめてるなら良かった」
そんな風に2人で歩いていると……。
「あ、時任先輩! お花見中ですか?」
ん、下から声が聞こえるぞ? 私達は顔を下に向けると、そこには見慣れた顔があった。
「あ、磯部さんに東条くんに真くん!」
「お疲れ様だよ。亜美さん、深川先生」
「早く美紀の弁当食べたい」
3人とも桜の下でレジャーシートにお弁当を広げて、寛いでいた。3人もお花見に来ていたんだね。
「兄ちゃんも、もうすぐ来るだよ。飲み物さ買ってくれてるだ」
「友も来てるんだね。にしても、お弁当美味しそうだね。磯部さんの手作り?」
「ベーコンポテトと唐揚げとおにぎりは私で、煮物と豚汁は真くんが作ってくれました! 家庭的な料理が出来るってすごいですよね」
「えへへ、照れるだよ」
「美紀のが料理上手いじゃん」
ほええ、分担して作ったんだね。ああ、うちもお味噌汁とか作れば良かったなあ。外で飲む汁物って美味しいよね。そんな話をしていると。
「あ、亜美に深川先生。こんにちは」
「ああ、日比野くん」
「友お疲れ。真くんに誘われたの?」
「僕も暇でしたしね。朝から真、お弁当作り頑張ってましたよ」
「ほら、時任先輩と深川先生も座って!」
ふう、2人でのんびりしたかったところだけど、こんなのも悪くないよね。私達は新人看護師の面々……友もいるけど、そこに混ぜてもらうことになった。
実は友と真くんは、真くんの春休みから一緒に暮らし始めてる。友曰く、弟が心配だからだって。
でも、真くん料理も出来るし、実際は友のが助けられてるみたい。
真くんが来てから、お弁当も真くんに作って貰ってるみたいだしね。
「ほら、亜美も呑みますよね?」
「え、いいの? ありがとね」
「深川先生も、ノンアルどうぞ」
「ありがとな」
「さ、煮物もあるだよ」
私はビールを片手に、早速煮物を食べてみる。
「うわあ、味が染み染みで優しい煮物だ。美味しいな」
「うん、美味しいな」
「良かっただよ。美紀さんの唐揚げも美味しいだよ」
「ありがとね、真くん」
「美紀の弁当は美味いからな」
こうして少し話しただけなんだけど、京平がなんか笑いながら頷いてる。え、何か発見したの? 私は全然解らないよ!
解らないと言えば、さっきから東条くんが磯部さんのお弁当をやたら褒めることくらいかなあ。すごく美味しかったのかなあ? 私もご相伴に預かろうっと。もぐもぐ。
「うん。磯部さんの唐揚げ美味しい! 塩唐揚げなんて珍しいね」
「私が塩のが好きなんです。お口に合って良かったです」
「これはノンアルが進むな」
「べえこんぽてとも美味いだよ!」
「美紀の弁当は何でも美味いから」
「皆ありがとね」
磯部さんと真くんのお弁当に舌鼓を打ちながら、私達はそれぞれの現状を話し始めた。お互いのことを知る為に、ね。
「私は佐藤先輩の後について、巡回勤務を教わっているところです。時折点滴を変えたり、注射を打ったりですが、看護学校で学んできたのでもはや常識ですけどね」
「ほええ、常識かあ。すごいね」
「おらはのばら先輩について、採血したりしただよ」
「え、のばらもう指導係やってるんだ。すご」
「なんだ、亜美知らなかったのか」
「俺は上木先輩に。あの人なんでも的確だから勉強になるよ」
新人看護師の面々、皆頑張ってるね。私もお手本になるように勉強したり、巡回もしっかりやらなきゃね。しかし、のばらは僅か3年目、なんなら外回り看護師業務は2年目で指導係かあ。負けてらんないね。来年こそは私も!
