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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
変化する日常
138/238

単純に、愛しいって、想う。

「さ、コイモバイルに行くぞ」

「私もプラン見直そうかなあ。ギガ余ってるし」


 私達は皆コイモバイルで契約している。理由は簡単、安いから。

 色々節約してるんだよね、私達。

 京平、私達には新しいのにしろよっていうのに、自分はずっと古いの使ってたからなあ。

 少しは使い勝手良くなるといいな。


 私達は近くのコイモバイルの店舗に辿り着いた。

 少し待ち時間もあるみたい。その間に、京平のスマホ候補を見繕ってみる。


「この最新機種のアイポン37プロなんていいんじゃない?」

「や、アイポン34でも充分だろ」

「私たちのでも、アイポン36なのにー」


 本当に京平は自分のことをケチるからなあ。その浮いたお金で買うのは、いつも医学書だし。

 散髪も自分でやっちゃうからなあ。ケチりすぎでしょ!

 確かにスマホ、安くないんだけどさ。


「強いていうなら、アイポン15が残ってれば」

「ある訳ないでしょー!」


 そんな事を話してる内に。


「15番のお客様ー」

「あ、俺達呼ばれたな」


 んも、このままだと京平は型落ちのやつに替えちゃいかねないぞ。

 何とか説得しなきゃ!


「すみません、スマホがぶっ壊れてしまいまして、新しい機種に交換したいんですが」

「深川様、お待たせしました。あら、派手にやらかしましたね。SIMカードが生きてるか確認しますね」


 コイモバイルのお姉さんは、破壊したスマホからSIMカードを取り出して、状態を確認し始めた。


「良かった。SIMカードは生きてますね。なので、機種を選んでいただければ、すぐ使えますよ」

「破壊したスマホは直せないですよね?」

「アイポン15は、その、古過ぎて無理ですね……」


 もはや現代では化石化したスマホを直そうとするなよー!

 

「そうですか。じゃあアイポン34のブラックで」

「も、今は在庫がないですねえ」

「アイポン34自体がないんですか?」

「はい、おっしゃる通りです」


 三世代前のなんて、携帯ショップにはないよなあ。

 いいから最新機種にするんだ、京平!


