お疲れ様!
「亜美、お疲れ」
「京平もお疲れ!」
ふいー、久しぶりの仕事もようやく終わったよ。
うちの病院は今日から休み明けだけど、患者様も定期通院以外はほとんどいなかったなあ。
蓮に1日着いてたけど、17時までに予約患者様は診終わってたしね。
私達はお互い着替えて、今から帰るとこ。
「それと、友、大丈夫だった?」
「飯は食わせたし、本人も寝るって言ってたし大丈夫。何かあったらライムするよう言っといたし」
「ごめんね京平、私の代わりに。まだ、友、私をみると震えてたから」
本当は私、友が調子悪い事知ってたんだ。
でも、私を見た友は、凄い作り笑いしてるのと、震えていたのが解ったから、京平に相談したんだよね。
ごめんね、友。友達なのに傷付けて。
「だから亜美は悪く無いってば」
「ありがとね、京平」
京平、いつもありがとね。愛してるよ。
「じゃ、帰ろ」
京平は私の手を握って、優しく笑いかけてくれた。
「今日のお節とお雑煮も楽しみ!」
「亜美お節好きだもんな」
「我が家のお節は世界一だもん」
「皆の食べっぷりを見てると、今日でお節も終わりかな」
確かに昨日の段階で、タッパーまで行ったしなあ。
我が家のお正月は早々と終わりそう。
「「ただいまー」」
「おかえりなさーい」
「今日はのばらさん中番だよな」
「そ。のばらのお節はもう分けといたよ」
流石信次。行動が早いなあ。
のばらも我が家のお節、気に入ってくれたもんね。
のばらは黒豆にハマってたよ。
「と、亜美、ちょい部屋来て」
「え、いいけど、なあに?」
早めの晩御飯になるかなあ、と思ったら、なんなんだろ?
部屋に入ると、京平が深妙な面持ちで語り始めた。
「亜美、日比野くんにごめんねする時に、俺に嫌われても、俺を愛し続けるって言ったらしいな?」
「そうだよ、私の本音だよ。しつこい、よね」
京平が私を嫌いになってもね、私は京平の事を愛する自信があるよ。
これはもう揺るぎない真実だから。
しつこいかな、やっぱり。
すると京平は、私をギュッと抱きしめてくれた。
「バカ、そんな事嘘でも言うなよ。俺が亜美を手離す訳、ないだろ」
「ごめんね、確かに京平が私を手離す訳無かったよね」
「日比野くんの為に言ったんだろうけど、もう言うんじゃないぞ。亜美に傷付いて欲しくない」
「ありがとね、京平」
やっぱり優しいね、京平。俺の愛を疑うなボケが! って言われても仕方ない事いっちゃったのに、そうじゃなくて、私を心配してくれて。
私も嬉しくて京平を抱きしめた。
そしたら、京平は目をとろんとさせて、私にキスしてくれた。
「いつだって抱きしめたいし、キスしたいんだからな。忘れんなよ」
「うん、ありがとね。愛してる」
「じゃ、ご飯食べよ」
「お雑煮も楽しみだよ」
京平ね、お雑煮も美味しく作るんだよ。
金平と一緒に、感動しながら食べるんだ!
そんな訳で、2人で食卓に向かった。
「信次お待たせ、今から雑煮作るな」
「夜にはのばらの分も作ってあげてね」
「了解、雑煮は出来立てが美味いからな」
京平は手際良く白菜を切って、お雑煮の準備を始めた。
京平のお雑煮は、京平の生まれ故郷ので、白菜とお餅だけのシンプルなものだけど、すごく美味しいんだよね。
そもそも京平は愛知県の養護施設で育って、大学入学と同時に東京へ来たみたい。
京平が東京へ来てなかったら、私達会えてなかったし、なんか運命的だよね。
「ほい、お雑煮できたぞー」
「うほ、今日も美味しそう!」
「お雑煮も兄貴には敵わないなあ」
「あ、並べるの手伝うね!」
うーん、良い匂い。この鰹出汁の匂いがまたそそられるんだよね。
私は皆のお雑煮を配膳した後、ピルを飲んで、血糖測定とインスリン注入を行った。
「お節もあるし、正月2日目だな」
「「「いただきます」」」
「うおお。お雑煮の鰹出汁が、醤油とお餅と絡み合って美味しいよおお。金平もシャキシャキ美味しいし、数の子のプチプチ感も!」
「亜美、一気に食い過ぎだぞ」
「てへ」
でも、そうしたくなるくらい美味しいんだよね。
「我が家のお正月も、今日で最後かあ」
「お節無くなるしな」
「今年も良い年になるといいね!」
うん、家族皆で笑って過ごせますように。そんで、のばらはお仕事頑張ってね。夜は京平とのばらのお雑煮作ろうかな?
