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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
信次の卒業式
189/238

体調の悪い時は。

「ふう、さっぱりしたね」

「亜美との風呂、やっぱり楽しいや」


 私との時間を、京平は楽しんでくれたみたい。

 

「うん、私も京平とお風呂入るの好きだよ」

「さ、早めに寝ようか」


 本当なら京平とお喋りしてたいけど、私も体調良くないしなあ。

 痛み止めが効いているうちに寝るのが1番だよね。

 私達は部屋に戻って、お互いライムを返したりする。

 私も寝る前に、蓮と友にライムしよっと。

 ライムを見ると、蓮から心配のライムが届いていた。

 『亜美、ゆっくり眠れたか? また元気な時に呑みに行こうな』って、来ていた。

 私はそれに、『体調も大分良くなったよ。明日もしっかり寝て、月曜日からはまたバリバリ働くよん!』と、返した。

 そう蓮に返したら、蓮から電話が掛かってきた。

 私は、慌てて電話に出る。


『よっす、亜美』

「蓮、ありがとね。どうしたの?」

『今、友と朱音と呑んでるんだけど、亜美もリモートで参加しね?』

「楽しそう! 身体怠いから、布団に寝っ転がりながらでもいいかな?」

『勿論いいぜ』


 私は京平に目配せして、リモート飲み会するよって伝えた。

 京平は心配してたけど、寝転がりながら参加するよって言ったら許してくれて、笑ってビールを持って来てくれた。

 こうしてライムでリモートしながら、飲み会に参加する。


「やっほー! 皆!」

「亜美、元気そうで良かった」

「顔色も大分良くなりましたね」

「亜美、良かったよおお。生理重いの辛いよね」


 私は缶ビールをプシュっと開けて、皆に微笑む。

 皆、心配してくれてありがとね。その気持ちが本当に嬉しいよ。


「亜美、かんぱーい!」

「かんぱーい!」

「あ、私も! 乾杯!」

「出遅れました。乾杯、亜美」


 皆で乾杯して、私はビールを呑む。うん、美味しいや。皆と呑んでいるからだね。


「なんか俺も呑みたくなって来たから、ノンアル持ってこよ」

「ああ、冷蔵庫にレモンのとビールがあったよ」

「お、深川先生も参戦ですって」

「ひゅー! 楽しくなってきた」

「蓮、呑みすぎないようにね」


 私が楽しく呑んでるのに安心したのか、京平も一緒に呑んでくれるみたい。

 京平、普通のお酒を呑みたくなっちゃうって理由で、ノンアルすら滅多に呑まないから、なんか嬉しいな。

 そうだよ、ノンアルを楽しもうね。京平。


「お待たせ。ちょっと多めに持って来たぞ。はい、亜美、おつまみな」

「おお、あたりめ好き!」

「うん、俺も好き」


 京平はお盆に、ノンアルとビールとおつまみをいくつか抱えて、持って来てくれた。

 京平とあたりめ食べるのも久しぶりだなあ。

 呑まなくなってから、おつまみも控えていたもんね。

 

「亜美があたりめって意外だな」

「亜美は結構醤油煎餅とかも好きですもんね」

「解る。そういうのが美味しいんだよね」

「解ってんじゃん、佐藤さん」


 そういや蓮にそんな話、したことなかったな。今回の飲み会が、一緒に呑む初めての機会でもあったしね。

 逆に友には、京平とお煎餅頬張るのが好きだとか、呑むアテはなんだかんだあたりめだよね、とか、京平好き好きオーラを出しまくりながら、看護学校時代に話してたなあ。

 友の当時の気持ちを考えたら、申し訳なさしかない過去だけど。


「蓮はあたりめ食べないの?」

「や、普通に食うよ。なんなら、好き」

「居酒屋にはあたりめないから、欲しくなりますよね」

「亜美と一緒に食べたかったな」

「また一緒に食べようね。今度持ってくるよ」


 あ、京平が溜息吐いてる。また変なこと言っちゃったみたい。

 でも、一緒にあたりめ食べようって言っただけなのに、納得いかないなあ。

 

「休憩時間に食べるのは、ちょい違うだろ。一緒に食べられるのは嬉しいけどさ」

「ならいいじゃん。一緒に食べよ」

「じゃあ、今度一緒に食おうか」


 蓮は優しいな。私の誘いに乗ってくれるもん。

 蓮のそういうとこ、好きだなあ。


「えへ、美味しいあたりめ持っていくね」

「俺は醤油煎餅持ってこようかな」

「次は宅飲みもいいかもですね」

「それなんか楽しそう!」

「うちでやるなら、おつまみ作るよ」


 色々楽しくなって来たね。次の飲み会は我が家でやるのかな?

