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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
揺れ動いたりしない心
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プロポーズどうしよう?

「よし、蓮と友との飲み会は3/11っと!」


 希望休を合せようかと話していた飲み会は、皆都合良く希望休が通ったので、火曜日に決まった。

 皆休みだし、少し早めに呑もうってなって、16時から開いてる店になった。あ、因みにお店の予約は蓮が素早くやってくれたよ。

 皆との飲み会の後、例のステーキ屋さんで蓮と話すことになった。私だけに話したい話って、何なのかな?


「あ、京平。飲み会3/11になったから、この日は私ご飯要らないからね」

「無事飲み会出来そうで良かったな」

「うん、やっぱり一緒に呑みたかったしね。その後、蓮が話したいことあるみたいで、2人でご飯いくね」

「ああ、了解」


 私は仕事を終えて、夜ご飯待ちをしていた。

 やっぱりオムライスは難しかったみたいで、いまお父さんが頑張って卵を焼いて巻こうとしてる。

 ご飯は遅くなっちゃうけど、私の好きなご飯を作ってくれるお父さんの優しさが嬉しいな。


 因みに信次は、昼ご飯を17時に食べたらしくて、今部屋で勉強してる。

 朝の家事した後、寝直したのかな? や、京平の昼ご飯も作ったみたいだし、ご飯の時間だけズラしたのかな?

 のばらの為にご飯遅く食べるだけじゃなくて、家事もしてくれてるもん。優しいなあ。


「お、上手くいったじゃん!」

「亜美お待たせ、やっと出来たよ」

「待ってました! うわあ、美味しそう!」

「卵は失敗しちゃったのだけど、お代わりもあるからな」

「卵の綺麗さなんて気にしなくて良かったのに、ありがとね」


 私に喜んでもらおうって、卵も綺麗に巻けるまで頑張ってくれたんだね。その気持ちだけでも嬉しすぎるよ、お父さん。


「「「いただきます」」」

「うん、むちゃくちゃ美味しいよ。半熟卵にチキンライスもトマトの風味が香ばしくて、もう最高! ありがとね、お父さん」

「やったな! お父さん!」

「ありがとう、京平のおかげだよ」


 お父さん、どんどん料理を覚えていくなあ。しかも美味しいし。この調子なら、料理もすぐに覚えるんじゃないかな?

 いや、それどころか、この美味しさ。私、抜かされちゃうかも。が、頑張らなきゃ。

 でも頑張らなきゃなのは確かなんだけど、これからのお父さんのご飯も楽しみだなあ。絶対美味しいもん。食べたい。


「京平、いつもより早く起きてたけど大丈夫か?」

「うん、昼は亜美に寝かせて貰ったよ。亜美の傍が一番安心出来るし」

「私も京平に会えて嬉しかったよ」

「最近亜美が傍に居ないと、すぐ目が覚めちまうんだよな」

「2人とも、仲良いな」

「もう11年の仲だしな」


 そう、京平が我が家にこんにちはしてから、もう11年。なんなら、もうすぐ12年。

 色んなことがあったけど、京平が居てくれたから何とかなったことばかりだったよ。

 

