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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
ともだち
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クッキーパーティー

「うう。のばらはやっぱり乙女だね。可愛いよ」

「兄貴も罪な男だよなあ」


 のばらの話を聞いて、私達は改めてのばらの「愛してる」の根本に触れたのだった。

 相変わらず何処にいても、「人を助けるのは、人として当たり前」だな、京平は。沢山の人を助けられるように、今も頑張ってる。

 そんな京平だもん、そりゃのばらも愛しちゃうよね。寧ろ、今京平が独身なのは、ラッキーでしかないのかも。

 性格も良くてイケメンだし、男らしいし、天然だし、天才だし。


「でも、気付いてくれませんでしたの。鈍いのは深川先生唯一の弱点ですわ」

「うんうん、私も気付かれてないしね」

「改めて、兄貴鈍すぎるよね」


 と、信次が頷きながらのばらと私に納得してると、信次の肩がパンっと鳴って。


「誰が鈍いって?」

「え、兄貴いつもより早くない? 体調不良?」


 ありゃ? 京平が帰ってきた。確かに今は18時15分。早番の定時は19時なので、いつもより早いのは確かだ。


「違う違う、亜美が土曜楽しみにしててねって言ってたから、休憩1時間にして早めに上がったんだよ。気になってたしな」


 そんなに気になってたのか。なんか申し訳ない事しちゃったなあ。早く帰ってきてくれたのは、かなり嬉しいけど。


「あ、深川先生、お邪魔してますわ」

「冴崎さんも居たんだね。いらっしゃい」


 何気のばらが我が家に来たのは初めてなので、京平も少し戸惑っていた。いると思わなかった人が家にいるとビビるもんね。


「とりあえず、もう解ったよね? じゃーん!」

「良い匂いがするなあ、って思ったらクッキーじゃん。確かにこれは嬉しい」


 京平が笑った。京平の笑顔が見られて良かった。


「あ、深川先生、冴崎初めてクッキー作りましたの。深川先生に食べてほしいのですの」

「お、初めて作ったんだ。美味しそうだな。ありがと」

「さ、コーヒー淹れてるから皆で食べよ」


 こうして、皆でクッキーを食べ始めた。やっぱり信次のクッキーは基本のクッキーでも美味しいし、のばらも信次がかなり苦戦しただけあって美味しく仕上がっていたし、勿論私のも美味しい。と、私は思っている。


 京平は、予想通りのばらから貰ったクッキーを先に食べていたが、すぐ綺麗に無くなった。京平の好きなものに関する食欲は、相変わらず凄いなあ。


「冴崎さんありがと、美味しかったよ」

「冴崎も食べて貰えて嬉しかったのですわ」

「食用の薔薇とかお洒落だったしな」


 あ、のばらの顔が赤くなった。愛してる人に、美味しかったって言われるのは嬉しいよね。照れちゃうよね。

 

「皿のも食べていい感じ?」

「食べて食べて。亜美が材料買いすぎて沢山作ったんだ」

「それじゃ、こっちもいただきます」


 京平はコーヒー片手に、クッキーを美味しそうに食べていた。どれが私のか、解ってるのかな?


「あ、私達のどれか解る?」

「チューリップとかのが信次だろ? ボックスクッキーは亜美だろ?」

「流石。よく解ったね」

「そりゃ、何度も焼いて貰ってるしな。ありがとな。美味しいよ」


 京平はまた笑いながら、私の頭を撫でた。ちょっと、のばらがいるというのに……!

 これは京平にとって、妹スキンシップだから、気にしすぎないといいけど。

 って、私はまた愛のライバルを心配しすぎる。お人よしが過ぎる。


 でも、のばらは冷静だった。というより、かなり緊張していた。そうだ、このクッキーパーティーが終わったら、のばらは告白するんだもんね。


「いやあ、仕事後のクッキーはいいな。疲れが取れるよ」

「喜んでもらえて何よりだよ」

「信次もありがとな。コーヒーも今日は特に美味しいよ」


 そんなのばらの状況も梅雨知らず、京平はまだ美味しそうにクッキーを食べていた。凄いな、私そろそろお腹パンパンなんだけどな。

 そして、コーヒー豆は亜美ちゃんが買って来たんだぞー!

 でも、信次が淹れたコーヒー、何故か知らないけど美味しいんだよなあ。ああ、癒し癒し。


「あの、深川先生」

「ん。冴崎さんどうしたの?」

「クッキー食べ終わったら、少し外で2人きりでお話しませんこと?」

「おー。いいぞ。冴崎さんが話したいとか珍しいな」


 あ、遂にのばらがジャブを打った。これで2人が話すことは確定したね。一体、どうなるんだろう……。

 応援したいし、成功して欲しくもないしで、本当に頭がごちゃごちゃだよお。


「亜美、どうしたんだ? 大丈夫か?」

「な、何が?」

「だって、なんか冷静じゃないし」

「そ、そんな事ないけど」


 あー、流石にこれは嘘を吐かないと誤魔化しようがないよ。で、多分バレちゃうよ。

 ここはすかさず、のばらがフォローをいれた。


「亜美、明日の深川先生とのお出かけ、楽しみにしてらしたものね」

「ん、本当にそれで?」

「そうそう、楽しみでドキドキしちゃって」

「なーんか怪しいけど、まあいいや」


 ふー、何とか誤魔化せた。有難うのばら。

 でも、本当に冷静にならなきゃ。まだ私は何にもしてないんだから、焦っちゃダメじゃん。


「あー、美味しかった。ごちそうさま」

「嘘、あんなにあったクッキーが無くなった?!」

「美味かったぞ! 有難うな」


 結局京平が沢山食べてくれたお陰で、クッキーは綺麗に無くなった。


「じゃあ、深川先生、ちょっと宜しいかしら?」

「うん。いいぞ」


 遂にのばらの告白タイムが始まる。

 私まで緊張して来ちゃうよー!


「じゃあ、ちょっと出かけてくるからな。帰ってきたら茶漬け食いたい」

「え、まだ食べるの? 解った、準備しとくよ」


 京平の食欲に絶句しながら、私は京平とのばらを見送った。

 どんな結果になるかは解らないけど、もしのばらが京平と付き合う事になったら、おめでとうって言える私でなくちゃ。


「亜美、落ち着きなよ。大丈夫だよ」

「だって、のばら可愛いもん」

「確かにのばらさんは可愛いけどさ」


 グサッ。そうだね、私は可愛くないもんね。


「僕達は待ってよ。亜美、一緒にお茶漬けつくろ。兄貴、寒空の下で告白されるんだしさ」

「そうだね、慌てても仕方ないもんね。美味しいお茶漬け作るぞ!」

京平「クッキー美味かったぞ、ありがとな」

信次「兄貴の食欲にはびっくりしたよ」

京平「疲れた時には甘いものっていうだろ?」

亜美「喜んで貰えてよかった」


作者「ついにのばらの告白だね」

のばら「心臓がまろびでそうですわ」

作者「作者みたいな告白はすんなよ?」

のばら「それは絶対しませんわ!」

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