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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
信次とのばら
184/238

寂しくなった時

「いってきます、亜美」


 京平は私にキスとハグをする。私も京平にハグをした。

 京平はその後、笑って駆け足で病院まで向かって行く。

 今日は2月27日。私と信次の定期検診の日で、京平は私達の為に各科へ挨拶するので、いつもより早く出ていった。


「月曜日はどうなることかと思ったけど、兄貴も亜美も段々落ち着いて来て良かったよ」

「そうだな。私達の前で躊躇いなく深いキスは、なあ」

「少しずつ、理性も強まって来たよ」


 あれから2人で話し合って、そういうのは2人きりの時だけにしようね、ってなった。

 けど、いってきますとお帰りのハグとキスは続けたいという京平の熱い要望で、人前なんだけど、それは続くのである。


「あ、僕今日バイトあるから、帰り遅くなるからね」

「知ってるよ。お弁当も用意してあるからね」

「ありがとね。今日はのばらいるから、昼は家で食べるね」


 信次も火曜日からバイトに復職して、学校とバイトと家事の三本柱で頑張ってる。

 大学始まったら遅番もやるんだって。本当に真面目だなあ。

 因みにのばらは今日中番なのだ。病院も10時半には終わるから、一緒にご飯食べられるもんね。

 私は京平と一緒にお昼食べるんだ。


「今日海里が、僕のバイト先に正社員で面接受けるんだよね」

「ほええ、確かに勝田さん良い人だから、働きやすそうだし、海里くん結構面倒見良いもんね」

「勝田さんに海里のこと話したら、連れて来てって言われたしね。育児センター、人手足りないしさ」


 そうなると、海里くんが信次の上司になるかもなんだな。

 知り合いが居るなら、海里くんも働きやすいもんね。

 信次も、海里くんに会える訳だし。


「ほら、亜美達も朝の支度するんだぞ」

「あれ、お父さんもう仕事すんの?」

「調子がいいから早めにな」

「そっか、無理しないでね?」


 いけないいけない、いつもよりのんびりで良いにしても、つい話し込んじゃった。

 朝の支度を進めなきゃだね。

 私は顔を洗って、歯を磨いて、寝癖を治して、軽くメイクをして着替える。

 今日の服は京平が選んでくれたんだ。

 そして、残りの時間は勉強するんだもんね。


「亜美、もう30分しかないから勉強は止めな」

「ぶー」

「鳴かないの。また驚かすよ?」


 もー、信次の意地悪。ちょっとくらいいいじゃんかよ。

 

「まあまあ亜美、亜美は集中したら気付かないだろ?」

「そんな……事はあるか」


 集中すると、周りの声が聴こえなくなるもんなあ。それは私の昔からの悪い癖だ。


「それならちょっとのんびり過ごそ」

「そうしな。はい、コーヒー。お父さんの分もあるよ」

「ありがとな、信次」


 ああ、コーヒー美味しいな。京平は診察の準備してる頃かな?