「私は2年目だけど、段々受け持つ患者様も増えて来たし、そのための勉強は欠かさないようにしてるよ」
「亜美は頑張ってるからな。成長著しいよ」
「私も負けないように頑張ります!」
「亜美さんを手本にして頑張るだよ」
「真には取り敢えず勝つ」
「敵対心燃やさないでほしいだよー」
なんだかんだで皆仲良しで良かった。看護師の連携もこれから大事になってくるからね。
「僕は総合看護師になるために、今オペ業務を勉強していますよ。興味のある方は是非」
「因みに俺は糖尿病と異能を専門で診てるけど、たまに麻酔科医としてオペにも入るよ」
「この前、僕と深川先生一緒でしたもんね」
「私も総合看護師目指してますから、日比野先輩や冴崎先輩を見習って頑張ります!」
磯部さんも総合看護師目指してるんだね。
友といいのばらといい磯部さんといい、向上心が強いよなあ。私は外回り看護師として、まだ出来ることがあるから、総合看護師は目指してないもんなあ。
「極めることも大事だぞ、亜美。亜美の考え方、嫌いじゃないよ」
「ありがとね、京平。今の仕事を頑張りたいんだ」
「うん、いいと思うぞ」
もはや見抜かれるのは当たり前になって来たけど、いつも私を励ましてくれてありがとね。
そんな京平のおかげで、自信持って頑張れてるよ。
私は嬉しくなって、笑顔で煮物を頬張るのであった。ぷはー、ビールも美味しい。
◇
「それじゃ、そろそろ自分達の場所に帰るよ」
「時任先輩、深川先生、有難うございました」
「楽しかったよ! お弁当とお酒もありがとね」
色々話が弾んじゃって、かなり長居してしまったなあ。早く家族の元に帰らなきゃ。
「の前に、亜美、こっちいこ」
「ど、どうしたの? 京平」
京平は私の手を引っ張って、公園の奥へと誘っていく。段々と人気のないとこに行くから、流石の私も察しは付いてきた。
そしてようやく、人っこ1人居ない場所に着いたと思ったら。
「ごめん、ずっとこうしたくて」
「謝らないで。私もしたかったよ」
京平は私をギュッと抱きしめてくれた。そうだよね、ずっとこうしたかったよね。
私達は深く抱きしめあって、キスもしあう。
こうせずには居られないくらい、お互いがお互いを愛し合っているからだね。
京平、愛してる。これから先、何があっても、この気持ちだけは絶対揺るがないから。
◇
「兄貴、亜美、唐揚げと焼きそばとたこ焼きとお好み焼きね」
「作ってくるけどさ、そんなに食えるの? もうすぐ夜に……」
「のばらが山田さんに頼んで、この公園の桜のライトアップしてくれたから、夜通しお花見出来るしね」
「公園の管理者にも許可は得ていますわ」
「あはは、信次も亜美と京平と、お花見したいんだよ」
戻ってきた私達は、軽くお弁当を食べて家族の元を離れてしまったので、その罰として、夜のお弁当を作る係になってしまった。
しかもライトアップのない公園だったのに、のばらが山田さんに頼んでライトを全桜に設置したから、お花見も延長可能、という訳だ。
「あ、ここに居たんですね、時任先輩!」
「あら、磯部さんに東条くんに日比野兄弟ですわね?」
「よかったらどうぞ。兄貴、亜美、人数分追加ね」
「帰るつもりだったんですけど、まだ桜も見れますし、居座っちゃいましょうかね」
「頑張って作らなきゃ!」
今度は私達の所で4人をもてなすぞ! 美味しいのを京平と作るからね。
「じゃ、早めに作ってくるよ」
「そうそう、なる早で帰って来てね」
「僕、飲み物買って来ますよ」
さあ、気合い入れてお弁当作るからね。でもその前に、京平と手を繋いで2人きりの時間を、もう少しだけ堪能しながら、ね。
「こんな時間、大好きだなあ」
亜美「ひー、たこ焼きが上手く丸まらない!」
京平「俺がやるから、亜美はお好み焼きを!」




