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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
お受験勉強と僕ら
120/238

おねんねする亜美

「さ、2人とも、昼になったら薬飲めるから、それまではゆっくり寝てなね」

「のばら、寂しいのですわ。信次と一緒に居たいのですわ」

「私も、京平と居たいな」


 私ものばらも、生理の時は甘えたくなるタイプみたいだね。

 困らせちゃうのは解ってるんだけど、傍に居て欲しいよね。


「しょうがないな、一緒に寝よ。亜美」

「僕も、ちょっと昼寝したかったから、のばらと寝ようかな」


 私達の王子様は、優しく私達の要望に応えてくれた。ありがたいね。

 

「じゃあ、のばらは僕の部屋にいこっか。よっこらしょ」

「の、のばら歩けましてよ?」

「僕が抱きしめたいの」


 のばらはお姫様抱っこで、信次の部屋に連れて行かれた。


「亜美、傍にいるからな」

「ありがと、嬉しいよ!」


 私が辛い時にはいつだって傍にいてくれる。そんな京平も愛してるよ。

 京平は私を抱きしめながら、お腹も温めてくれた。


「水もあるからな」

「今は、京平が欲しい」

「そっか、このまま抱きしめさせてね」


 どんなに辛くても、京平が傍にいたら安心するんだ。すごいね、京平って。

 