 さっきキスしてハグしたばかりなのに、もう会いたくなってるよ。

 今日は比較的会える日だから、そんなに寂しがる理由なんてないはずなのにな。

 うう、考えてたら、もっともっと会いたくなって来たよ。

 ダメだ。今日理性がちっとも働かない。そうか、もう月末近いから生理も来るんだ。あああああ。


「亜美、寂しいの? 顔が悲しそうだよ」

「えへ、生理近いのもあるんだろうけど、もう京平に会いたくなってるや」

「ちょっと並んじゃうけど早めに行こうか。その分、早く兄貴に会えるでしょ?」

「うん。ありがとね、信次」

「たまには僕のことも頼ってね。亜美」


 信次は私の気持ちを察してくれて、早めに病院に行こうって提案してくれた。


 五十嵐病院の受付は8時からなんだけど、病院自体は7時から開いてるから、並んで待つことが出来る。

 私達はいつもその並ぶ列が静まる頃に行くんだけど、早めに行って並ぶ方が早く呼ばれるのはある。検査も早く出来るしね。

 そんな訳で私達は、少し早いけど、五十嵐病院に向かった。


「良かった、今日そんなに並んでないから、すぐ兄貴に会えるよ」

「どうしてこんなにすぐ寂しくなるんだろう。今だって信次が側にいるのに」

「生理ってそんなもんだよ。のばらも生理のとき、ライムすごいし。寂しいって」


 生理って恐ろしいな。すぐネガティブになるもんね。

 ああ、京平の笑った顔、早く見たいなあ。


「列が動き出したね。診察券準備しなきゃ!」


 8時になり、予約受付が始まった。

 診察券を機械に通すだけの簡単なお仕事だけど、向き間違えてエラー出たら恥ずかしいから、ちゃんと確認して、と。

 あ、私達の番だ。間違いなく通して、っと。

 よしよし、受付表も間違いなくプリントされたね。


「今日は採血にのばら居ないんだよなあ」

「せめて上手い人に当たるといいね」


 ◇


「うう、僕の血管が見辛いのがいけないんだけど、何度も刺された」

「確かに信次の血管、解りづらいもんね」


 私達は患者様専用の休憩スペースで、順番を待っていた。

 あちゃあ、言い方悪いけど、下手な人に当たっちゃったかあ。

 信次、血管細いもんなあ。私は信次の身体を知ってるから出来る自信はあるけど、知らない人が見たらミスするのも無理はないかも。

 最近採血入ってないから、居残り練習もしなきゃだなあ。遅番の時とか。

 腕を鈍らせたくないしね。


「で、センサーの結果はどうだったの?」


 私はインスリンポンプのセンサーで血糖値を管理していて、病院の機械にインスリンポンプのデータを飛ばすと、月々の血糖値が改めて見れるんだ。

 それを毎月、プリントして貰ってる。


「うん、的確なインスリン注入と運動のおかげで良好だから、検査結果も大丈夫なはず!」

「センサーが大丈夫なら、まずは安心だね」


 取り敢えず検査結果が出るまでは待ちだなあ。

 今日の看護師は誰なんだろうなあ。

 この待ち時間が長いんだよね。早く京平に会いたいな。


「はふー、待ち時間が長いんだよなあ」

「この後兄貴に褒めて貰える、って考えたら乗り切れるよ、大丈夫」

「褒めて貰えるかなあ?」

「うん、亜美頑張ってるもん」


 生きる為に治療を頑張っているけど、それを解っている人がいるだけで救われるよね。

 

「ありがとね、信次」

「ようやく笑ったね、亜美。兄貴にも、その笑顔を見せてあげてね」


 そうだ、私笑えてなかったや。ずっと寂しい気持ちでいっぱいだったよ。

 笑わせてくれてありがとね、信次。今日は信次に、助けられてばかりだね。


「信次、何度もありがとね」

「亜美が笑ってないと、僕も調子狂うからさ」


 本当に私、幸せだね。

 大切にしてくれる家族がいるんだもん。


「コーヒーでも買ってくるよ」

「ありがと、亜美」


 ◇


「あ、僕達の番号が出たね」

「診察室に行かなきゃ」


 私達の25番は次の次。順番までは余裕があるけど、なる早で診察室に行かなきゃ。

 診察の前に、体重測らなきゃだしね。ああ、太ってないかなあ。心配。

 診察室の前まで辿り着いた私達は、まず体重と身長を測る。

 