 京平のだし巻き卵美味しいんだよね。

 うー、想像したら、食べたくなって来たかも。

 でも、我儘は良くないよね。京平だって今、呑んでるんだし。

 そう思っていたんだけど。


「ん、だし巻き卵食べたいの? 作ってくるよ」

「すぐ心を読んでくる。お願いね」

「亜美の考えは常にお見通しだよな、深川先生」


 京平は立ち上がって、だし巻き卵を作りに行く。

 お見通しなだけじゃなくて、叶えてくれるもんな。

 京平に甘え過ぎかな、私。申し訳なくて、しょんぼりする。


「亜美、落ち込む必要はないですよ。深川先生は、亜美に甘えて欲しいんですから」

「ああ、それは感じる。亜美が甘えてきた時、嬉しそうだもんな」

「バレバレよね。深川先生」

「でも、最近は甘え過ぎかな、って」

「亜美は甘えな過ぎですよ。もっと甘えていいんですよ」


 そうなのかなあ。それなら、もっと甘えたいな。

 明日は一緒に勉強したいな。お昼ご飯作ってあげたいな。京平としたいことが、いっぱいあるよ。


「でも、体調管理はしっかりね。皆心配したんだから」

「そうだね。皆に迷惑掛けちゃったもんね」

「体調悪いなって思ったら、周りのやつでいいから相談するんだぞ」

「そうだぞ、亜美。はい、だし巻き卵」

「あ、京平お帰り」


 私はだし巻き卵を突きながら、感傷に浸る。

 体調を崩すのはしょうがないにしても、その後どうするかが大事だもんね。

 蓮や友に突っ込まれる前に、素直に2人へ相談すれば良かったよ。

 

「蓮と京平は私のこと運んでくれたし、友は看護師長と京平に連絡してくれたし、本当にありがとね」

「え、亜美、落合くんに運ばれたの?」


 京平ってば、そんなに慌てて言うことないじゃん。

 確かに京平としては、気が気じゃないかもだけど。

 でも、そうだよね。彼女が他の男に運ばれるなんて、嫌だよね。


「ごめんね、京平」

「亜美の顔色、めちゃくちゃ悪かったもんよ」

「そうか、亜美を助けてくれてありがとな。亜美が思ったより無理してなくて良かった」


 京平は優しい顔をして、私の頭を撫でてくれた。

 そっか。単純に心配してくれていたんだね。相変わらず優しいね、京平。


「でも次からは、すぐに俺を呼べよ?」

「今日は信次の挨拶もあったし……」

「何よりも亜美が優先だよ。俺は」

「うん、解った」


 私は返事をした後、だし巻き卵とあたりめとビールでお腹いっぱいになったのと、京平の優しい顔に癒されて、そのまま眠りに着いた。


「おやすみ、亜美」

「そろそろ飲み会もお開きにしましょうかね。深川先生も有難うございました」

「楽しかったよ。ありがとな」


 ◇


 むにゃむにゃ。もう一杯!

 あれ、私、いつの間に寝ちゃったんだろう。

 私の身体は、京平の腕に包まれていた。

 そして、逃げ出せない。がっちりモードだね。

 ふふ、京平温かいな。お腹は痛かったんだけど、気持ちはとてもほっこりしていた。

 でもやっぱりお腹痛いから薬飲みたいな。頑張って抜け出そうとしてたその時、


「亜美、薬持って来たよ。兄貴、最近離してくれないもんね」

「ありがと信次。ちょうどお腹痛くて」


 私が口に薬を含むと、信次が水を飲ませてくれた。暫く経てば効いてくれるはず。


「亜美も顔色良くないし、ゆっくり寝てるんだよ」

「も、って? のばらも良くないの?」

「うん。元々生理休暇取ってたから良かったよ。のばらも亜美も、この日は大変だね」

「中々良くならないから嫌だなあ。まあ、落ち着くまで寝るしかないか」

「そうそう。無理せず、兄貴が起きる頃合いに起きといでね」


 信次はそう言って、私の布団を掛け直して部屋を後にする。

 信次も薬を持って来てくれてありがとね。

 その薬も段々効いて来て、私も落ち着きを取り戻す。

 そうなると、京平の温かい腕に包まれて寝るばかり。

 昔からここが1番落ち着く場所なんだ。

 京平、いつも抱きしめてくれてありがとね。

 おかげで、いつも癒されてるよ。

 おやすみ、京平。


 ◇


「亜美、少し起きれるか? 薬、飲んだ方がいいぞ」

「むにゃ、薬なら朝飲んだ……のに、痛いなあ」

「そっか、朝も痛くて目を覚ましたのか。完全に寝ててごめんな。今は昼12時だよ。もう一度薬飲んどきな」

「京平は悪くないよ。眠たかったら、そりゃ寝るもん。薬ありがとね」


 朝も薬を飲んで寝たのに、昼も引き続き調子が悪いみたい。

 ピルも変えたばかりだし、すぐ効かないのは解るけど、こんなに調子悪いのは久しぶりだなあ。

 甘えてみようかな? 薬を飲み終えた私は、京平に甘えてみる。


「京平、頭ポンポンして?」

「いいよ。今日はずっと亜美の傍にいるから」

「ありがと。すごく落ち着くや」


 多分今日は一日中寝ちゃうんだろうな。

 そんな私の傍に、京平は居てくれるんだろうな。

 今だって、私を優しく抱きしめてくれてるもん。


「ダメだなあ。京平とやりたいこといっぱいあったのに、こんな体調で」

「亜美は休まなきゃダメだろ。生理休暇なんだから」

「確かに。今日は寝て過ごすしかないか」


 そう言うと、京平は私をギュッと抱きしめてくれた。

 

「えへ、温かいや」

「ゆっくり寝るんだぞ」


 体調も良くないし、今日は1日京平の腕の中で過ごそうっと。

 いつも有難うね、京平。愛してるよ。

 私も負けじと京平を、ギュッと抱きしめた。

 今日はゆっくりのんびり過ごそうね。


「むにゃむにゃ、おやすみ」

「おやすみ、亜美」

亜美「新年あけましておめでとう御座います!」

京平「今年も宜しくお願いします!」

作者「最近スローペースですが、更新頑張るので宜しくお願いします!」

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