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天然で鈍感な男と私の話  作者: 九條リ音
お受験勉強と僕ら
119/238

2人は大丈夫?(京平目線)

 亜美が眠ってから凡そ30分後、まずはのばらさんが呼ばれた。

 のばらさんも眠ってたらしく、信次が揺さぶって起こしてる。


「のばら、呼ばれたよ」

「んん、少し楽になりましたわ。ありがとね、信次」


 その次が亜美かな。顔色はあまり良く無いな。

 出血量が多いんだろう。可哀想に。

 せめて気持ち良く眠れるよう、俺は亜美のお腹を温め続けた。

 亜美に何事もありませんように。

 そう祈りながら。


「むにゃむにゃ、京平ありがとね」


 何言ってんだよ、お礼を言うのは俺の方だよ、亜美。

 いつも傍に居てくれてありがとな。いつも笑ってくれてありがとな。

 亜美の存在が、いつだって俺を勇気付けてくれているんだぞ。


「ありがとな、亜美」


 ◇


「218番のお客様、4番診察室前までお越しください」


 おっと、亜美が呼ばれたな。よっこらしょ。

 折角寝てるのに、起こしちゃ可哀想だしな。

 しばらくは診察室前で待つのだし。

 診察室前まで行くと、のばらさんと信次も待っていた。検査の結果待ちかな?


「あら、深川先生。今亜美も呼ばれたのね」

「ああ、どうせ待つだろうから、亜美は起こさずに来たよ」

「亜美の顔、かなり青いですものね」


 そういうのばらさんの顔も青いんだけど、座って話せるくらいにはなったのか。

 

「のばらは子宮の検査を色々して、いま結果待ちだよ」

「エコーとかもありましたわ」

「そっか。色々検査があるんだなあ」


 俺もまだまだ勉強不足だな。生理の医学書もポチらねばなるまい。

 亜美、検査多くなるから、頑張るんだぞ。傍にいるからな。


「217番の患者様、5番診察室へどうぞ」

「あ、のばら呼ばれましたわ。行きましょ、信次」

「うん、何事も無いと良いね」


 信次とのばらさんは、診察室に入っていった。

 その次は亜美が呼ばれるかな?

 

「218番の患者様、4番診察室へどうぞ」

「亜美、起きな。今呼ばれたぞ」

「んん、おはよ。京平」

「おはよ、亜美。スリッパそこにあるからな」


 そう、俺達は慌てて亜美達を抱えて出て来たから、亜美とのばらさんの靴を持ち忘れたのだ。

 そんな訳で、スリッパを病院から借りといた。

 亜美にスリッパを履かせて、俺達は4番診察室に入る。


「こんにちは。検査担当の看護師のさと……って、亜美じゃん。顔真っ青じゃん」

「朱音! いやあ、生理痛が重くてさ」

「佐藤さん内科なのに手伝いかな?」

「そ、御手洗(みたらい)先生に呼ばれてね。もうすぐ先生くるから、亜美はその椅子にパンツ脱いで座って」


 パンツ脱いで、ということは……。


「俺は出た方がよさそうだな」

「え、傍にいてよ……」

「いや、でも、亜美の」


 そうだぞ、ただの子宮の検査だぞ。亜美の傍にいるって決めたんだから。

 でも、だからとはいえ。


「絶対勃つから外に出なさい、深川先生」

「あ、御手洗(みたらい)先生」

「時任さん、男は難しい生き物なのよ」


 御手洗(みたらい)先生は、産婦人科の女医さんで、はっきり物事を言う人だ。黒髪のショートヘアがいつも凛々しい。

 口答えもしたいんだけど、先輩なんだよなあ。

 あ、亜美に何か耳打ちしてる。やめろ、恥ずかしいだろ。


「という訳で、俺は一旦部屋を出るからな」

「う、うん。解ってなくてごめんね」


 解らなくて良かったんだけどな!

 御手洗(みたらい)先生、昔から俺をいじり倒してくるからなあ。

 俺は恥ずかしい思いをしながら、部屋を出た。


 部屋を出ると、既に結果を聞き終えたのばらさんが、信次の膝枕でゆったり寝ていた。


「兄貴追い出されたの?」

「まあそんなもん、のばらさんどうだった?」

「出血量は多いけど、病気ではないみたい。低用量ピルとロキソニンと胃薬を貰ったよ」

「そっか、まずは安心だな」


 のばらさんに病気が無くて良かった。後は亜美だな。何もないといいんだけど。


「信次、先に帰ってていいぞ。のばらさんも布団で寝かせた方がいいだろうし」

「じゃあ、そうしようかな。タクシー呼ぼ」


 信次はタクシーアプリでタクシーを呼ぶと、安心した顔でのばらさんを見つめていた。

 そうだよな、心配だったよな。


「深川先生、もういいよー。戻っておいで」

「お、呼ばれたからいくな。のばらさんに無理させんなよ」

「帰ったらすぐ休ませるよ」


 さて、次はどんな検査かな?