「亜美からどうぞ」

「うう、勇気いるのに」


 私は恐る恐る身長体重計に乗る。

 どれどれ……うわ、1キロ増えてるや。背は伸びてないのに。

 昨日のケーキとクッキーとレモンパイかなあ、美味しくて沢山食べちゃったもんなあ。

 うう、しょんぼり。


「大丈夫だよ。亜美、見た目デブじゃないし」

「この短期間で1キロはデカいよお」

「筋肉付いただけっしょ。さーて、僕はどうかな?」


 確かに筋肉なら仕方ないし、筋肉のが重たいもんね。最近走れるようになったし。

 そして信次はどうかな? じー。


「よし、身長かなり伸びたや。176センチ。まだ伸ばしたいなあ。体重は62キロか。細いなあ」


 お、かなり身長伸びたね。京平と大差ないじゃん。

 信次もどんどん大人になっていくね。


「成長痛とかは大丈夫なの?」

「かなり痛いから、のばら抱きしめて無理くり寝てるよ。兄貴に相談して、痛み止めも飲み始めたしね」


 それなのに朝の家事やってくれたり、勉強も頑張ってるし、バイトもまた始めたんだ。

 信次、偉すぎるな。というか、そんなに詰め込んで大丈夫なのかな?


「無理しないでよ?」

「無理はしてないから、安心して」


 信次はニッコリと笑う。そっか、頑張りたいんだね。応援してるね。

 体重と身長を測り終わった私達は、空いている席に座って、順番を待ち始めた。

 後ちょっとで京平に会える。検査結果が良かったら、褒めてくれるかな?

 もしかしたら、なでなでしてくれるかな?

 なんなら、ハグ……は、流石にないか。

 家での楽しみにしておこう。


『25番の患者様、23番診察室へお入りください』

「あ、亜美、呼ばれたよ」

「やっと京平に会えるよお」


 私達は診察室に入る。そこには、見慣れた安心した顔が待っていた。


「よ、亜美、信次」

「京平、会いたかったよお」

「僕もいますよ、亜美」

「友もおはよ!」


 うわあああん。会いたかったよ、京平。

 看護師も友だし、本当に安心できるよお。


「俺も会いたかったよ、亜美、信次。じゃあ、検査結果ね。亜美のヘモグロビンA1cは、5.6。ほぼ健康体だな、頑張ったじゃん」


 京平は頭をなでなでしてくれた。にへへ、やっぱり嬉しいや。

 検査結果も良かったし、京平は笑ってくれてるし、最高だね。


「他に悪いとこは無かったけど、低血糖は気をつけろよ。フラフラしたらポンプ見て、低かったらすぐブドウ糖摂るんだぞ。俺がいる時ばかりじゃないし」

「走ってた時に一回なったもんね。気をつけなきゃ」

「これからも、この調子で頑張れよ。インスリンはいつもの量で大丈夫だよな?」

「うん。大丈夫だよ」


 そうだね、低いと思ったらすぐポンプの値をみて、ブドウ糖摂らなきゃだよね。

 前は京平が気付いてくれたから良かったものの、いつも京平がいる訳じゃないもんね。


「亜美、センサーとシルエットとリザーバーです」

「ありがとね、友」


 私は持って来た袋に、センサーとシルエットとリザーバーをしまった。

 あ、私の診察、終わっちゃった。


「じゃ、信次な。異能の上がり具合が、毎月均一なのが解ったから、次回からは簡易検査にしていくよ。異能が使いづらいとか、コントロール出来ないとかあれば、すぐ報告すること」

