旅行の行き先は?
それから数日の時が経ち、今日は3月16日の日曜日。久々に京平と休みが合ったし、嬉しいな。
今日は旅行会社に行って、旅行の行き先を相談するんだ。どんなプランがあるんだろうな?
ってことを、私は京平の腕の中で考えていた。先に目が覚めちゃったんだよね。
京平はまだぐっすり眠ってる。疲れも溜まってるだろうし、まだ寝かせてあげたいな。
そう言えば、以前から医師会合で話されていた昼の診察も4月から始まるみたい。
ますます京平と休憩時間は合わなくなるけど、患者様の為だもんね。
緊急外来の混み合いも、解消されますように。
ん? 待てよ。京平はいつ休憩に行けるんだろう? 診察の時とか。
今日無理しないように釘を刺しとかなきゃ!
ううん。目覚めたんだけど、京平の腕の中はやっぱり安心するから、また眠たくなってきたや。
私も京平を抱きしめて、もう一眠りしようかな?
おやすみ、京平。
私は京平にキスをして、眠りに着いた。
◇
むにゃむにゃ、なんか身体が寂しい気がする。
「亜美、もう15時だぞ。そろそろ起きよ?」
「京平起きてたんだね。おはよ」
「おはよ、亜美」
どうやら私も、京平が抱きしめてくれないと、ぐっすりとは眠れないみたいだね。
遅番の時は、京平ふとんに包まって寝るしかないな? 本体は仕事行っちゃうもんね。
「早くご飯食べよ。信次とお父さんが作ってくれたからさ」
「お父さんに朝ご飯教えたのかな?」
「どうだろ? 俺もライムで見ただけだけど、教えてそうだよな」
確かに携帯を見ると、家族ライムに信次から朝ご飯のことがライムで送られていた。
「そうか、今日信次とのばらもデートだもんね」
「遊園地に行くとか言ってたなあ。しばらくそういうとこ、行けなくなるだろうしな」
4月から信次も医学生。遊ぶ暇はほとんどないだろうなあ。バイトも続けるしね。
「俺、ジェットコースター苦手だから、遊園地だとほぼ遊べないからなあ」
「あ、確かに。私達と乗ってくれた時も、重力の法則があああ! って、叫びまくってたもんね」
「流石にあの当時は亜美達も小さかったし、2人きりは危ないかなあ、と。怖かったぞ」
小さいとは言っても、私は当時15歳だったから、信次の子守くらいは出来る年齢だったんだけどな? 信次だって10歳だったしね。
京平から見たら、小さな私達だったのかもね。
それとも怖いなりに、私達と一緒にジェットコースター乗りたかったのかな?
「ああ、それもあったな。亜美達と乗れば楽しいかな、って」
「これからは無茶しちゃダメだよ」
「なるべく気をつけるよ」
「なるべくじゃなくて、絶対ね!」
そんなことを言いながら、私達は食卓に向かう。
「おはよう、亜美、京平」
「おはよ、お父さん」
「お父さんおはよー!」
お父さんにおはようって挨拶した後、私は朝食を温めることにした。
えっと、冷蔵庫の中には、美味しそうなピザトーストとコールスローが2人分入っていた。
お鍋の中にはコーンスープも入ってるや。
私がピザトーストを温めてるうちに、京平もキッチンにやってきて、コーンスープを温めながらコーヒーを淹れてくれた。
「ありがとね、京平」
「亜美もピザトースト温めてくれてありがとな」
「あ、匂いで解った?」
「うん、この匂いも大好き」
京平、ピザトースト大好きだもんね。信次とお父さんもいいメニュー作ってくれたなあ。
「お父さんも朝食作ってくれてありがとね」
「美味しく食べてくれたら嬉しいな」
「食べるの楽しみだぞ」
私達は温まった朝食とコーヒーを並べて、2人で朝食を食べ始めた。あーん。
「ピザトーストのソースとチーズが、野菜と絡み合ってとても美味しいよ。ソースの味、いつもと違うけど、お父さんも手伝ったのかな?」