「いつもありがとね、京平」

「俺こそ、いつもありがとな。亜美にはいつも救われてるよ。よく眠れるようになったし」

「亜美を幸せにしてくれてありがとな」

「これからも幸せにしていきたいな」


 京平は優しく笑ってくれた。うん、京平と居たら、それだけで私は幸せなんだよ。ずっと一緒に居てね。


「オムライスお代わり!」

「お、すぐ持ってくるからな」


 ◇


「ふー。お腹いっぱい」

「結局オムライス3杯か。食い過ぎだぞ」

「だって美味しかったんだもん」

「これからオムライスは、お代わりも作った方が良さそうだな」

「うん。そうして欲しいな」


 ああ、お腹いっぱいオムライスが食べられて幸せ。ソファに頭を乗せて、ごろ寝するのも気持ちいいしさ。何より、隣には京平も居るし。


「でも、亜美の幸せそうな顔が見れて、俺も幸せだよ」

「私も京平が傍にいるから、すごく幸せ!」


 私は思わず京平を抱きしめた。抱きしめたくてたまらなくなっちゃって。


「どうせお腹苦しいんだろ。部屋行こっか。部屋で2人で過ごそう」

「へへ、ごめんね。我慢出来なかったや」

「大丈夫、亜美が抱きしめてなかったら、俺が抱きしめてたよ。よっこらしょ」

「ちょ。京平ってば!」


 京平は私をお姫様抱っこして部屋に運んでいく。もー、確かにお腹は痛いけど、歩けない程じゃないのになあ。優しすぎるよ。


「亜美」


 京平は部屋に着くなり、私を力強く抱きしめてくれた。京平の温もりが伝わって、とても嬉しい。とても癒される。

 京平に抱きしめられてる時間、凄く好きなんだ。


「京平、もう愛しくてたまらないよ」

「しばらく2人でゆっくりしような」

「こんな時間が好きだなあ」

「うん。俺も」


 こんな京平だから、私はプロポーズしたくなったんだろうな。こんなに安心出来る場所、他に無いもん。

 安心したら眠たくなって来たな。明日もあるから寝ちゃうとまずいのになあ。


「亜美今眠いだろ? 起こすからちょっと寝ろよ」

「いいの? ありがとね。おやすみ、京平」

「おやすみ、亜美」


 むにゃむにゃ。京平の腕の中、凄く温かいや。そして気持ち良い。こんなに安心した気持ちで眠れるのは幸せだなあ。いつもありがとね、京平。おやすみ。


 ◇


 それから私は夢をみた。ここは何処だろう? 知らない場所だなあ。

 隣には京平が居て、優しい顔で私を見てくれてる。

 京平も私も、ラフな着物を着てる。旅行に来てるのかな?

 あ、これだ。2人で旅行に行って、プロポーズすればいいじゃん。

 プロポーズのタイミングを考えあぐねてたんだよ! するとは決めたものの。


 京平は優しく私を抱きしめて、キスをしてくれた。

 そして、優しい目をして、「それは俺に言わせて」って呟く。

 え? どういうこと? 京平は何を言いたいの?

 もしかして、プロポーズのこと?


「京平!」

「お、どうした? 亜美。おはよ」


 ここで目が覚めた。幸せだったんだけど、不思議な夢だったなあ。

 でも、確かにそうだ。前のクリスマスデートのとき、考えてるからって言ってくれた。

 更には指輪も左手薬指に付けて。真剣に私との未来を、考えてくれてるんだよね。

 でも、私も言いたいんだよ。これから先の未来、健やかなる時も病める時も一緒に居たいって。

 ど、どうしたらいいんだろう。


「大丈夫か? 何か考え事か?」

「何でもないよ。あ、お風呂入ろう!」


 これは相談しなければ。のばらなら優しく相談に乗ってくれるかな?

 なんなら、いつも相談してたし、信次も相談には乗ってくれそう。

 と、その前に、京平とのお風呂を楽しむか。


「悩みがあるなら、すぐに相談してくれよ?」

「うん。心配させてごめんね」


 ごめんね。これは京平にだけは相談出来ないや。

 しっかり考えなきゃ。私は変なことするタイプでもあるんだし。


 ◇


 それから私は京平とお風呂に入って、2人の時間を楽しんだ。

 お風呂でキスしたり、抱きしめ合ったり。そして、いつも通り京平はのぼせたり。


「亜美、はあはあ、部屋で休んでるわ」

「あ、私、信次とのばらに相談したいことあるから、少し部屋に行くの遅くなるからね」

「はあはあ、俺には内緒なの?」

「うん、まだ内緒」

「気になるけど、フラフラするし素直に休むよ」


 お風呂に入って、今はちょうど22時。のばらももうすぐ帰ってくるしね。

 信次はまだ部屋かな? いいや、2人が揃うまでリビングで待ってよう。

 私が着替えてリビングに向かうと、信次がご飯を温めていた。


「亜美、やれば出来るじゃん」


 信次め。ただパジャマ着た私に対して!

 朝のことをまだ言うか。ぶー!


「朝のはただの事件なの! あ、パティスリーイケマエでケーキ買って来たよ。ご飯の後、のばらと食べてね」

「もしかして、朝のこと気にして? それならありがたくいただくね」


 信次はオムライスを並べて、席に着いた。のばらが来るまで、ホットミルクで(くつろ)ぐみたい。

 今ならご飯食べる前だし、相談出来るかな?


「ねえ、信次。相談事があるんだけど?」

「え、改まって何?」

「私、京平にプロポーズしたいんだ」


 すると信次は勢い良くミルクを噴き出す。え、え、え、そんな変なこと言ったかな?


「亜美、結婚を焦ることないよ。まだ若いんだし。げふんげふん」

「結婚を焦ってるんじゃないよ。私が京平に伝えたいの。これから先の人生も、一緒に生きたいって」


 私は信次の噴き出したミルクを拭きながら言う。


「そっか。亜美は伝えたいんだね」

「うん。京平と生きていきたい」

「因みに僕は反対だよ、亜美」

「え、なんで?!」


 え、プロポーズ反対されたんだけど?!

 あんな勢い任せのプロポーズした信次に?!