「うん、今んとこは大丈夫」

「後は成長痛あるから、カロナールも出しとくな」

「まだまだ伸びてるみたいだしね、僕」

「俺越えるんじゃね? 地味に悔しいんだけど」

「えー、兄貴以上は流石に伸びすぎでしょ?」


 信次も大きな異常はないみたい。良かった。

 京平より高い信次かあ、想像つかないなあ。

 そもそも私の中で、まだ信次は小さい弟のイメージだもんなあ。

 それが176センチになって、京平も運べて、春からは大学生で。

 イメージを更新していかなきゃだなあ、いい加減。


「ほいじゃ、診察終わり」

「ありがとね、京平。また後でね」

「ん、待ってて」


 大きな問題が無かったのは良かったけど、その分診察もスムーズに進んじゃって、あんまり京平と話せなかったなあ。


「じゃ、僕は先に家帰るから、薬の受け取りとお会計お願いね」

「のばらそろそろ起きるもんね。いいよ」


 私は信次からキャッシュカードを預かり、お会計と薬の順番待ちをする。

 京平が来るまで1人かあ。信次も帰っちゃったし、余計に寂しくなるなあ。

 お会計と薬の受け取り終わったら、休憩室で少し寝てようかな。寂しいのは紛れるはずだから。

 あ、もうお会計出来るみたい。番号出てるや。


 ◇


 お会計と薬の受け取りを終えた私は、寂しさのあまりこっそり泣きながら、休憩室で眠る。

 ちっ、まだ10時半か。寂しいな。

 完全に明日生理くるなあ、この寂しさは絶対それだよ、もう。

 大丈夫だよ、亜美。眠って起きたら、京平が待ってるよ。

 でも、ひとりぼっちは寂しいよ。寂しくて眠れないよ。

 ダメだなあ、また涙が出て来た。


「亜美、大丈夫か?」


 ん、誰だろ。私は顔を上げた。


「あ、蓮。えへへ、泣いてるとこ見られちゃったね」

「会計で待ってる亜美見た時、泣きそうだったから、心配で休憩入ったよ。どうしたんだ?」


 そっか、会計待ちのとこ見られてたのか。


「かなり早い休憩じゃん、ありがとね。生理近いのもあって、ちょっと寂しくなっちゃって」

「深川先生来るまで、俺と話そうぜ」

「うん。ありがとね」


 優しいな、蓮。私を心配して、ここまで来てくれたんだ。

 寂しさで埋もれていた心が、温まったよ。


「明日でいよいよ友も内科最後だな。友が、最後に深川先生に着きたいって言ったから、今日友が深川先生の担当でさ」

「京平に憧れてるらしいもんね、友」

「そうそう。友、それもあって今まで頑張ってたもんな」

「外科でのオペ看研修も、上手く行くといいね」


 同じ時期に看護学校に入って、同じ時期に入社したのに、ここで友はもっと先に行くんだもんね。

 私はのばらや友みたいに、全部をやれる自信すらないけど、今の仕事を頑張ろうと思うよ。


「俺も目指そうかな」

「ほうほう、って、何を?」

「総合医。どんな病気か解らない人を、導いてあげたいなって。最近緊急外来に入るけど、俺、全部は解らないからさ。だから、麻生先生に頼りっぱなしで。鈴木先生凄いよな、いろんな資格も持ってるし、対応出来るし」


 そっか、皆先のことも考えてるんだな。

 私は今を維持したり、今を伸ばすことで精一杯なのにな。


「でも、俺、亜美にはそのままで居て欲しい」

「え、成長できねーよってこと?」

「じゃなくて。亜美、誰よりも頑張ってるから、安心出来るんだよ、俺」

「えへ、それはありがとね」

「これからも頑張る亜美が居て欲しいな。内科に」


 頼りにされてるのは嬉しいな。私が頑張ってるとこを見てくれていたことも。


「亜美、明日の飲み会の後、ちょっと話したいことあるんだけど?」

「え、なんならここじゃダメなの? ライムとか」

「亜美に直接、2人きりで話したい」

「オッケー、場所は任せるね」

「ん、了解」


 蓮、改まって何なんだろ? しかも2人きりで話したいだなんて。

 友のことで相談とかかな? 他の人には聞かれたくないとかで。

 それとも前に言ってた好きな子のことかな?

 失恋したばかり……振ったの私だけど、失恋したばかりの友には相談しづらいもんね。

 全然ライムかここでいいのになあ。


「亜美、なんか好きなもんある? 深川先生以外で」

「え、京平以外で? 牛ステーキとオムライスと」

「食べ物言うとこが亜美らしいな」

「そ、そう言う意味じゃなかったの?!」

「どっちかと言えば、物体を聞いたつもりだったけど。あはは」


 ぶー。蓮、大爆笑してるし!