「おう、なんなら信次に教わりながら、父さんが全部作ったぞ」
「え、1人で? 凄いなあ」
「お父さんのピザトーストめちゃ美味えよ」
「京平もありがとな」
日に日にお父さんの料理スキルが上がっていくなあ。
カツ丼が出来たなら揚げ物は出来るだろうし、オムライスが出来たなら炒飯も出来るよね。
そして今日はピザトースト。生地さえ覚えたら、ピザも出来るもんね。
こうやってお父さんは、色々覚えていくんだろうなあ。
「信次も4月から大変だろうから、私もサポートしたくて教えて貰ってるんだ。京平もまた教えてくれよ?」
「おう、次は何にしようかな?」
そうだよね。4月からは、私が早番の時なら手伝えるけど、そうじゃない時は京平しかやる人が居なくなっちゃうもんね。
そんな京平だって、いつ元の勤務に戻るか解らないし、お父さんの助けがあるとしたらありがたいな。
「今日は旅行先を決めるんだって? 良いところが見つかるといいな」
「うん、プラン見るの凄く楽しみ!」
「亜美と楽しめる場所ならいいな」
正直何処に行きたいかは全然決まってないけど、京平と一緒なら何処でも楽しいから大丈夫。
色んなところを一緒に見たり、楽しんだり。美味しいものを一緒に食べたり。温泉にも一緒に入れたらいいなあ。
「楽しみだなあ。むしゃむしゃ」
「あ、こら亜美。食べながら喋るんじゃないの」
◇
「「いってきまーす」」
「いってらっしゃい」
早速私達は手を繋いで、駅まで歩いていく。今日は区内の旅行代理店に行くからだ。
近場じゃないデートも久しぶりだよね、そう言えば。
京平と一緒ならどこでも楽しいから、今まで気にしてなかったなあ。
なんならシフトの都合で、中々デートも出来てないしね。4月からはどうなるんだろう?
「来年度、内科に看護師は3人入るみたいだぞ。だいぶ楽になるな」
「そんなに入るのかあ。朱音も指導大変だろうなあ」
「看護師はすぐ現場だもんな。佐藤さんも大変だな」
内科に3人も来るってことは、全体的に看護師が多かったのかな。仲良くなれるといいなあ。
友のおかげで内科の同期とは皆仲良くなれたけど、後輩となればどうなんだろうなあ。
「ねえ、京平。後輩と仲良くするにはどうしたらいいんだろう?」
「亜美は普通通りでいいんだよ。それで亜美の良さが解らないやつがおかしいんだから」
「理解される努力は必要だと思うんだけどな」
京平私に甘いよなあ。専門学校までそのスタンスでいたから、友達ほとんど出来なかったんだけどな?
少なくとも、話しかける努力はしなきゃ!
「空回りしないようにな」
京平は優しく私の頭をポンポンしてくれた。
そっか、空回りしないかどうかも心配してくれていたんだね。ありがとね。
「うん、無理はしないようにするね」
そんな話をしている内に駅に着いた。
「シイカのチャージ大丈夫?」
「前一万ぶち込んだから大丈夫。亜美は?」
「私も今日の分くらいはあるよ」
「それなら良かった。手を離さなくていいもんな」
「もう、どうせ私のチャージ中も、手を離さない癖に」
「あ、バレたか」
んもう、その笑顔は反則だぞ。愛しすぎて胸が高鳴るよ。絶対私、顔真っ赤だよ。
日に日に京平が愛しくなっていく。
私達は改札を抜けて、電車に乗りこんだ。
電車は日曜日ということもあり、かなり混み合ってる。皆区内で降りるんだろうなあ。
そして、いつも通り、私は京平に守られている。
「亜美、キツくないか?」
「うん、私は大丈夫だよ。だから京平も、無理しないで」
「はは、俺は大丈夫だよ」
そうやって京平はいつも無理をする。私を守ろうといつも必死になって。優しすぎるよ。
京平の優しさに、今日も助けられているなあ。
