体調の悪い時は。
「ふう、さっぱりしたね」
「亜美との風呂、やっぱり楽しいや」
私との時間を、京平は楽しんでくれたみたい。
「うん、私も京平とお風呂入るの好きだよ」
「さ、早めに寝ようか」
本当なら京平とお喋りしてたいけど、私も体調良くないしなあ。
痛み止めが効いているうちに寝るのが1番だよね。
私達は部屋に戻って、お互いライムを返したりする。
私も寝る前に、蓮と友にライムしよっと。
ライムを見ると、蓮から心配のライムが届いていた。
『亜美、ゆっくり眠れたか? また元気な時に呑みに行こうな』って、来ていた。
私はそれに、『体調も大分良くなったよ。明日もしっかり寝て、月曜日からはまたバリバリ働くよん!』と、返した。
そう蓮に返したら、蓮から電話が掛かってきた。
私は、慌てて電話に出る。
『よっす、亜美』
「蓮、ありがとね。どうしたの?」
『今、友と朱音と呑んでるんだけど、亜美もリモートで参加しね?』
「楽しそう! 身体怠いから、布団に寝っ転がりながらでもいいかな?」
『勿論いいぜ』
私は京平に目配せして、リモート飲み会するよって伝えた。
京平は心配してたけど、寝転がりながら参加するよって言ったら許してくれて、笑ってビールを持って来てくれた。
こうしてライムでリモートしながら、飲み会に参加する。
「やっほー! 皆!」
「亜美、元気そうで良かった」
「顔色も大分良くなりましたね」
「亜美、良かったよおお。生理重いの辛いよね」
私は缶ビールをプシュっと開けて、皆に微笑む。
皆、心配してくれてありがとね。その気持ちが本当に嬉しいよ。
「亜美、かんぱーい!」
「かんぱーい!」
「あ、私も! 乾杯!」
「出遅れました。乾杯、亜美」
皆で乾杯して、私はビールを呑む。うん、美味しいや。皆と呑んでいるからだね。
「なんか俺も呑みたくなって来たから、ノンアル持ってこよ」
「ああ、冷蔵庫にレモンのとビールがあったよ」
「お、深川先生も参戦ですって」
「ひゅー! 楽しくなってきた」
「蓮、呑みすぎないようにね」
私が楽しく呑んでるのに安心したのか、京平も一緒に呑んでくれるみたい。
京平、普通のお酒を呑みたくなっちゃうって理由で、ノンアルすら滅多に呑まないから、なんか嬉しいな。
そうだよ、ノンアルを楽しもうね。京平。
「お待たせ。ちょっと多めに持って来たぞ。はい、亜美、おつまみな」
「おお、あたりめ好き!」
「うん、俺も好き」
京平はお盆に、ノンアルとビールとおつまみをいくつか抱えて、持って来てくれた。
京平とあたりめ食べるのも久しぶりだなあ。
呑まなくなってから、おつまみも控えていたもんね。
「亜美があたりめって意外だな」
「亜美は結構醤油煎餅とかも好きですもんね」
「解る。そういうのが美味しいんだよね」
「解ってんじゃん、佐藤さん」
そういや蓮にそんな話、したことなかったな。今回の飲み会が、一緒に呑む初めての機会でもあったしね。
逆に友には、京平とお煎餅頬張るのが好きだとか、呑むアテはなんだかんだあたりめだよね、とか、京平好き好きオーラを出しまくりながら、看護学校時代に話してたなあ。
友の当時の気持ちを考えたら、申し訳なさしかない過去だけど。
「蓮はあたりめ食べないの?」
「や、普通に食うよ。なんなら、好き」
「居酒屋にはあたりめないから、欲しくなりますよね」
「亜美と一緒に食べたかったな」
「また一緒に食べようね。今度持ってくるよ」
あ、京平が溜息吐いてる。また変なこと言っちゃったみたい。
でも、一緒にあたりめ食べようって言っただけなのに、納得いかないなあ。
「休憩時間に食べるのは、ちょい違うだろ。一緒に食べられるのは嬉しいけどさ」
「ならいいじゃん。一緒に食べよ」
「じゃあ、今度一緒に食おうか」
蓮は優しいな。私の誘いに乗ってくれるもん。
蓮のそういうとこ、好きだなあ。
「えへ、美味しいあたりめ持っていくね」
「俺は醤油煎餅持ってこようかな」
「次は宅飲みもいいかもですね」
「それなんか楽しそう!」
「うちでやるなら、おつまみ作るよ」
色々楽しくなって来たね。次の飲み会は我が家でやるのかな?
