亜美への愛が溢れて。(京平目線)
亜美、ライムありがとな。いつも亜美に助けられているよ。おやすみ。
そうライムを打って、俺は仮眠室へ行く。今日は疲れたから、寝るのを優先したかったんだ。
亜美、わざわざ12時にライムくれて、俺の為に早起きまで有難う。ここまでして貰って、元気がないなんて、有り得ないしな。
よく考えたら、同じタイミングで寝ているんだよな、俺達。
なんだか、ぐっすり眠れそう。亜美も寝てるんだもん、な。おやすみ、亜美。
◇
俺はアラームで目を覚ました。亜美のおかげで、ぐっすり眠ることが出来たよ。
午後からの診察も頑張るぞ。亜美、眠れているかな。
俺が診察室へ向かうと、看護師長が待機している。ん? 俺、1人で診るんだったよな?
「遅いわよ、深川。昼からは私が着くわ」
「や、そこまでして貰わなくても」
「ダメよ。仮眠室で熟睡してたって、落合くんからも報告を受けてるんだからね。無理させちゃったわね」
「お気遣いありがとうございます。看護師長」
ただ、正直、看護師長が着いてくれるのはありがたい。適切な診断もより約束されるしな。
「さ、午後の診察、開始するわよ」
看護師長が、患者様を呼んでくれた。
よし、気を引き締めて、過集中で乗り切るぞ。
「深川先生、お久しぶり」
「こんにちは、大池さん。また痩せましたね」
「退院してからも走ってるからね」
聞くと、毎日ゆったりと5キロ走ってるみたい。仕事もあるのに、頑張っていらっしゃるな。
「結果も出てますね。ヘモグロビンA1cは、6.0ですね。この調子で頑張ってくださいね」
「良かったあ。これからも頑張ります」
「この値なら、薬に切り替えてもいいかもしれませんね。切り替えてみますか?」
今の大池さんなら、薬に切り替えても安定して過ごせるだろうからな。でも、大池さんは。
「インスリンに切り替えてから低血糖もないですし、安定しているので、今はこのままで行きたいです」
「解りました。大池さんの身体からも、インスリンが出るようになるでしょうから、低血糖が増えたなどがありましたら、すぐ病院に来てくださいね。インスリンも今月から少し少なめにしましょうね」
確かに低血糖にならない、ということは、まだインスリンは身体からほとんど出てないってことだもんな。
とはいえ、毎月痩せてるから若干不安だけど、大池さんの意思を尊重しつつ、身体に気を付けて貰おうかな。
「インスリン、出るようになるといいな」
「少しずつですよ。焦らないように、です。既に大池さんは頑張っていらっしゃるから、大丈夫。一緒に頑張りましょうね」
頑張ってる人は、救われて欲しいな。それを俺も、サポートして行きたいな。助けたいな。
「有難うございます、深川先生」
「良くなるように、私もサポートしていきますね」
こうして、大池さんは診察室を後にした。
「はあ、心配だけど、インスリンで安定してるのも確かだからなあ」
「深川は良くやってるわよ。安心しなさい」
「元気でいてくれますように」
「さ、次の患者様呼ぶわよ」
◇
こうして、無事本日分の診察が終わった。
ふう、惚気んなって言われそうだけど、亜美に会いたいな。
「深川、時任さんに会いたいんでしょ?」
「な、そんなことは……あります」
嘘がつけない俺だった。
「今ならまだ内科に居るだろうし、待ってて貰うわ。今日、深川も頑張ったしね」
看護師長はそう言うと、携帯で亜美に連絡をしてくれた。少しでも会えるのは嬉しいな。
というか俺、そんなに亜美に会いたいって顔してたのかな。
看護師長に見抜かれるとは思わなかったよ。
「時任さん内科に居るから、早く行ってあげてね」
「有難うございます、看護師長」
俺は内科まで全力で走った。早く亜美に会いたい。
亜美、亜美、亜美。
しかし、勢い良く走った俺は、内科に着く直前に足を滑らせて盛大に転けた。いや、違うな。盛大に転けそうになった、だ。
「えへへ。セーフだね」
「亜美、ありがとな」