 

「ぶー!」

「いや、ごめんごめん。ツボに入った」

「でも、好きな物体って言われるとなんだろ。ゴッホはすきだけど、ポストカードとかは自分で集めたいから、牛ステーキとオムライスで間違ってないかも」

「じゃあ、話すとこ牛ステーキの美味しい店にするよ。折角だし」

「それは楽しみ!」


 楽しみだけど、飲み会で食べすぎないようにしなきゃ。

 そもそも蓮と話すし、飲み過ぎもダメだぞ、私。


「ふー。蓮と話してたら、何とか眠れそう」

「さっきまで泣いてたもんな。風邪ひくし、仮眠室で寝ろよ」

「そうしようかな。京平が来たら起こしてね」

「おう」

「おやすみ、蓮」

「おやすみ、亜美」


 蓮のおかげで、笑えるようになったし、軽い昼寝くらいは出来そうだしね。

 京平が来るまで、すやすやしてよっと。

 京平、無理しないでね。おやすみ。


 ◇


「亜美……!」

「ああ、深川先生。亜美なら仮眠室です」

「ありがとう、落合くん」

「と、その前に、亜美泣いてたぜ」

「そんな気がしてた」

「奪いに行きますから。全力で」

「亜美は渡さない」



「亜美」

「むにゃ。おはよ、京平。会いたかった」

「ごめんな、すぐ抜け出せなくて。亜美が去り際に悲しい顔してたの、気付いてたのに」

「京平のせいじゃないよ。生理近くて、ちょっとネガティブになってただけ」

「そっか。休憩室でご飯食べよっか」

「うん、一緒に食べよ!」


 また会えたね、京平。おはよう。

 起きた私と迎えに来てくれた京平は、休憩室に戻る。


「あれ、蓮もう仕事に戻ったのかな?」

「落合くんか。さっき亜美が仮眠室にいるって教えてくれたんだけどな」

「蓮ね、私が悲しそうな顔してたからって、休憩入ってくれたんだ。お礼、言えてなかったな」

「すぐに行けなくてごめんな」

「だからさっきも言ったけど、生理のそれだし、京平は悪くないよ」


 まさか蓮、私が泣いてたこと、京平に言ってないよね?

 確かに1人は悲しかったんだけど、それは私がネガティブになりすぎてただけで、京平は悪くないのに。

 蓮にも生理のそれだって言ったんだけどなあ?


「でも亜美、泣いてたんだろ?」

「やだ、蓮が喋ったんだね。生理のせいだよ。絶対明日来るよ、もう」

「確かに落合くんからも聞いたし、生理のせいだってのも解っているんだけど、傍に居たかったな、って」


 やだな、京平にこんな悲しい顔させたくなかったのに。


「京平、中庭いこ!」

「でも弁当」

「中庭で食べよ!」

「いいよ、行こっか」


 京平のおバカ。取り越し苦労だよって教えてあげなきゃ。

 私は京平を連れて中庭に行く。ここなら、誰も来ないから。

 だから、抱きしめてもいいよね。私は京平を抱きしめたまま、中庭に転がる。


「亜美……」

「私だって、京平が悲しい顔してる時は傍に居たい。でも、私達大人だもん。無理な時だってあるよ。だから、会える時に慰めてくれたらいいんだよ。一緒にいれるだけで嬉しいし」

「寂しい思いさせてごめんな」

「今は寂しくないよ! でも、一緒にいても悲しくなる時は、一緒に泣くから。半分こしたいから」

「いつも亜美はそうだよな。ありがと」


 京平が笑ってくれた。と、同時に抱きしめてくれた。


「どうしても一緒に居られない時はあるけど、その分一緒の時は、亜美を笑わせたいな」

「うん、私も!」


 その後私達は、お弁当を食べるのも忘れて、抱きしめあって一緒に眠った。

 寒空の下だし、お腹も空いてたけど、今はこうしていたかったんだ。

 安心出来る腕の中で、眠りたかったんだ。

蓮「亜美を泣かせるなんて。許さねえ」

友「ああ、亜美そろそろ生理ですもんね」

蓮「え、マジで生理近いの?」

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