 呼ばれたってことは、普通の検査なんだろうけど。


「次はエコー検査ね。2種類やるからね」


 子宮と卵巣をエコーでみて、大きさを確認する検査のようだ。

 子宮に関しては、プローブとよばれる器具を膣内に挿して確認するようで、卵巣は、お腹に当てる経腹エコーで見るようだ。

 おい亜美、変な事考えるんじゃ無いぞ。顔に出てるぞ。


「じゃあ亜美、プローブを膣内に挿してね」

「う、うん……緊張するなあ」

「えー、深川先生のあそこはプローブ並、と」

御手洗(みたらい)先生、黙りましょ」


 なんのかんのあったが、エコーを診る事は出来た。


「次はX線検査ね。これで最後の検査よ」


 亜美が着替えて検査機の前で寝そべると、機械はぐいぐい動いていき、あっという間に亜美のレントゲンを撮影する。

 こうして検査は無事終わった。


「はいお疲れ様。検査結果出たらまた呼ぶからね」


 俺達は再び診察室前で、検査結果が出るまで待つ事になった。


「ふひー、疲れた」

「検査多かったもんな。帰ったらすぐ寝ろよ」

「うん、そうする」

「水飲んどけよ。まだ痛いんだろ?」

「ありがとね、正直ずっと痛くて」


 だろうな、顔真っ青なまんまだもん。

 亜美の症状が少しでも落ち着くといいな。


「少し膝枕で寝てもいい?」

「おいで。ゆっくりおやすみ」

「ありがと。おやすみ京平」


 少しでも、亜美の体調が落ち着きますように。


「おやすみ、亜美」


 ◇


「218番の患者様、5番診察室へどうぞ」

「亜美、呼ばれたぞ」

「んん、おはよ、京平」

「おはよ、亜美。立てるか?」

「うん、大丈夫」


 亜美に何事もありませんように。

 そう祈りながら、俺達は診察室へ入った。


「検査お疲れ様でした。生理痛辛い中、ありがとね。無事検査の結果が出ました」

「亜美は、大丈夫なんですか?」

「ええ、特に病気は無かったわ。けど、出血量も多いみたいだし、低用量ピルでの治療をしたいのだけど、主治医の深川先生、大丈夫かしら?」

「はい、亜美は血糖コントロールも良好ですし、問題ありません」


 ああ、なるほど。俺、この確認の為だけに呼ばれたんだな。

 本来なら、主治医に確認を取ってから治療になっちまうもんな。


「それと痛みも強いようだから、ロキソニンと胃薬出しとくわね。強めのイヴを飲んだって聞いてるから、イヴの効き目の切れる12時頃から飲んでね」

「今のんじゃあ……」

「ダーメ。痛み止めを2種類飲むのは危ないのよ?」


 亜美、相当痛むんだろうな。傍にいるから、もう少しだけ頑張ろうな。


「注意事項としては、最初は不正出血や頭痛などの副作用が起きやすくなるわ。3ヶ月は様子をみて欲しいけど、あまりに合わないようならすぐ病院に来てね」

「解りました」

「ピルは今日から毎日飲んでね。また来月、次の深川先生の診察の日に予約入れとくわね。深川先生の診察が終わったらおいでね」

「はい、有難うございます」


 確かにそれなら、確実に診察できるもんな。


「今日、明日は出血量も多いだろうし、ゆっくり休んでね。次回生理の時は、無理せず生理休暇使ってね。院長にも話しておくから」

「何から何まで有難う御座います」

「じゃあ、また来月ね」

「有難うございました」


 そう、亜美生理重いのに、今まで休んで無かったんだよな。

 御手洗(みたらい)先生からみても、重い生理ではあるようだから、来月はしっかり休めよ。

 こうして、亜美の診察は終わった。


「タクシー呼ぶから待ってろよ」

「膝枕がいいな」

「いいよ、おいで」


 ふう、亜美に病気が無くて良かった。

 でも、つまりは生理の重さとは長い付き合いになるもんな。

 無理はしないで欲しいな。


 よし、タクシーアプリでタクシーは呼べた。もうすぐ来るみたい。

 俺は恥ずかしがる亜美を抱えて、タクシー乗り場まで向かうのであった。

 膝枕のが恥ずかしいだろうになあ?

京平「2人とも病気とかなくて良かったよ」

亜美「長い間抱えなきゃだけど、向き合っていかなきゃ」

京平「帰ったら、ゆっくり休めよ」

亜美「京平と一緒に寝たいな」

京平「うん、一緒に寝ような」

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