亜美が即座の所で、俺を助けてくれた。
「そんなに走ってどうしたの?」
「亜美に会いに来たよ」
俺は亜美の上から降りて、立ち上がる。
俺は亜美を、両腕で起き上がらせた。亜美、顔を見せて。
「よっと。いつもありがとな。会えて良かった」
「わ、私も会えて嬉しいよ!」
亜美は照れた顔を隠すことなく、俺に見せてくる。
やべえ、可愛すぎる。俺も思わず照れてしまう。
抱きしめたいのを抑えるのが精一杯。感情を隠す余裕が無い。
「また夜会いに来るよ」
「え、そんな無理しないで?」
「俺が会いたいの。休憩時間になったら教えて」
会うことで充電して貰ってるんだよ、俺が。
俺はそれだけ告げて、更衣室に向かう。
照れた顔が、まだ元に戻らない。
可愛い亜美を見ると、自分が制御出来ない。
最近、亜美を愛しすぎているから。
◇
「京平、亜美に会いに病院に行くのか?」
「うん。連絡入り次第」
「実は亜美には、会えない時間も大事だと言ったばかりなんだが、京平は今元気だし、止める理由がないな」
「だって、惚れてるもん」
ご飯を食べ終わった後、俺はお父さんと話していた。
亜美はダメで俺はいいのか理論にもなるけど、俺、元気だしな。抜かりはないよ。
信次はのばらさんと一緒に、部屋でご飯を食べている。バイトも訳を話して休んだようだ。
「のばらさん、ピルの変更と痛み止めも増量になったんだな」
「生理休暇も3日間になったしな。良くなるといいんだがな」
無理せず休んだことで、明日は問題なく働けそうなのは良かったけどな。
のばらさんの生理、中々軽くならないから心配だな。
「でも、信次が居るから問題ないかな」
「信次と一緒に居るのばらさん、幸せそうだしな」
「そう言うこと。じゃあ、俺、走りに行ってくるよ」
「亜美の連絡、見逃すなよ」
「見逃す訳ないだろ」
亜美が居ない時でも俺は走る。診察の時、過集中しすぎてぶっ倒れるとかしない為に。体力はもっと付けたいしな。
後、単純に程よい睡眠が出来るように。亜美が居ないと、本当に寝付きが悪いからさ。
亜美が居ない時は、少し早いペースで走るんだけど、それでも俺は時折振り返ってしまう。
亜美がいるんじゃないかって、気持ちになっちまう。
病院に着いたら、亜美を寝かせてあげたいな。
どうせ亜美は頑張りすぎてしまうから。だから、心配で会いたくなるのもあるんだけど。
「亜美、会いたい」
数時間前にちゃんと会えてるのに、もう会いたくなってる。
最近の俺、絶対重いよな? 亜美の迷惑になってないだろうか?
でも亜美、良かったらこんな俺も、受け止めて欲しいな。
それもひっくるめて、俺だからさ。
「いつもの亜美なら、そろそろ休憩時間になるかな。早めに病院行くか」
会いたいが強くなった俺は、早めに病院へ向かう。亜美からライムが来たら、もう居るよって言って、驚かせてやろうっと。
◇
「すー、すー」
「京平、疲れてたんだね。会いに来てくれてありがとね」
あれ、こんなはずじゃなかったんだけど、亜美に会えた瞬間、安心して寝ちまってる。
亜美が優しく俺の頭をポンポンしてくれてるのが、また気持ちよくて。
さっきから起きようとはしてるんだけど、幸せ過ぎて起きれないや。
なんだよ、俺、疲れてたのかよ。亜美を心配させるだけじゃねえか。
起きろ、俺。おーきーろー!
「京平、起きようとしてるでしょ? 寝てていいよ。おやすみ」
ダメだ。もうギブだ。亜美の優しい笑顔を見たら、もう気持ち良く寝ちまうよ。
会いに来といて、速攻寝てる俺にそんな優しい笑顔をくれるのは、亜美くらいだよ。
そうだな。亜美だからこそ、俺達仲良く付き合えているんだろうな。こんなに優しい亜美だから。
亜美に出会えて良かったよ。亜美だから幸せだよ。愛してる。おやすみ。
「ぐおー。すぴー」
「ふふ、寝てる京平も可愛いな。お父さんの言葉を、京平が簡単に壊しちゃった」
信一「会えない時間が……」
亜美「その理屈も、京平がぶっ壊しちゃった」
信一「無理はするなよ。亜美」