「僕も5日から学校だし、普通の生活に慣れていかなきゃ。学校の授業の時間も受験勉強したいよ」
「こら、真面目にやるんだぞ」
「はーい」
うわ、絶対信次授業中にも受験勉強やるな、こりゃ。信次が嘘つく時はやたら返事が良いもん。後、妙に明るかったり。
京平は気付いているのかなあ?
まあ、いいや。ああ伊達巻美味しい。
「よーし、この後は走るぞ」
「ダーメ。まだ生理終わってないだろ」
「もう痛く無いから大丈夫だよ」
「無理は良くないぞ。今日も早めに寝な」
ぶー、京平の意地悪。もう大分体調良いのに。
確かに出血量は、まだまあまああるし、ちょっと貧血気味だけどさ。
「亜美、無理は良く無いよ。いつもより顔青いもん」
「そうそう。バレバレだよな」
「ぶー!」
皆意地悪! 解ってるんなら、そう言えばいいじゃんよー!
「ははは、俺達に隠し事は出来ないな、亜美」
「解ったよ、早めに寝とくよ」
「それがいいよ、無理しないでね」
でも、心配してくれてるんだよな。そこはありがとね、2人とも。
「ごちそうさまでした」
「俺も、ごちそうさまでした」
「お風呂作ってあるから、入っといでね」
「ありがとね、信次」
久々の仕事で疲れたからなあ。お風呂すぐ入れるのは嬉しいね。
私と京平は着替えを持ってお風呂に向かう。
ふふ、もう一緒に入るのが当たり前になって来たね。
「そう言えば京平は走らなくて良かったの?」
「亜美が青い顔してる時に、走りに行けっかよ」
「ありがとね、京平」
いつも優しいね、京平は。
私達は服を脱いで、お風呂に入る。
「背中流すからな」
「いつもありがとね」
いつも真っ先に、私の背中を流してくれてありがとね。
すごい癒されてるんだよ。
「はううう、気持ち良いいい」
「久々の仕事で疲れただろうしな。亜美も結構こってるなあ」
「そうなの、最近疲れが簡単に取れなくて」
「重労働だしな、看護師って」
まだ私も若いのに、最近疲れが残っちゃうんだよね。
それだけ頑張ったってことかな?
「でも、京平の顔を見ると、いつもホッとするんだよ」
「亜美を安心させられてるなら良かった」
すれ違って京平を見た時、お疲れ様って言い合えた時、全部癒されてるんだよ。
「ほい、交代な」
「気持ち良かったあ。ありがとね」
よし、次は私が流すからね。
京平の広い背中に、毎回ドキドキしちゃう。
私もマッサージしてあげよ。
肩と肩甲骨の辺りをほぐしてみた。
「あー、気持ち良いわ。俺、かなりコリが激しいからな」
「京平がこってるの、いつもこの辺だもんね。次は腰行くね」
いつも頑張ってる京平だから、身体も疲れているもんね。
少しでも楽になるといいな。
「ああ、効くわあ」
「それなら良かった」
でも京平のマッサージって体力使うんだよね。
ガチガチに硬いからさ。そんな訳で。
「疲れたああ」
疲れちゃった私は、洗い立ての京平の背中にもたれかかった。
「ああ、ごめんな、亜美」
「謝らないで。私が勝手にやっただけだから」
「ありがとな。いつも俺を癒してくれて」
「へへ、どういたしまして」
それから、疲れた私の代わりに京平が私の頭と顔も洗ってくれた。
本当にありがとね、京平。
「はい、くまさん」
「もー!」
悪戯もされるんだけど、ね。
お互い全身を洗ったら、湯船に浸かりながらまったりタイム。
京平が湯船で後ろから私を抱きしめてくれたよ。
「亜美とこうしてる時、なんかいいな」
「うん。私もこういうの好き!」
「それなら良かった」
と言いながら、京平は強く抱きしめてくれた。
こうやって京平は、愛してるを伝えてくれるよね。
いつもいつも愛してる。
「ずっと抱きしめてたいけど、のぼせちゃうからそろそろでよっか」
「うん、今日も幸せだったよ」
この後はお雑煮手伝いたかったけど、明日もあるから早めに寝ようかな。
自分の体力と向き合うと、もう眠たかったりするんだよなあ。
着替える体力がギリ残ってる感じ。
「ふわあ」
「眠そうだな。この後は寝るんだぞ」
「うん、寝付くまで側にいてね?」
「勿論、側にいるよ」
京平は私の髪を拭きながら、微笑んでくれた。
亜美「友が眠れたなら良かった」
京平「日比野くんなりに、亜美を守ろうとしてくれたしな」
亜美「そんで私の体調、中々万全にならない!」
京平「生理の日は無理するなよ」