いつもありがとね、京平。これからも傍に居させてね。
「そうそう、亜美は笑ってくれるだけでいいんだよ。そしたら俺、頑張れるから」
「私、守られてばかりじゃん」
「当たり前だろ。俺が守りたいんだから」
こんな京平だから、一緒にいると安心するんだろうな。落ち着くんだろうな。
愛してるよ、京平。
バカ、今凄く抱きしめたくなってきてる。満員電車の中で、そんなこと出来る訳ないのに。
理性が吹き飛ばないように気をつけなきゃ。
最近度々飛びそうになるから、危ないんだよ。
「この後、漫画喫茶に行くか?」
「大丈夫、我慢する。旅行決めなきゃだし」
「旅行選び終わったら、まったりしような」
「それは、嬉しいかも」
京平め、また見抜いてきて。いや、今日はいつにも増して見抜かれているか。
私の心の奥の気持ちを、いつだって受け止めてくれるもんね。
愛してるが、どんどん昂っていくよ。
「いつもありがとね、京平」
「頑張りすぎるなよ、亜美」
「京平の優しさに、いつも助けられてるよ」
◇
「さーて、旅行代理店は徒歩6分くらいか」
私達はまた手を繋いで、旅行代理店まで向かう。
「私、一緒に温泉入りたいな」
「だとしたら、ちょっとお金足して近場がいいかな。宿代が高くなるだろうからな」
「温泉付きって、高くなるんだね」
「麻生と旅行行った時も温泉付きの部屋にしたんだけど、まあまあしたからな」
お、京平、麻生先生と旅行に行ったことがあるのかあ。
男2人旅ってのも、なんかいいね。
私達も大きくなったし、たまにはまた2人で旅行したり、ご飯いったり楽しんで欲しいな。
「俺の時間は、亜美に使いたいよ。亜美が居ないと眠れないし」
「私との時間を大切にしてくれてありがとね」
「亜美が居心地良いんだよ」
嬉しいな。京平も私のこと、頼ってくれてるんだ。
これからもいっぱい支えていきたいな。
「一緒に生きていこうね」
「うん、離さないからな」
そんな話をしていたら、徒歩6分はあっという間に過ぎ去って、旅行代理店に辿り着いた。
旅行代理店も日曜日ということで、待ち時間が発生していた。
私達は順番待ちの番号表を発行して、順番になるまで待つことにした。
「皆GWの旅行の打ち合わせに来てるのかな?」
「俺達は平日だから、宿の空きは大丈夫だろうけどな」
「良いプランがあるといいね」
信次が少ないお小遣いを、私達の為に使ってくれたんだもん。めいっぱい楽しみたいな。
私は近くのパンフレットを眺めながら思う。
えっと、客室温泉があるプランで、なるべく予算内で収まるところ、あるかなあ。
「静岡なら隣だし、富士山もあるから良いんじゃないか?」
「そうだね。旅費は安く済むもんね。その分、宿をこだわって」
「後は遊べるとこだよなあ」
私は静岡のパンフレットを取って、まじまじと眺める。
静岡といえば、観光地の熱海という手もあるし、富士山もあるよね。他にはどんな場所があるかな?
私はパンフレットを徐ろにめくる。
すると、私の目に、凄く可愛らしい生き物が映り込む。
「お、掛川花鳥園か。行ったことはないけど、沢山の鳥と花が見れるみたいだな」
「鳥さん可愛い」
「鳥とのふれあいコーナーもあるみたいだぞ」
「おお、楽しそうだよお」
「行く場所、ここにしようか?」
「うん、行きたい!」
こうしてパンフレットを2人で見ながら、行き先は確定した。
パンフレットの鳥さん、すごい可愛かったし、ふれあいコーナーもあるみたいだし、楽しみが増してきたよ。
後はお宿が決まれば完璧だね。
「良いお宿が見つけられたらいいね」
「だな、楽しみ」
そして遂に、私達の順番が回って来た。
亜美「鳥さん可愛い」
京平「お、ペンギンもいるのかあ」
作者「あと、エミューもいるぞい」