 私が驚きを隠せないでいると。


「ただいま帰りましたわあ」

「おかえり、のばら」

「あ、のばらお帰り。亜美、試しにのばらにも聞いてごらん?」


 のばらは急ぎ足で手を洗って、食卓にやって来た。


「お腹空きましたわあ。信次、ご飯たべましょ!」

「その前に、亜美がとんでもないことを言ってるから聞いて貰ってもいい?」

「また変な服買って来たとかじゃなく、ですの?」


 最近アマゾム解禁されたんだけど、私の琴線にビンビン引っかかる素敵な服を見つけて買ったんだけど、皆に溜息を吐かれて、再びアマゾム禁止になっちゃったんだよね。

 って、それじゃなくて!


「いや、そうじゃなくて、京平にプロポーズしようかな、って」


 するとのばらは、はあああと深い溜息を吐く。


「亜美、プロポーズはするものじゃなくて、されるものでしてよ? 深川先生の性格なら、亜美を必要以上に待たせたりはしないと思いますし」

「そうじゃないの。私がしたいの!」

「ていうか、亜美。逆にされたくないんですの?」

「そう言われると……されたいかも」


 うん、されたい気持ちも無くはないんだ。

 言いたい気持ちとされたい気持ち。どっちが大きいんだろう?


「それなら、兄貴を待っててあげて。兄貴、いつも亜美を優しく守って、少しでも強くなろうとして、逆に無理して鬱症状も出ちゃってるんだけどさ。最近は、何かを決意した表情もしてるんだ。僕は兄貴に、頑張ってる兄貴に、プロポーズさせてあげたいから」

「うん、京平、いつも私を守ってくれてる。頑張ってくれてる」


 確かに待ってて、って言ってくれたもんね。

 京平は無理に強くなろうともしていたし。

 そのままでいいよって伝えた時、京平わんわん泣いてた。それだけ頑張りすぎてたんだ。

 でも、それだけ頑張っていたのは……。


「そうだね。京平のプロポーズ聞きたいな」

「僕からも、亜美を待たせないように伝えておくよ」

「京平がプロポーズしたあとなら、私も伝えていいでしょ?」

「そうですわね。返事はしなきゃですものね」


 いつになるかは解らないから、いつでもプロポーズというより返事が出来るように準備しておかなきゃね。

 とりま、私の言いたいが昂らないように気をつけなきゃ。


「亜美、兄貴呼んで来て」

「ん? 何で?」

「2人にプレゼントがあるんだ」


 え、唐突なプレゼントだな。でも、プレゼント貰えるようなイベントってあったっけ?

 疑問に思いながらも、私は京平を呼びに行く。


「京平ー、今ちょっと来れる?」

「おう、何だ?」


 良かった。話している間に、のぼせてたのも治ったみたいだね。

 私達は食卓のいつもの席に座る。


「信次、改まって何だ?」

「プレゼント渡したいんだって」

「そ。これ、今まで僕を育ててくれたお礼。のばらと考えたんだ」


 信次は、京平に封筒を渡した。


「そんなお礼なんて良かったのに。クッキーも貰ったしさ」

「いいからみてよ」

「どれどれ。って、旅行券じゃん! しかも5万円分って!」

「亜美と旅行らしい旅行って、お墓参りしかなかったでしょ。今度は泊まりで行っといでよ」

「ありがとな、信次」

「信次、ありがとうー!」


 うわあ、旅行券かあ。京平と旅行行けるの嬉しいな。

 何処に行くか2人で考えられるのもいいね。


「信次、渡し終わったら早くご飯にしましょ! お腹空きましたわ!」

「ごめんね、のばら。一緒に食べよ」

「じゃあ、俺達は寝るよ。おやすみ。信次、のばらさん」

「おやすみ、信次、のばら」

「うん、おやすみ」

「おやすみなさいませ」


 私と京平は部屋に入った。そろそろ寝なくちゃね。


「信次、俺達のことを凄く考えてくれたんだな」

「ね。旅行楽しみだね」

「何処か行きたいところある?」

「うーん、思いつかないなあ」

「2人でまた考えよう。それより、明日の為に寝なきゃな」


 2人で旅行、折角なら部屋に温泉が付いた宿に泊まりたいなあ。2人で温泉入りながら、何気ない話をしたいな。

 何処行くか、私も考えなきゃ。


「京平、抱っこ」

「勿論。うりゃあ」

「ふう、京平に抱きしめられるの、好き」

「俺も亜美を抱きしめるの好きだな」


 幸せな時間だな。愛しいな。ずっと傍に居たいな。

 そして、安心感のあまり、眠たくなって来た。

 私は京平を強く抱きしめて、気持ち良く眠った。


「おやすみ、亜美」

亜美「すやすや」

京平「亜美、信次達に何相談してたんだろうな。気になる」

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