「眠くなって来たや」

「おやすみ、亜美」

「おやすみ、京平」


 京平の腕に包まれながら眠れるの、本当にすきだなあ。幸せだなあ。


 ◇


 それから、お腹が痛いながらも、京平に抱きしめられているから気持ちよく眠れて、どれだけ経っただろう。

 京平、ずっとお腹を温めてくれたみたい。少し痛みも和らいだよ。


「おはよ、亜美」

「おはよ、京平。お腹温め続けてくれて、ありがとね」

「ん、当たり前のことだから気にすんなよ」


 全然当たり前じゃないよ。いつも、本当に優しい。


「いま何時くらいかな?」

「1時だよ。薬飲むついでに昼ご飯も食べよっか」

「やっと薬が飲めるよお」

「じゃあ、ちゃっと作ってくるから待ってろよ」


 そっか、信次もお昼寝してるし、ご飯作る人が今いないんだ。

 昼寝した信次、絶対起きないもんね。

 寂しいけど、薬もご飯も欲しいから待ってなきゃ。

 ところが、思ったより早く京平はやって来た。


「お待たせ」

「え、早。もう作ったの?」

「海里くんが昼ご飯作ってくれたんだ。良いとこあるよな」


 確かに海里くんのお味噌汁美味しかったし、そこは心配ないだろう。

 ひとりぼっちにさせちゃったのに、優しい所もあるんだなあ。


「信次も海里くんが起こしてくれてたしな」

「海里くんマジ天使じゃん」


 京平は私のご飯と自分のご飯と、薬を持ってきてくれてた。

 ご飯の時でさえ、傍にいてくれてありがとね。


「うほ、炒飯だ!」

「ちゃんとパラパラだし、やっぱ海里くん料理出来るなあ」

「「いただきます」」


 うん、海里くんの炒飯、京平のとも信次のとも違うんだけど。


「独特の味わいが核となって、炒飯全体をまとめていて美味しいなあ。しかもパラパラなのが良い!!」

「海老炒飯だな。海老の殻で出汁を取って、それも炒飯に入ってるんだ。小さい海老、奥にしまってたのによく見つけたなあ」


 なるほど、海老の出汁かあ。また一つ勉強になるなあ。


「後、亜美に食べさせてあげてって、これも」

「お、レバニラ炒め! いま貧血だから嬉しいな」


 海里くん、普段は空気読めないのに、今日はめちゃくちゃ気が効くじゃん。


(あかり)さんは生理軽い方らしくって、亜美達の状態見て、海里くん、かなり心配してたみたいだな。(あかり)さんから、生理の時によく頼まれるから作ったんだって」

「ほええ、(あかり)も、よく食べてるんだね。このレバニラ炒め」


 にしても、(あかり)は生理軽いのかあ。羨ましいなあ。

 それでも鉄分不足にはなるから、レバニラ炒めなのかな? 姉弟(きょうだい)仲良くていいね。


「うん、レバーの歯応えとニラのシャキシャキ感がすごい美味しい。生理の時ってただでさえ食べ過ぎちゃうのに、完食まっしぐらだ」

「はは、海里くんも喜ぶな、それは」


 はむはむ、美味しいなあ。京平と一緒だから、尚更美味しいよ。ありがとね。

 でも、私といる事で信次達の勉強合宿が進まなくなっちゃうよなあ。


「今日は、亜美の傍にいるから気にすんなよ?」

「でも、信次達の勉強が……」

「手作り問題集渡しといた。今日明日は自習で、明後日に丸付けだな」

「ああ、よく考えたら、明日は年末かあ。お節作りたかったなあ」


 我が家では、年末にお節を皆で作っている。

 今日は12/30。もう明日が年末。つまり、生理とモロ被りな訳で。

 今年も後わずかだなあ。


「薬が効けばいいけど、貧血や怠さもあるし、無理しない方がいいな。亜美の好きなお節にするから、安心して寝てろよ」

「数の子と伊達巻多めね?」

「ん、了解。お節の黄色いのすきだもんな」

「後ね、きんぴら!!」

「沢山作るからな」


 お手伝いは出来なそうだけど、京平と信次が作るお節は楽しみだなあ。

 夜には一緒にテレビ見れるように、明日もゆっくり寝とこっと。


「ごちそうさまでした」

「完食できたな。薬飲むんだぞ」

「薬、今度こそ効くといいなあ」


 イヴも飲まないよりは良かったけど、痛み残っちゃったからなあ。

 仕事の時はこっそりイヴを二倍飲んで何とかしてたけど、京平がいる時はそれは無理な相談で。

 あんまりロキソニンは飲まないんだけど、どうかな?


 んぐ。ロキソニン60mgを2錠と、ロキソニンの副作用を考慮した胃薬。

 効くまでゆっくりしてよ。私はもう一度布団に潜り込む。


「食器片付けてくるな」


 ああ、また京平が行っちゃった。ちょっと寂しいな。

 京平ってば、自分が寂しい時は行かないでって言う癖に、私が寂しい時は普通にどっか行くからなあ。

 寂しいって言えば良かったかな?

 でも、食器持ってくだけだぞ。我慢しなさい、亜美。

 本当に我儘すぎる、私の本音。常に京平を欲しがってしまう。


「いいんだぞ、弱ってる時こそ甘えろよ」

「京平、寂しかった」

「いっぱい抱きしめるからな」


 今日だけでどれだけ本音を読まれた? そんで、いつも欲しがってるものをくれる。

 すっぴんパジャマで、全然可愛くない亜美なのにな。優しい。


 京平は私をギュッと抱きしめて、また見抜いてくる。


「今の亜美も可愛いよ。可愛くないなんて思うなよ」

「ありがとね。いつも助けてくれるよね」

「本音言っただけ。助けたつもりはないよ」


 そう言いながら、京平は私にそっとキスをする。

 今日はキスでさえも優しいね。

 薬もちょっとずつ効いてきた。から、私も京平に、そっとキスをする。

 そしたら、頭をポンポンしてくれた。無理をしないでねって言いたいんだね。

 そうだね、身体も怠いしまだお腹も痛むから、ゆっくり寝ようかな。

 そもそも抱きしめられた時から、段々と眠たくなって来たしね。


「私、幸せだな。愛してる人の腕の中で眠れるんだもん」

「俺も幸せだよ、亜美」

「おやすみ、京平」

「おやすみ、亜美」


 なんで京平と寝てると、こんなに安心するんだろう。

 今だってお腹温めてくれてるし、そんな優しい人だからかもしれないね。

 だから、今、愛してるんだもんね。

 私を幸せにしてくれてありがとね。京平。

京平「ゆっくりおやすみ、亜美」

信次「てか、兄貴の問題集難しいよお!」

京平「ふふ、甘えさせねえからな?」

海里「俺なんて昼飯作って問題集やってんだぞ。彼女もいねえし」

信次「良い出会いがあるといいね」

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