京平のだし巻き卵美味しいんだよね。
うー、想像したら、食べたくなって来たかも。
でも、我儘は良くないよね。京平だって今、呑んでるんだし。
そう思っていたんだけど。
「ん、だし巻き卵食べたいの? 作ってくるよ」
「すぐ心を読んでくる。お願いね」
「亜美の考えは常にお見通しだよな、深川先生」
京平は立ち上がって、だし巻き卵を作りに行く。
お見通しなだけじゃなくて、叶えてくれるもんな。
京平に甘え過ぎかな、私。申し訳なくて、しょんぼりする。
「亜美、落ち込む必要はないですよ。深川先生は、亜美に甘えて欲しいんですから」
「ああ、それは感じる。亜美が甘えてきた時、嬉しそうだもんな」
「バレバレよね。深川先生」
「でも、最近は甘え過ぎかな、って」
「亜美は甘えな過ぎですよ。もっと甘えていいんですよ」
そうなのかなあ。それなら、もっと甘えたいな。
明日は一緒に勉強したいな。お昼ご飯作ってあげたいな。京平としたいことが、いっぱいあるよ。
「でも、体調管理はしっかりね。皆心配したんだから」
「そうだね。皆に迷惑掛けちゃったもんね」
「体調悪いなって思ったら、周りのやつでいいから相談するんだぞ」
「そうだぞ、亜美。はい、だし巻き卵」
「あ、京平お帰り」
私はだし巻き卵を突きながら、感傷に浸る。
体調を崩すのはしょうがないにしても、その後どうするかが大事だもんね。
蓮や友に突っ込まれる前に、素直に2人へ相談すれば良かったよ。
「蓮と京平は私のこと運んでくれたし、友は看護師長と京平に連絡してくれたし、本当にありがとね」
「え、亜美、落合くんに運ばれたの?」
京平ってば、そんなに慌てて言うことないじゃん。
確かに京平としては、気が気じゃないかもだけど。
でも、そうだよね。彼女が他の男に運ばれるなんて、嫌だよね。
「ごめんね、京平」
「亜美の顔色、めちゃくちゃ悪かったもんよ」
「そうか、亜美を助けてくれてありがとな。亜美が思ったより無理してなくて良かった」
京平は優しい顔をして、私の頭を撫でてくれた。
そっか。単純に心配してくれていたんだね。相変わらず優しいね、京平。
「でも次からは、すぐに俺を呼べよ?」
「今日は信次の挨拶もあったし……」
「何よりも亜美が優先だよ。俺は」
「うん、解った」
私は返事をした後、だし巻き卵とあたりめとビールでお腹いっぱいになったのと、京平の優しい顔に癒されて、そのまま眠りに着いた。
「おやすみ、亜美」
「そろそろ飲み会もお開きにしましょうかね。深川先生も有難うございました」
「楽しかったよ。ありがとな」
◇
むにゃむにゃ。もう一杯!
あれ、私、いつの間に寝ちゃったんだろう。
私の身体は、京平の腕に包まれていた。
そして、逃げ出せない。がっちりモードだね。
ふふ、京平温かいな。お腹は痛かったんだけど、気持ちはとてもほっこりしていた。
でもやっぱりお腹痛いから薬飲みたいな。頑張って抜け出そうとしてたその時、
「亜美、薬持って来たよ。兄貴、最近離してくれないもんね」
「ありがと信次。ちょうどお腹痛くて」
私が口に薬を含むと、信次が水を飲ませてくれた。暫く経てば効いてくれるはず。
「亜美も顔色良くないし、ゆっくり寝てるんだよ」
「も、って? のばらも良くないの?」
「うん。元々生理休暇取ってたから良かったよ。のばらも亜美も、この日は大変だね」
「中々良くならないから嫌だなあ。まあ、落ち着くまで寝るしかないか」
「そうそう。無理せず、兄貴が起きる頃合いに起きといでね」
信次はそう言って、私の布団を掛け直して部屋を後にする。
信次も薬を持って来てくれてありがとね。
その薬も段々効いて来て、私も落ち着きを取り戻す。
そうなると、京平の温かい腕に包まれて寝るばかり。
昔からここが1番落ち着く場所なんだ。
京平、いつも抱きしめてくれてありがとね。
おかげで、いつも癒されてるよ。
おやすみ、京平。
◇
「亜美、少し起きれるか? 薬、飲んだ方がいいぞ」
「むにゃ、薬なら朝飲んだ……のに、痛いなあ」
「そっか、朝も痛くて目を覚ましたのか。完全に寝ててごめんな。今は昼12時だよ。もう一度薬飲んどきな」
「京平は悪くないよ。眠たかったら、そりゃ寝るもん。薬ありがとね」
朝も薬を飲んで寝たのに、昼も引き続き調子が悪いみたい。
ピルも変えたばかりだし、すぐ効かないのは解るけど、こんなに調子悪いのは久しぶりだなあ。
甘えてみようかな? 薬を飲み終えた私は、京平に甘えてみる。
「京平、頭ポンポンして?」
「いいよ。今日はずっと亜美の傍にいるから」
「ありがと。すごく落ち着くや」
多分今日は一日中寝ちゃうんだろうな。
そんな私の傍に、京平は居てくれるんだろうな。
今だって、私を優しく抱きしめてくれてるもん。
「ダメだなあ。京平とやりたいこといっぱいあったのに、こんな体調で」
「亜美は休まなきゃダメだろ。生理休暇なんだから」
「確かに。今日は寝て過ごすしかないか」
そう言うと、京平は私をギュッと抱きしめてくれた。
「えへ、温かいや」
「ゆっくり寝るんだぞ」
体調も良くないし、今日は1日京平の腕の中で過ごそうっと。
いつも有難うね、京平。愛してるよ。
私も負けじと京平を、ギュッと抱きしめた。
今日はゆっくりのんびり過ごそうね。
「むにゃむにゃ、おやすみ」
「おやすみ、亜美」
亜美「新年あけましておめでとう御座います!」
京平「今年も宜しくお願いします!」
作者「最近スローペースですが、更新頑張るので宜しくお願いします!」