「それに今ならキャンペーンと、長年使っていただいているので、どの機種でも同じお値段ですよ。お客様はポイントもありますし」


 本当だ。ポスターにデカデカと宣伝されている。2年使えば、値段は一緒みたい。


「それなら新しい機種のがお得ですね」

「そうなんですー。アイポン37プロもポイントを使えば、同じ値段に出来ますよ!」

「ああ、俺、ライムと写真機能しか使わないので、普通ので大丈夫です」


 流石にプロは無用の長物か。確かに京平、基本的なのしか使わないもんね。


「では、アイポン37でお願いします。色はブラックで」

「かしこまりました。少々お待ちください」

「分割費用は、月7000円かあ。プラン見直そうかなあ」

「京平はギガ余ってないから、見直す必要ないじゃん」


 相変わらずケチるなあ。アイポン37が月7000円で使えるなら安いのになあ。


「お待たせしましたー! すぐSIMカードを差し替えてお渡ししますね」

「お願いいたします」


 後でフィルム買って貼らなきゃね。

 京平が貼ると、いつもズレちゃうんだよ。

 ケースも京平らしいの選べたらいいな。


「お待たせしました。移行の手続きはお客様でお願いします。他に何かお困りごとはございますか?」

「はい、ギガが余っているんですが、もう少し低めのプランはありますか?」

「えっと、契約を確認しますね。電話番号とお名前をお願いします」

「時任亜美です。番号は、0990-5656-8686です」

「確認できました。時任様のプランは、3ギガですね。これより低いのはないですけど、皆さんの契約を合わせて安くすることは出来ますよ」


 お、皆の契約をまとめるのか。


「深川様が5ギガ、時任様が3ギガ、時任信次様が7ギガのプランなのですが、家族で20ギガをシェアするプランなら、2000円安く使えますよ」

「お、容量も結果的に増えますね」

「はい、そうなんです」

「では、プラン変更をお願いします」

「かしこまりました。来月から適応になります」


 お、私のプランを見直そうと思ったんだけど、かなり安くなったぞ。信次、毎月容量足りなくなるから、容量増えるのもありがたいね。

 京平は、フィルムとケースもコイモバイルで買う。


「ありがとうございました」


 毎度、コイモバイルは良い提案をしてくれるから嬉しいなあ。


 ◇


「あ、亜美。フィルム貼って」

「りょっかい!」


 家に着いた私達は、暫しの休憩をしてたんだけど、京平がフィルムを貼るようにお願いしてきた。

 素直に頼ってくれたのは嬉しいな。綺麗に貼るからね。


「綺麗に貼れたよ」

「ありがとな。ケースを付けて、っと」


 新しいケースも、シックな感じでカッコいい。


「よし、クラウドからデータ移行も無事できたぞ」

「これでスマホ復活だね!」


 京平は、まずは院長にスマホが替わって使えるようになった旨を送っていた。

 その後、武さんにお礼のライムを送る。

 そして。


「亜美との写真撮ろっと」

「うひゃ」

「お、画質綺麗。替えた価値はあったな」

「ぶー」


 もー。急に撮影するんだから!


「はは、悪りぃな。でも、亜美可愛く撮れたよ」

「そ、それならいいけど」


 とか言っといて、普通に変顔の時もあるからなあ。どんな私も可愛く見えてるのかな?

 そう思ったら、なんだか嬉しいや。ありがとね、京平。


「さてと3時か。早めに走りに行こう」


 と、私は提案したんだけど。


「ごめん亜美、ちょっと今眠いから俺は昼寝してるよ。夜ご飯は作るからさ」


 無理もないね。2日続けて休日出勤までしてるし、京平だって若くない。


「じゃあ、1人で走ってくるね。さ、京平は早く寝た寝た!」

「ふわあ、ありがとな。おやすみ、亜美」


 京平はあくびを置き土産に、部屋に入って行った。


「相当眠そうだったね。大丈夫かな?」


 走り終わっても寝てたら、そのまま寝かしといてあげよ。

 よーし、ジャージに着替えたし、走りに行くぞ!


「いってきまーす!」

「すー」


 早くも京平の寝息が聞こえてきた。


 ◇


「今日は5キロ目指そうかな」


 距離は長いけど、ゆったり走るから問題はないね。

 ヘモグロビンA1cを少しでも下げるために、私の為に、京平の為に頑張るぞ。

 身体を大きくゆったり動かして、前へ。少しずつ走っていかなきゃ。


 私、少しずつ成長できてるよね。いつか京平と一緒のペースで、走れるようになりたいな。

 軽くで10キロ走っちゃう京平との距離はまだまだ遠いけど、少しずつ、だね。

 ちょっとずつだけど、走りやすくなってきた気がするよ。

 身体も出来上がって来てるのかな?


 と、京平が無理しないでくれて良かった。

 最近正直に言ってくれるのが嬉しいよ。

 この後も無理に起きたりしないでね。眠たかったら寝続けていいんだから。

 京平は頑張ってるんだもん。

 夜ご飯も思いついたから、安心してね。


 ◇


「ただいまー」


 17時頃に家に着いたんだけど、京平はまだ寝ているみたい。

 それなら夜ご飯は、私が作ろうかな。

 私は手を洗って、エプロンに着替えて調理を始める。


 まずは野菜を切って、小麦粉を水で軽く溶いて。

 それを野菜に付けて、油で揚げる。狐色になるまでこんがりね。

 これを沢山揚げる。3人分だもんね。

 ふー、美味しそうに揚がったぞ。後はお漬物を刻んで、ご飯を盛って出汁茶を用意して。完成!

 のばらにも、夜ご飯出来たよってライムしとこ。

 さ、京平の様子を見てこよ。

 ご飯が温かいうちに食べてほしいけど、まだ寝てるかな?


「京平、寝てるかな?」


 京平のスマホはアラームをけたたましく鳴らしているけど、京平はぐっすり眠っていた。

 デートの日も早く起きてたし、そりゃ眠たくなるよね。

 私は京平のスマホをアラームを消して、京平の隣で寝てみる。


 お疲れ様、京平。愛してるよ。

 京平が起きるまで、隣にいるからね。

 私はそっと、京平に口付けをした。

亜美「寝てる京平を見て、愛しいなって思うんだ」

海里「乙女っすね、亜美さん。俺も恋してえっす!」

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